第56話 判断
話を終えた後、クオンが小さくくすりと笑った。
「小さな傭兵さん達にお礼を言わなければなりませんね」
「傭兵?」
彼女は、微笑みながらその事実を告げる。
「スズネちゃん達は生きています」
「それは本当か!」
心の底から安堵した。
同じように話を聞いていたキャロが安堵のあまりくずれおちそうになるのを支える。
でも、なんでそんな事を知ってるんだ?
俺たちの疑問を読み取ったように、クオンが頷いた。
彼女の瞳が、何かを確かめるようまっすぐ俺達に注がれる。
「今の貴方なら大丈夫、案内しましょう」
クオンが言うには、虚無に落ちたフィーやスズネ達を助けたのは、コスモスだという。
「コスモス、あいつか」
レストリアでの任務があった時か。
体感時間じゃそんなに昔ってわけじゃないはずなのに、そんな気が全然しないな。
そういえば、もう二度と会う事はないと思って忘れていたけど、あいつは人が生存できない場所で生きてたんだっけか。
広い図書館の中で話をした時の事を思い出す。
底知れない空気を纏っていたあの少女が、そんなに人助けしてたと言うのはちょっと意外だ。
百年に一度、とか言ってたのに。
ああ、でも俺達の意識では少ししか経ってないけど、この世界的にはもう長い時間が経過してるんだっけか。
俺たちはキャロを少し休ませてから出発することにした。
クオンの寝室を借りて少し眠らせている。
最近眠れていなかったようだけど、今ならぐっすり眠れるだろうし。
しばらくたった頃、そろそろ起こしに行こうかと思ったら。
「私が行きましょう。デリカシーのないあなたでは寝起きで余計なことをして女性を困らせそうですし」
「う、確かに」
前にキャロの家に行ったときは、ひどい目にあったんだよな。
まあ、眼福ではあったけど……。
けど、俺達がその判断を下すのは少し遅かった。
キャロの姿がなくなっていたからだ。
最初は起きてどこかに散歩にでも行ってるのかとおもったが。
あれから二人でキャロを探したけど、見つからなかった。
家の中も、町中も探したけど見つけることができなかった。
もしかして、と思ってコロンゾの元を尋ねれば案の定。
「余計な事をされては困りますな。世界を救った元英雄殿」
「俺は自分の事、英雄だなんて思った事一度もねぇよ」
「キャロ殿は私達につくそうです。あなたはどうしますか」
「お前らが無理矢理、頷かせたんだろ。取り返させてもらう」




