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縁側でゴロゴロ。

 食後、あまりにもお腹いっぱいになりすぎてしまったので、私は眠たくなり、緑水さんを縁側にさそった。今日は過ごしやすい気候で、陽の光もほどよく差してくる。

 まさにお昼寝日和。縁側にごろりと横になる。


「随分リラックスしていらっしゃいますね」


 緑水さんはそんな私の様子を見て目を細めた。


「緑水さんもどうぞ、楽になさってください」

「……では、お言葉に甘えて」


 すすす、と緑水さんはぎこちない調子で横になった。


「緑水さんは逆に、リラックスするのに慣れていないみたいですね」

「そうですね、どうしてもあらたまってしまうようなところがあって。格好をつけてしまうっていうんですかねえ」

「でもそれが緑水さんにとって自然な姿なんだったら、そのままでいいじゃないですか」

「ふふふ」 


 緑水さんは嬉しげに笑った。


「みんなが中野さんのようだったらいいのですけれどね。昔は人からインテリぶってるとか説教くさいとか胡散くさいだとか、色々言われました。それであまり、人とは関わりたくないと思った時期もありました」

「どう生きていても、色々言われちゃうもんですよね」


 ふわぁ、と思わずあくびが漏れる。日当たりが良すぎて本格的に眠たくなってきてしまった。


「あーだめだ、寝そう。まだ仕事あるのに」


 眠すぎて涙が出てきた。


「中野さんってどんなお仕事をされてるんですか? いつもあの機械に向かっていますが」

「あの『機械』って、パソコンのことですか?」

「ああ、ええ、そう、それですよ」


 ははは、と緑水さんはごまかすように笑った。

――まさか緑水さん、パソコンのこと知らないのかな?


「私は動画の編集をするお仕事をしているんですよ」

「動画。動く、画ですか」

「ええまあ……。テレビ番組とか動画サイトで配信されるような映像を制作してます」

「あ、テレビなら知ってますよ」


 そう言って緑水さんは得意げに笑う。

 そりゃ、誰だってテレビくらい知っているだろう。


「緑水さんはどんなお仕事をされているんですか?」


 ふと疑問に思って私はたずねた。だって、コーラもパソコンも知らないくらい浮世離れした人が一体何をして生計をたてているのか、すごく気になるもの。


「私は畑で農作物を育てたり、古い山寺の管理をして小銭を稼いだりしています」

「へえ。じゃあもしかして、緑水さんが持ってきてくださる食材ってご自分で育てたお野菜なんですか?」

「そうですそうです」

「そうだったんですね!」


 これは新たな発見だ。んーもしかして、緑水さんのお料理が美味しいのは緑水さんが育てた野菜が美味しいからってのも、あるのかも。絶対丁寧に育てていそうだもんなあ。


 縁側でしばらくゴロゴロした後、仕事の邪魔になるからと、緑水さんは帰っていった。


 帰り際、私は彼にビニール袋を手渡した。袋の中には油揚げが入っている。


「前に油揚げが欲しいって言ってらっしゃいましたよね。昨日バスで山を下ってスーパーへ行ったときに買っておきましたよ」


「わっ、油揚げっ! ありがとうございますっ!」


 いつになく声を弾ませて緑水さんは喜んでくれた。



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― 新着の感想 ―
[良い点] こじょはん、とっても美味しそうです!夜中に読むにはおやつが必要ですね。お腹がすいて…私もお相伴にあずかりたいです…笑 [一言] これからふたりがどんな関係になっていくのか、どんなこじょはん…
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