【ひまわりの約束】
※挿絵はAIイラストを使用しています
「わぁっ……全部、こっち見てるみたい……!」
キララは風に揺れるリボンをなびかせながら、 ひまわりの迷路に飛び込んでいった。
辺り一面、黄色の海。
太陽に向かってまっすぐ背を伸ばすひまわりたちは、 まるで「こんにちは!」と声をかけてくれるようだった。
麦わら帽子を片手に、くるりとターン。
「ねぇお兄ちゃん!アルフィオスにはこんなお花、 咲かないよね?」
太陽のようにまぶしいキララの笑顔に、 ピカルは少し目を細めてうなずいた。
「ここまで力強くまっすぐに咲く花は ……たしかにあまり見なかったな」
キララはしゃがみこみ、 一輪の小さめなひまわりにそっと触れる。
「大きい花もいいけど、こんなちっちゃくても咲いてるこの子。すごく頑張ってて可愛いって思ったんだ」
風が吹くたび、金色の太陽たちが穏やかに揺れる。
まるで、キララの言葉に喜んで応えるように見えた。
その光景は地球での一瞬の体験が、 彼女の心に深く根を下ろしたことを物語っていた。
「ねぇ、お兄ちゃん!」
キララは立ち上がると、ぱっと両手を広げて、ひまわりの海に向かって大きく伸びをした。
金色の花たちと同じように、まっすぐに空へ、希望か何かを届けるように。
「アルフィオスにも、咲かせられるかな? こんなふうに、たくさんのひまわり!」
ピカルは少しだけ目を伏せ、空を仰ぐ。
その視線の先には、地球の青空と、遠く離れた故郷の記憶が重なっていた。
「土の質も気候も違う。だから同じ花を咲かせるのは、きっと簡単じゃない。けど……」
「けど?」
「育ててみる価値はあると思うよ」
キララの顔に、ぱあっと笑顔が咲いた。
「そっか!じゃあ帰ったら、まず“ひまわりチャレンジ”からだねっ!」
そう言って、ポケットから取り出したのは、観光案内所でもらった『ひまわりの種入りお土産キット』。
ひと袋に、ちいさな種が数粒。
キララにとってはそれが宝物だった。
「これ、持って帰るね。アルフィオスの土でも、ちゃんと咲いてくれるように..…」
ぴたりと風が止み、ひまわりたちが揺れをやめる。
「キララ」
「ん?」
「……水やりだけは、忘れるなよ」
「ふふん、それはぬかりはありませんっ!」
笑い声が空に響き、またそよ風が吹いた。
この地球の片隅で咲くひまわりは、たった一人の少女の願いを乗せて、いつか遠い星へ旅をする。
きっとその花が咲く頃。
アルフィオスにも今より少しだけ、あたたかな光が差し込むのかもしれない。
投票リクエスト:キララにひまわり畑体験をしてもらう
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