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アーク・ライズ 地平線から昇る太陽を夢見て  作者: 仲仁へび
第二部 未だ幸福だった日々

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第23話 近況



 待ち合わせ場所の灯台の下から、並木道に沿って歩いて行く。


 ドングリに似た木の実がなる木だ。


 子供の頃は拾ってよく食ったよな。


 食べ物があんまりなかったから、そんなでも貴重な食べ物だったんだ。


「なんです? そんな変哲もない木などながめて」


 クオンが俺の視線に気づいて話しかけてくる。


「いや、ちょっと子供の頃のこと思い出しててな」


 すると近くを歩いていたキャロもしみじみ。


「トグリの実よね。子供の頃はよくお世話になったわ」

「木の実のお世話になる、とはどういう意味なのですか?」


 クオンはきょとんとしている。


 こいつけっこうレストリアではお嬢様だったらしくて、木の実を食べるものだなんて思いつきもしないんだろう。


「知ってるかクオン、この木の実は一晩水につけてやわこくしてから油で炒めると、食べれるようになるんだぜ?」

「そんな分けないでしょう。こんな変哲もない木の実が食べれるだなんて、馬鹿にするのも大概にしなさい」


 憤慨したクオンだが、キャロが「ほんとのことよ」といと、愕然としたような顔をした。


 ………なんでキャロが言うなら信じるんだよ。


 とりあえず俺達は、そんな風に歩きながら互いの近況について雑談をする。


 短い間だが、あれから色々な事が変わった。


 最初に尋ねたのはキャロ。


「クオンは最近どうしてたの?」

「どうもこうもありません。腫れ物に触る様な扱いですよ、相変わらず。それもこれもオルタライズが余計な事をしてくれたおかげです」


 その言葉にはさすがにキャロも苦言を呈する。


「オルタはクオンの事、思ってやったのよ」

「ああ、はいはい。のろけは結構です。ごちそうさま。おかわりはいりませんので」

「んなっ。そ、そういうのじゃなくって!」


 ケンカ腰って感じの会話だけど、クオンはいつでもこんな感じだし、誰とでもこういう会話だ。


 これが通常の態度と分かってからは、キャロの態度もかなり柔らかくなった。


 とりあえず、はぶられているわけじゃなさそうな事にほっとする。


「クオンがイジメられてるとか、のけものにされてるとかじゃないなら、それでいいんだぜ」


 ちょっと前にやった俺のおせっかいは、自分の終わり方になっとくしていたクオンを繋ぎ止めるためのものだった。


 こいつあれから、一回死のうとしたからな。


 あの時も大変だった。


 だから俺は自分の意思を相手に押し付けてる事ぐらいは分かっていた。

 お節介と言われても仕方のないものだ。


 それでもその時の自暴自棄になっていて、死ぬ事を何とも思っていなかったクオンよりも、今みたいにつっかかってくるクオンの方が、何十倍も良いと思うのだ。


「最初にあった時みたいな真面目なクオンもいいけどさ、俺は今のクオンの方が好きだな」


 何の変哲もない言葉を吐き出したつもりだったが、キャロ達が固まって足を止めた。


………俺、なにかまずい事でも、言っちまったのか?


 クオンが、半目になる。


「……キャロ、あなたの彼氏頭がおかしいのではありませんか?」

「なっ、オルタはそんなにおかしくないわよ!」

「彼氏ってとこは否定しないんですね」

「! そっちも違う!」


 出会った頃は想像できないくらい仲が良い二人だなほんと。


「朝から元気だなぁ」


………まあ、人の傷を刺激する発言じゃなかったんならいいや。


 女性が集まれば賑やかになるのは分かっていたが、寝起きの人間を横にちょっと騒ぎすぎではないだろうか、と思う。



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