表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

エルダーフォレストウルフ戦

なんだか空気が冷たかった。

俺は木剣を握りしめる。


「……行きます」


『無理はするな。危なくなったら結界内へ戻れ』


「はい」


女神の声が真面目だった。

それだけで、怖さが増した。

俺は結界の外へ一歩出た。

足の裏に、森の土の感触。

身体強化をうすく発動する。

罠を仕掛けながら歩いていく

結界を見失わないように

ある程度仕掛け終わった直後


ぞわり。

右肩のあたりに危機察知が反応した。


「来る!」


とっさに左に身をかがめかわす

次の瞬間、左横から二匹目。

俺は咄嗟に後ろへ下がった。

牙が目の前を通る。


怖い。

足が震える。


でも、練習した。


木球に当たりまくった。

走った。

火魔法も訓練した!


「ファイアボール!」


小さな火球を二匹目の足元へ撃つ。


ぼっ。


火が弾ける。


森狼が一瞬ひるむ。

その隙に剣でなぐ


「うおおっ!」


刃先が森狼の肩口をかすめた。


浅い。

だが血が出た。

森狼が唸る。

俺も息が荒い。


「3匹……!」


三匹目が背中に飛びついてくる

危機察知が背中を刺すように警告する。

俺は左前方に転がる

背後で牙が空を噛む音がした。


「このっ!」


たまたまさっき燻製肉を置いた場所のそばに転がる

するとその匂いに

一匹が一瞬、気を取られた。


「今!」


ロープの端を引く。


森狼の足元から網が一気に引きあがり

後ろからとびかかってきた狼を捕獲する


「よし!」


俺は木剣にも魔力をまとわせ突き刺した。

ズブリッ

手応え。

嫌な感触。

暴れる森狼からすぐに離れる


その瞬間。

低い唸り声が森に響いた。

エルダーフォレストウルフリーダーが姿を現した。


「でかっ」


近くで見ると

大型犬どころではない。

小さな熊に近い。


「……無理では?」


『弱気になるな。群れを崩せば勝機はある』


リーダーはすぐには飛びかかってこなかった。

こちらを見ている。


俺の手元。

罠。

結界。

足元の火種。


見ている。


「こいつ、考えてる……」


残りの二匹が左右に広がる。

リーダーが正面。

完全に囲む動きだ。


「まずい」


俺は結界側へ下がろうとした。

だが、右の森狼が先回りする。

賢い。

逃げ道を塞いできた。


心臓が跳ねる。

危機察知が鳴りっぱなしだ。


「落ち着け……落ち着け……」


怖い。

考えろ・・・

完全に囲まれる前に

マジックボックスから小石を取り出す。


身体強化。

投げる。


「くらえ!」


一つ目は外れた。

二つ目は右の森狼の鼻先に当たった。


「キャンッ!」


一瞬、動きが止まる。


そこへ火魔法。


「ファイア!」


足元の枯れ枝に火がつく。

ぼわっと炎が上がる。

右側の森狼が後退した。

逃げ道が開いた。


俺はそこへ走る……ふりをした。


リーダーが動いた。


正面から突っ込んでくる。


速い。

怖い。


でも、読んでいた。


「今!」


俺は直前で横へ跳び、地面のロープを引いた。


リーダーの前足に罠が絡む。

だが、リーダーは倒れなかった。

筋力で引きちぎろうとする。


「嘘だろ!」


『今じゃ!』


リーダーの首には届かない。


なら、足だ。


俺は身体強化を全力でかけた。

筋肉が軋む。

魔力が一気に減る。


「うおおおおっ!」


木剣を前足の腱あたりを横なぎにする。

リーダーが咆哮する。

リーダーが逆の足でこちらを殴りつける

交わしきれずに左肩のあたりに衝撃がはしり

俺の体が吹き飛ぶ。

背中から地面に叩きつけられた。


「がはっ!」

「いってぇ・・」


リーダーが片足を引きずる。

動きが鈍った。

残りの森狼二匹が襲いかかってくる。


俺は転がりながら結界側へ逃げた。


結界をわかっているのか生かせないように

一匹が飛ぶ。


ゾワリとした肩口から森狼に向かって手を伸ばす

瞬間

こちらの左肩にとびかかってくる


「くらえ!」


俺は火球を撃つ。


近距離。


火が森狼の顔の前で弾け爆発する。

森狼は火球があたり顔を上にのけぞらした。

目の前の喉笛を切る。

二匹目が倒れる。


「ふぅぅぅ」


もう一匹が俺の左腕に噛みついた。


「ぐああああっ!」


痛い。

耐性があっても痛い。

牙が食い込む。

俺は叫びながら、着火の魔法を発動する。


「ファイア!」


上手く森狼の目を焼けたらしい


「キャウンッ」


森狼が口を離した

俺は木剣を森狼の後頭部に思い切りたたきつける。


怖い。


でも、ここがチャンスだ。

身体強化。

足を踏み込む。

木剣を叩き込む。


三匹目が倒れる。


残るは、リーダー。


リーダーは片足を引きずりながらも、まだ立っていた。

目が怒っている。

いや、怒りだけじゃない。

こちらを殺す意思がある。


俺は木剣を握りしめる。

手が震える。


魔力は残り少ない。

体も痛い。

腕から血が流れている。

でも、相手も無傷じゃない。


「……いくぞ」


リーダーが低く構える。

俺も木剣を構える。


来る。


危機察知が胸元のあたりに強く反応する。


リーダーが跳んだ。

速い。

怪我をしているのに速い。


思い切り右に避ける

よけざまに上から剣を振り下ろす


身体操作。

足。

腰。

肩。

腕。


一週間、何度も振った動き。

しかし右手だけだと力が入りきらない


「――っ!」


後頭部に木剣を食らいながらも着地し

すぐにこちらを向き飛び掛かってくる。

避けられない・・


重い衝撃。

地面に押し倒される。


「ぐっ……!」


リーダーの体重がのしかかる。

俺の頭にかみつこうと咢をあける


ヤバイ。。


木剣じゃ長すぎて攻撃できない

ここまでか・・・


リーダーの牙が迫る


『解体ナイフがあるじゃろ!!』


アイテムボックスから手元にナイフを出し

魔力をまとわせる

身体強化に残りの魔力をそそぎこむ


「この……!」


ナイフを首元へ突き立てる。


ズブリ

首に深く刺さる解体用ナイフ


二度。

三度。

リーダーの首が力なくのしかかる

重い体が完全に動かなくなった。


ハァ、ハァ、、、、ハァ、、


「ちょ・・おも・・・これ抜けれな・・」


リーダー押しつぶされるように乗られているためなかなか出れない

でも


「……勝った?」


俺はリーダーの下から必死に這い出した。


全身が痛い。


腕は噛まれている。

背中も痛い。

魔力はほぼない。


でも、生きている。


エルダーフォレストウルフ三匹。

エルダーフォレストウルフリーダー一匹。


全部、倒した。

結界内へ転がり込んだ。

その瞬間、緊張が切れた。


「はぁ……はぁ……はは……」


笑いが漏れた。


怖かった。

痛かった。

何度か死を覚悟した。


でも。


「勝った……」


『うむ。よくやったのじゃ』


「……今の、褒めました?」


『そうじゃが?』


「明日、雷ですか?」


『おとしてほしいのか?』


終えは首を横に思い切り振る


そして

俺は地面に大の字になった。

空が青い。

ちょっと前と同じ青空なのに、少しだけ違って見えた。


目の前に半透明の板が浮かぶ。


戦闘勝利

- エルダーフォレストウルフ ×3 を討伐しました

- エルダーフォレストウルフリーダー ×1 を討伐しました


Lvが2あがりました。

・体力 : 198

・魔力 : 140

・筋力 : 127

・耐久 : 120

・敏捷 : 128

・器用 : 120

・知力 : 114

・精神 : 128

・幸運 : 12


- 身体操作 Lv1:熟練度上昇

- 身体強化 Lv1:熟練度上昇

- 火魔法 Lv1:熟練度上昇

- 危機察知 Lv1:熟練度上昇

- 解体 Lv1:熟練度上昇

- 精神耐性 Lv4:微上昇

- マジックボックス Lv1:熟練度上昇


「……解体の熟練度も上がるのか」


『これから解体するからの』


「今!?」


『また寄ってくるぞ?』


「ああ・・・・なるほど・・・」


『井戸水を飲め。洗え。そしたら解体じゃ!』


「ブラック女神……」


空が光った。


「褒めてます! 主に労働意欲を刺激するタイプという意味で!」


光は消えた。


俺は学習する男である。

言い換えも少しずつ上達している。


ただし、今日だけは。

今日だけは、少し休ませてほしい。

そう思いながら、俺は井戸の方へ這っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ