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Project Alpheos(プロジェクト・アルフィオス) ~あなたのリクエストで星の未来を取り戻せ~  作者: だしのもと
Project Alpheos 体験ミニストーリー(星レベル10~

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【花より団子の意味】

※挿絵はAIイラストを使用しています

 桜並木の下で、キララは立ち止まった。

 ひらひら舞う花びらを見上げて、それから屋台へ視線が吸い寄せられる。


「やっぱり、こっちのほうが気になる!」


 甘い香りのする団子が、春の風の中でつやつや光っていた。


「桜も好き! でもおいしいものはもっと気になるの!」


「お花見なのに?」と店の人に笑われても、キララは胸を張った。

 受け取った串をそっと口に運ぶ。

 もちもちした食感と、やさしい甘さ。思わず頬がゆるんだ。


「んー……しあわせ……!」


 見上げれば桜はきれいだけれど、今のキララには手の中の団子のほうがずっと春らしく思えた。


「これがみんなが言う『花より団子』ってやつだね!」


挿絵(By みてみん)


 得意げにそう言ったキララの隣で、ピカルがゆっくり歩み寄ってきた。


「……その使い方、少し違うぞ」


「え、そうなの?」


 キララは串をくわえたまま、きょとんとした顔をした。

 ピカルは桜を見上げてから、口を開いた。


「花より団子っていうのは、風流なものより実利を取る、っていう意味だ。美しい花を眺めるより、腹を満たす団子のほうがいい、と」


「うん、まさに今のわたし!」


「そうとも言い切れない」


 ピカルは少しだけ考えるような顔をした。


「本来はちょっと皮肉が入ってる。風流を解さない、情緒がわからない、っていう含みだ。花の美しさより食い気を優先する人を、少しからかうような......」


「え、じゃあわたし、からかわれてるってこと!?」


「使い方によっては、な」


 キララは慌てて桜を見上げた。

 それからまた団子を見た。

 桜と団子を、忙しく往復する。


「でも、わたしは桜もちゃんときれいだと思ってるよ! さっきもいっぱい見たし!


「知ってる」


「団子が気になるのは、桜がきれいじゃないからじゃなくて、団子もおいしそうだからで……あれ、なんか言い訳っぽい?」


「言い訳っぽいな」


「え~~~!」


 ピカルがかすかに口の端を上げた。

 キララがむっとして頬をふくらませる。


「じゃあさ! お兄ちゃんは、花と団子、どっちなの」


 ピカルは桜を見上げた。

 花びらが一枚、彼の肩に落ちて、すぐに風に連れて行かれた。


「……俺は、両方でいい」


「なにそれ、ずるい! それずるい答えだよ!」


「ずるくない。実際、そう思っただけだ」


 キララは何か言い返そうとして、やめた。

 ピカルの視線が、桜のほうへまっすぐ向いていたからだ。

 花を見ているときのピカルの目は、いつもより少しだけ穏やかで、こういうときに何を言っても野暮な気がした。

 キララは残りの団子を一口で食べて、それから自分も桜を見上げた。


「……じゃあ、わたしも両方にする」


「さっきまで団子一択だっただろ」


「気が変わったの! 団子食べたら、桜を見る余裕ができたんだよ」


「それは、それでいいのかもしれないな」


 ピカルがそう言うと、キララはにっこり笑った。

 二人で並んで、しばらく桜を見上げた。

 花びらが降るたびに、甘い団子の香りがふわりと混ざる。

 花も団子も、どちらも春だった。

 どちらか選ぶ必要なんて、本当はなかったのかもしれない。


「お兄ちゃんも団子食べる? もう一本買ってくる!」


「……一本だけな」


「オッケー! そこで待ってて!」


 キララは元気よく屋台へ駆けていった。

 その背中に、桜の花びらがひとひら、ふわりとついていった。

投票リクエスト:花より〇〇 でキララが選ばれました


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