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Episode 6 : この話は何②




ローヤル学院では、豪華な夜会が開催され、学院の学生のほとんどに加え、多くの高位貴族や政府の要人が出席した。


その目的は、聖女を称えること、より正確には、聖女が16歳という若さで聖属性を持つ新しい呪文を作り出した出来事を称えることである。



新しい呪文を作ることは珍しいことではない。宮廷魔術師は頻繁にそれを行う。しかし、聖魔法となると、それは驚くべき偉業である。


おそらくそれは聖の属性の捉えどころのない性質によるものか、あるいはそれを持つ人が非常に少ないためであろう。



聖属性を持つ国民を受け入れ、教育する義務を負うローヤル学院には、昔、1年間で3人もの聖属性を持つ学生がいたことがある。

しかし、3人の誰も在学中に新しい呪文を作り出すことはなかった。


また他の年には、聖の魔法を持つ者でさえ、聖女や聖男の称号を与えられる魔法の最低限の要件さえ満たしていなかった。その後、これらの人々はわずかな地位しか持たず、後の歴史記録に名前が記されることはなかった。


聖属性の持ち主が自ら呪文を考案するのを最後に目撃したのは、30年前のことだった。それは聖女であった。



歴史的に見ても、聖女や聖男が学院を卒業してから何年も経ってから新たな魔法を生み出した例は数多くあります。そのため、聖女が在学中に新たな魔法を生み出すことは、学院にとって非常に重要な出来事です。


この盛大な晩餐会は、聖女を称えるとともに、ローヤル学院の名声を高めるためのものです。





=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=




高貴な若者たちが手を取り合い、美しい旋律に合わせて優雅に踊っていた。〈皆様ではクラシック音楽と呼ばれるかもしれないが、当時の人々は現代音楽と呼ぶだろう。〉


夜会の主役である聖女は、喜びの表情でカップルたちの踊りを見守っていた。多くの若者が彼女の孤独に気づいていたが、誰も彼女を舞踏に誘う勇気はなかった。彼らは自分たちが聖女にふさわしくないと恐れていたのだ。




ただ一人、自分にふさわしいと感じ、その壁を乗り越えた人物がいた。


この国の王太子である。


王太子と聖女は、彼女が学院に入学して以来、ずっと親しい間柄だった。王太子は、彼女の平民という出自を利用していじめようとする者たちから常に彼女を守ってきた。彼と側近たちは巧みに聖女を守り、徐々に彼女が不満を抱く人々に自分の価値を証明できるように手助けしてきた。


〝二人はお似合いだ〟誰もがそう思っている、聖女が王太子と結婚してこの国の皇后になる未来を夢見る者さえいた。




王太子は優雅に聖女に近づき、手を差し伸べて彼女を舞踏に誘った。聖女は喜んでそれを受け入れた。


二人は美しい舞踏を披露し、皆の注目を集めた。太子は落ち着いた自信をもってパートナーをリードし、聖女は軽やかで優雅な回転で応えた。舞踏は出席者の絶え間ない歓声の中で終わった。



その後、聖女が喉が渇いているように見えたため、太子は水を持ってこようと、近くにいた従僕のもとへ向かった。





ゴゴゴ


突然、聖女の頭上に空間の裂け目が現れた。


直後、巨大なシャンデリアが落下し、続いて黒いドレスを着た人物が落ちてきた。彼女は落下しながら空中で魔法を放った。魔法陣は裂け目から飛び出すずっと前に作られていたようだった。




不意を突かれた聖女は、重いシャンデリアの下敷きになり、軽傷を負った。


聖女が脱出と治癒の魔法を使おうとしたまさにその時、すぐ下の地面から、黒く鋭い棘がびっしりと突き出ている一帯。


それぞれの棘は大人のふくらはぎほどの太さで、長さは最大3メートルにも達した。


それらは物質でできておらず、出血や怪我をすることなく人の体を完全に貫通することができた。シャンデリアも傷つけることなく完全に貫通した。


しかし、それらは触れた者に何らかの呪いをかけるようだった。聖女は棘が体を貫くたびに毎秒痙攣し続けた。その効果は接触するたびに強まるようだった。触れる棘の数が増えるほど、効果は増幅された。今、聖女はシャンデリアのせいで地面にうつ伏せになっていたため、接触面積が最大となり、無数の棘に貫かれた。





黒いドレスを着た人物は、落下後着地し、悠然と立ち上がり、狂ったように笑いながら聖女の方を見た。


ホールにいる誰もが彼女が誰であるかを知っていた。


王太子の婚約者、アデレード・バルニエだ。


彼女はここにいるべきではなかった。この夜会の前日、アデレードは聖人に危害を加えた罪で有罪判決を受け、1週間自宅軟禁されていた。そのため、彼女は出席しておらず、なぜか公爵夫妻も出席していなかった。夜会に出席していたバルニエ家の唯一の人物は、アデレードの兄、ゴーティエだった。





犯罪の実行犯の顔が婚約者だと認識した王太子は、激しい怒りを込めてアデレードを睨みつけた。


彼はすぐに水属性の攻撃魔法を発動ながら、アデレードの名前を大声で叫んだ。


5つの淡い青色の球体が高速でアデレードに向かって飛んできた。接触した瞬間に爆発し、無数の水滴が飛び散った。 〈この水の球体の青色は、物質化すると青色に見える水の魔力によるものです。この魔力は球体の核として存在しています。そのため、水自体は無色ですが、この球体は薄い青色に見えます。〉


不意を突かれたのか、あるいは能力不足だったのか、アデレードは攻撃をかわすことも防ぐこともできず、少し前に倒れてしまいました。服はびしょ濡れだ。




すぐに立ち上がったアデレードは、土属性の攻撃魔法で反撃しました。


渦巻く土の弾丸が王太子の体に向かって飛んできました。



ためらうことなく、水でできた広い四角い障壁が現れ、土の弾丸を遮りました。それは王太子の魔法で、信じられないほどの速さで発動されました。



水属性は防御属性です。防御魔法の種類は豊富で、どれも並外れた品質です。しかし、攻撃魔法は極めて稀です。この5つの水の球体を作り出した魔法は、数少ない攻撃魔法の一つでした。攻撃力はかなり控えめでしたが、それを使える水魔法使いはごくわずかでした。




相変わらず邪悪な笑みを浮かべ、動じることなく、アデレードは次の攻撃に備えて魔法陣を描いた。緑色の魔法陣は、風の魔法を使おうとしているように見えた。



しかし、アデレードは王太子以外にも広間に人がいることを忘れていた。



一陣の風のブレードがアデレードの脇腹を直撃し、彼女はバランスを崩した。その直後、渦巻く土の塊が彼女に向かって飛んできて、近くの壁に吹き飛ばされた。


あの弾丸もアデレードがさっき使った魔法だ。渦巻く土の弾丸は非常に危険そうに見えるが、標的の体に期待通りの穴を開けることはできない。


その弾丸は1メートルの範囲内で非常に大きな推進力を放ち、前にあるあらゆるものを吹き飛ばす。そのため、術者は投射物が着弾ゾーンに入った瞬間に、正確に二次魔法陣を発動する必要がある。発動が早すぎると推進力が標的に届かず、遅すぎると着弾時に推進力の効果が解除され、ただの弾になって、軽傷しか負わせない。それとは対照的なのが水魔法の5つの水の球体を作り出し、それが何かに接触すると瞬時に爆発してダメージを与える。




アデレードを攻撃したのは学校の生徒たちだった。彼らは優れた状況認識能力を持ち、太子の攻撃直後にアデレードを攻撃することを決めたようだ。




それを見て、他の生徒たちも自分たちの攻撃に備えて魔法陣を作った。


一方、何人かの生徒や警備員数名が聖女を拘束していたシャンデリアに駆け寄り、救出を試みた。


黒い棘はいつの間にか消えており、限られた時間しか存在しなかったようだ。しかし、その役割は果たし、聖女を意識不明にさせた。


麻痺させる呪文か、あるいは精神に作用して頭痛を引き起こす呪文だったのかもしれない。聖女はもはや負の効果に耐えられず、意識を失った。それでも、彼女はまだ生きているようで、皆は急いでシャンデリアを取り外し、応急処置のために彼女を運び出した。





アデレードについて、壁に叩きつけられた後。間もなく放たれるであろう、数多の魔法による猛攻を予見し、素早く、近くの遮蔽物へと這っていった、同時に、自分の周囲に土の防壁をもう一層築き上げた。


彼女は水の属性も持っていたので、理論的にはこの状況で水の結界を作るべきだった。しかし、水の魔法を操るのが苦手だったので、得意なことを使うことにした。


土の結界といえば、その防御力は非常にばらつきがある。現在、建物の中にいる間は、それらは平均的か弱い。しかし、魔術師が地面に直接触れることができれば、自然の土を制御でき、防御力が大幅に向上する。



一時的に安全になったアデレードは、眼球ほどの大きさの黒い球を取り出した。球は振動するたびに濃い紫色の筋を放った。


アデレードはためらうことなく球を口に運び、飲み込んだ。



黒い電気火花が爆発し、アデレードを中心に爆発し、彼女自身の土壁と遮蔽物を破壊し、近くにいた数人の生徒に命中した。



アデレードが土煙の中から姿を現した、暗いオーラを放ち、瞳は球の色と同じ濃い紫がかった黒色に変わった。


手を上げて巨大な黒魔法陣を作り、発動。



彼の周りを飛び回る4つの巨大な物体が現れた。それらは平らで真っ黒で、ヘレボルスの花のような形をしていた。


生徒や教師から無数の呪文がすぐに放たれたが、すべて吸収されて完全に消滅した。





遠くから王太子は驚いて呟い〝なぜあの女は闇魔法を使える?〟。


以前、アデレードが使った黒棘魔法も闇魔法だった。だが、怒りのせいか、気づかなかった。あるいは、その魔法を見たことがなくて、早合点できなかったのかもしれない。


だが今回は違った。否定しようがない。



「ダークヘレボルスの邪盾」、人々はそう呼んでいる。


それはかつて王軍の闇属性の魔術師たちが使っていた高位の闇魔法だ。 4体の氷竜のビームを同時に防ぐことさえできる至高の魔法。




しかし、ここには何か奇妙な点がある。アデレードは4つのヘレボルスの邪盾を維持し続け、のんびりと前進した。何人かの生徒に黒いコウモリの群れを放ち、他の生徒には風の槍を放った。


彼女はまだ4つのシールドを解除していなかった。これは不可能だ。


ダークヘレボルスの邪盾は珍しいものではなく、過去には多くの熟練した魔術師が使用していた。子供の絵本にも登場する。


しかし……誰も3秒以上維持することはできなかった。


それは、魔力を消費しすぎることか、体がそれ以上維持できなくなり、限界に達すると自動的に解除されるからである。




=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=



ほぼ無敵の防御力で、アデレードは狂ったように笑い、ホールにいる全員を嬉々として虐殺した。



王様と高官たちは4つのシールドを見るとすぐに逃げ出した。しばらくして、アデレードは全員を絶殺すつもりはないようだったので、多くの生徒もうまく逃げ出した。


アデレードは、出口を塞いだり、犠牲者を縛ったりといった複雑なことは何もせず、ただ目についた者を攻撃し、笑い続けた。




ガシャン!



突然、建物の正面玄関と周囲の壁の大部分が、外部からの強力な力によって完全に破壊された。埃が舞い上がり、瓦礫が床に散乱した。その音に興味をそそられたアデレードは攻撃を止め、そちらに視線を向けた。



そこに立っていたのは紫色の髪の男、アデレードの父であるサルバドール・バルニエ公爵だった。


彼の外見は異様だった。両腕は人間の腕に比べて異常に大きかった。目、鼻、耳から血が流れ出ていた。


アデレードの四つの盾がはっきりと見えたため、彼女の位置を察知するとすぐに呪文を唱え、まっすぐ彼女に向かって突進した。


彼の進路に沿って地面が抉り取られ、下の土が完全に露出した。


彼は進路を塞ぐ生徒たちを避けることなど気にせず、最短ルートでまっすぐ突進したため、数人が手足を折ったり、体の一部を失ったりした。


ヘレボルスの盾に正面衝突した。彼は全力を右手に集中させ、それを殴った。彼の腕は以前よりもさらに奇妙な形に変化し、信じられないほど大きくなり、無数の鋭くギザギザした縁が生えた。


人間のような5本の指を持つ手も、消え失せていた、今が6つの面からなる、不規則な角錐型になった。



どかーん!!!




一枚のシールドは完全に破壊された。しかしその反動でバルニエ公爵は後ろに吹き飛ばされた。



彼は空中に浮かび、右腕はひどく骨折し、不自然に曲がっていた。手の甲が鎖骨に触れた。しかし、これは上腕二頭筋や上腕筋によって前腕の内側が引き上げられる際に生じる、自然な接触動作ではない。それは、鎖骨に逆方向から触れるよう強制された。直後、前腕はヌンチャクか風になびく旗のように、力なくぶら下がった。



右腕の状態を気にせず、公爵は空中で回転して着地した。彼は右腕をまっすぐに伸ばし、魔法で土の層で固定した。


それから憎しみに満ちた目でアデレードを睨みつけ、叫んだ。



「オ前ノお母さンにナにをシタアあ!!!???」



悪魔のような、歪んだグロテスクな声が建物中に響き渡ったが、それでもどこかまだ人間らしさが感じられた。


アデレードは狂ったように笑い続け、返事する気配はなかった。



バルニエ公爵は舌打ちをし、先ほど通ってきた床に飛び移った。 床の敷石が深くえぐり取られ、その下の土が露出している場所。


赤い土に触れ、それを吸収する呪文を唱えた。土、砂、砂利、岩が吸い上げられ、下の岩盤が露出するほど深く吸い込まれた。


この膨大な量の物質で、ホールを埋め尽くす無数の鋭い浮遊する石土の刃を作り出した。



同時に、肩に一対の土の翼を形成した。翼の土は信じられないほど圧縮されていた。醜く、無骨で、極めて空力特性の悪い形状で、飛行に使うつもりはないようだった。


さらに何層もの土を重ねて、翼を肩にしっかりと固定する。彼は再びアデレードに正面から攻撃を仕掛けるつもりだった。



しかし、以前とは異なり、今はシールドが3つしかない。それらは周囲を移動し続け、接近する攻撃を自動的に吸収する。だが、シールドが3つしかないため、その間の隙間は神のような速さを持つ者がすり抜けるのに十分な大きさだった。



生徒は全員避難していた。王子は泣きながら頑としてその場に留まろうとしたが、友人たちは力ずくで彼を引きずっていった。




バルニエ公爵は加速し、そして……空中に飛び上がった。


戸惑ったアデレードは、風の槍とコウモリの群れを彼に向かって放ち続けた。


サルバドールはひるむことなく、落下の位置エネルギーと、この世界の祝福によって強化された元々の高速に助けられ、まっすぐに突進した。人間の目には理解できない速度で降下した。


3つのシールドの射程に近づくとすぐに、彼は微妙に体を傾け、それらを縫うように進んだ。背負っていた翼も即座に形状を変え、そのすべてが通り抜けるのにぴったりのサイズとなった。




アデレードと対面した瞬間、彼が事前に作り出した無数の土石の刃が一斉に向かって飛んできた。そのうちの3分の1だけがヘレボルス盾を貫通した。しかし、その数は想像を絶するほどであり、それだけでも問題となっている。


およそ100本の刃がアデレードの全身に突き刺さった。しかし、バルニエ公爵に当たった刃は彼に傷を負わせることはなく、代わりに吸収されて彼の翼の一部となった。




アデレードがハリネズミのように刺されている間、サルバドールも手をこまねいていなかった。彼は非常に複雑な魔法陣を作り出した。普段の魔法陣生成の速度と比べると、かなり時間がかかっていた。発動!土の翼全体がグロテスクな形をした巨大な鎌に変形した。この武器は危険の匂いを漂わせていた。


折れた右肘を直角に曲げ、両手で鎌を握り、回転の構えを取った。一振りでアデレードの体を真っ二つに切り裂くような気分だった。



「■■が生きテるナラ、殺さナい。答えロ!!!」


彼はまだ取引をするだけの正気を保っているようだった。アデレードがイエスと答えれば、彼女の命は助かる。



しかし、答える前に、アデレードの背後に空間の裂け目が現れた。人間の手が伸びてきて、アデレードの肩をつかみ、裂け目の中に引きずり込んだ。


サルバドールもすぐに裂け目に飛び込んだ。しかし、彼のような超高速の人間でも、助走も足を屈みもなしに突入するのは不可能だ。そのため、〝あの人〟より一拍遅れた。




だが、ある意味、サルバドール・バルニエ公爵はラッキーだった。少なくとも、裂け目が閉じる直前に飛び込んだため、体が真っ二つにされたり、手足が切断されたりすることはなかった。




=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=


エンド・オブ・【この話は何、その2】


=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=✠=

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