第19章 ある生徒の行動
Ⅰブロックが終わりを告げる頃、ほぼ誰も居なくなった校舎のロビーに、一人の学生が居た。
校舎は現在、闘技演武大会のため、立ち入り禁止になっており、学生含め教師の一人も居ない。
ただ、警備員が2、3人警備室に常駐しており、定められた時間に見回っているだけだ。
その学生は、ロビーの床に腰を落とし何かを調べていた。
ガラス張りの壁からは、煌々と太陽の光りが振り注ぎ、ロビーの床を明るく照らし出していた。
その光を反射し、今まで以上に銅色に光を放つエンブレムの下で、その生徒は何かを入念に調べている。
地面には、様々な幾何学模様が描かれ、普通に歩行をしているだけでは、気付く者も少ないだろう。
その幾何学模様を生徒は調べていた。エンブレムの下から北向きに赤色の三角をした模様が不規則にあると思うと、黄色の模様がそれと対照的にエンブレムの南向きに不規則にある。
生徒は、一点の赤色の模様の前で立ち止まるとそのまま南の床へ目をうつす。そこには、光に照らされた黄色の模様が浮かび上がるようにあった。
また、別の赤色の模様の前に立ち、同じように南の方を床を見つめる。そこには先ほどと同じように光に照らされた黄色の三角模様がある。
この赤色と黄色が南北で対応している。
これがこの建物の構造に関する何かを指し示しているのには違いないのだが、全貌が未だ掴めていない。
生徒が思う。
やはり、ダンボラスの部屋を調べるしかないか。
しかし、あそこには強い結界が張られている。
魔法を使う事はおろか、オーラを出すだけでも、すぐに立ち入った事がばれてしまうだろう。
どうすれば……。
生徒は、ふと窓から外を見た。
窓の外では群れを為した鳥が左に羽ばたいたかと思うと、突如、右へ一斉に進路を変更した。
そしてまた左へ進路を変更する。
見事な滑空、統制。
一切乱れがないその鳥の群れはそのまま上空へ舞い上がっていく。
そのまま、生徒の視界から消える。
では、魔法を使っても立ち入った事が分からないようにしてはどうだろうか。
しばらく、生徒は考える。
太陽がその生徒の全身を光りで包み込む。
ゆっくり生徒が口角を上げた。
それだな。と生徒が思う。
その顔に浮かんだ笑顔は、生徒が浮かべる屈託がない笑顔とは違い、まさに禍禍しいと言う言葉が当てはまる不気味な笑顔だった。




