26、俺ほど土下座が上手い人はいない
「くそっ、やられた」
俺たち二宮家は初めての地、ハワイを楽しんでビーチで家族仲良く過ごしている
父親と母親は椅子に座り、兄妹達は水着に着替え最高のバカンスを楽しんでいる。訳では無く・・・
俺はアロハシャツに身を包み、梓に千咲は新調した水着を着て父親の顔写真を藁人形に貼り杭を打っている
何がハワイ旅行だ!ぬか喜びをさせやがってあの狸親父!
俺たち兄妹は昨日ハワイ旅行に行くという事でバイブスが最高潮に達していた。
そして今日の朝、出発する前に奴がとんでも無いことを言い放った
「じゃあ、父さん達行ってくるからな。留守番は頼んだぞ」
「え?」
兄妹3人の声が揃い父を見る
「暫く帰らないからご飯はなんとかするんだぞ、ではでは」
「ちょっと待てぇい!くそ親父!」
俺はテーブルを叩きソファを立ち上がる
「時間がないんだ奏汰・・・」
露骨に時計をチラチラ見ながら出発を催促してくる父親
「ちょっと待って、お父さん。ね?私がおかしいのかな?状況が理解出来ない」
それに対しおどおどしながら反応するの姉、梓
「私達ハワイに行くってことになったよね?なんでお留守番なのかな?」
冷たい声で、どす黒いオーラを漂わせ問いただすは妹の千咲
「そーだ説明しろ親父!」
「・・・れが・・・」
「ん?」
「誰が家族全員と言った」
なん・・・だと・・・?俺達に衝撃が走る、こ、こいつまさか!?
「悪いな皆、これ2人用のペアチケットなんだ」
聞いたことのあるフレーズで背後に某アニメのとんがり頭の顔が脳に浮かぶ
「ちょっと待てやぁ、おっさん!話がちゃうやろがぁ、あぁん!こちとら寝ずに単位調整して準備万端にしとるんやぞ!」
さっきまで状況が理解出来ないと言っていた梓が関西弁でまくしたてる
ズカズカと近づき親父の襟を両手で掴み前後にゆする
「はっはっは、すまんすまん父さんも昨夜寝る前に気づいたんだ。許してくれ」
取れるんじゃないかと思うくらいに首をガクガク揺らしながら謝る
「どいてお姉ちゃん、この前本で読んだあれを試してみたい気分」
手にナイフを持ちゆらゆらと父に近づいていく
今日が親父に命日になるかもしれない
てかどんだけ楽しみにしてたのかが分かる2人の反応
「落ち着いて2人とも」
なんとか2人を宥める俺
「母さん何とかして〜」
「あらあら、聡さん本当うっかり屋さんね。まぁ残念だけど2人用なんじゃね。仕方ないわねぇ」
頬に手を当てあらあらまぁまぁといいう感じで参加する母親
「梓ちゃん、ちーちゃん。旅行の間貴方達3人だけなんだから仲良くしないと駄目よ」
母親の言葉にピタッと暴れていた2人が動きを止める
なんだどうした!?
「かな君と2人きり・・・」
は?
「お兄ちゃんとのアバンチュール・・・」
おいおい!
「いや3人!3人だよ2人とも!」
完全にスイッチが入った様で2人ともヨダレを垂らしながら妄想にふけっている
あ、俺の貞操が危ない
「じゃあ行ってくる子供達よ!お土産いっぱい買ってくるからな。行こうか母さん」
「レッツゴーよ、お父さん」
そして今に至る
「はぁ、楽しみにしてたのになぁ。でもかなくんを独り占め出来るならチャラになるかな?」
「お姉ちゃん、抜け駆けは許さないよ」
頬を膨らませプリプリと怒る千咲
「そうだお兄ちゃん、今度の日曜買い物に連れて行ってよ」
「日曜?あー悪い用事があるんだ」
「実はお兄ちゃんの引き出しのUSBから面白い画像や動画を見つけたんだけどさ」
「千咲、駄目だ!それだけはやめてくれ」
「じゃあ連れて行ってよ」
「日曜は用事が・・・」
「お兄ちゃん・・・女でしょ」
びくっ、えーバレるの早ない?ちっ、感のいいガキは嫌いだ
「いやまぁそうだけど、ておい千咲待て早まるな!」
俺を無視し強行突破する千咲
「くそどうすれば!」
床にはいくつばり嘆き悲しむ
「かなくん、許してもらえるようにご機嫌取ってきなよ」
ほれほれと手で行って来いと合図する
「かなくん?」
「そこまでする必要があるのか?ただ嫉妬して我儘言ってるだけだろ」
「まぁそうだけどね、ちーちゃんの気持ちは少しはさ」
「知ったことか、俺には俺の事情がある。兄貴としてガツンと言ってきてやる」
珍しい俺の雰囲気に押されキョトンとしてしまう梓、気になって様子を見にいくと怒鳴り声がする
「いい加減にしろ千咲!」
見つからないようにちらっと見ているとそこには
「頼む!別日なら予定組めると言っているだろう!」
土下座をしながら懇願する俺の姿が、梓は見なかった事にし、そっと居間に戻る
しばらくすると、奏汰が戻ってくる
「ガツンと言ってきてやったぜ…」
「うん、まぁかなくんがそう思うならそれでいいよ」
「USBはどうするの?お姉ちゃん個人的には性癖が知れて嬉しいんだけどね」
「精神的には守りきったも同然なんだけど・・・」
「残念だけどUSBは物体だよ」
「その通りだ、そこで。千咲の部屋に忍び込んでブツを回収しようと思う」
「わー強硬手段に出るの早いね」
「聞こえてるよお兄ちゃん」
「千咲背後から卑怯な!」
「そんなんことしなくてに大丈夫だよ、ちょっと意地悪したくなっただけ。良いよ日曜日じゃなくても」
「本当かすまない」
「むしろ嬉しいよ」
「嬉しい?」
「うん、私はこれをだしにお兄ちゃんデートに、お兄ちゃんは私の手作りのUSBを手にして安心して遊びに行く。完璧じゃ無い?」
「待って今俺のUSB偽装されてなかった?」
「許してくれてないじゃん!ねぇ!?もう良いよ好きにして・・・」
もう俺の人生終わった、これからずっと特殊性癖会長として虐められるんだとしくしくと嘆く
天戸先輩との約束遅れまいと急いで待ち合わせ場所に行く、オブジェの前集合との事だったか。
暫くすると天戸先輩が姿を見せる。
「やぁ、待ったかな?」
そこに居たのはショートパンツにTシャツ、ジャケットというカジュアルな服装の天戸先輩。
「あ...」
声が出ない
「どうしたの?もしかして見とれてしまったかな?」
ニヤニヤしながらこちらの表情を観察してくる天戸
「はい、正直そういう系の服装をしないものだと思ってましたから驚きました。とてもお似合いです。」
「世辞が上手いね。ありがとう、嬉しいよ」
「いやだなぁ、本心ですよ」
「で、今日は何をするんですか?」
「私の買い物に付き合うだけでいい」
「え?それだけですか?」
「なんだい?それ以外に私とまだ何かしたいのかい?」
「あ、いえ。そういう訳では...」
「君がどうしてもと言うならやぶさかではないが、丁度勝負下着も着て来ているとこだし。問題無いぞ」
「何言ってるんですか!?かこんな所で」
周りの人がこちらをチラチラ見てくる
「アホな事言ってないで、早く行きますよ」
踵を返し店にデパートに入って行く
「そうだね、では行くとしよう」
天戸先輩はそう言うと俺の腕を両手で掴んで来る
「ちょっと、歩きにくいしカップルみたいじゃないです。離して下さい」
「良いじゃないか、こういうのどうせ慣れてるんだろ?減るもんじゃあるまいし」
「今日だけですからね」
抵抗を諦め大人しくそのまま歩き出す
あーこれ姉さんや千咲に見られたら殺されるだろうな
そんな事を思いながら周囲を見渡し安全を確認する
「流石に居ないか...」
「ん?何か言った?」
覗き込むように俺の顔を見る天戸先輩
近い近い近い、いちいちドキドキする行動を取るなこの人は
「何でも無いですよ、さぁ行きましょうかまずはどこからです?」
「そうだねぇ、ここから回ろうかな」
ギリッ!歯を食いしばり怒りを抑える
音声だけで聞いていると本当のカップルみたいな事してるみたいじゃない。
「盗聴器、作っといて良かった」
部屋の中で2人の様子を伺う千咲、そしてそれをドアの隙間から見守る梓
「何だかなぁ、かな君が不憫でしょうかないよお姉ちゃんは」
ゆっくりとドアを閉め梓は自分の部屋に戻る
忙しくてちょくちょくしか書いてませんでしたが投稿出来ました。
宣言が明けても外出には気を付けなきゃですね!
ちょくちょく書いて溜まったら投稿しようと思います。それではよしなに




