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Project Alpheos(プロジェクト・アルフィオス) ~あなたのリクエストで星の未来を取り戻せ~  作者: だしのもと
Project Alpheos 外伝

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59/91

番外編  『Trick or Dream』

※挿絵はAIイラストを使用しています

①キララ、かわいい魔女になる


 ハロウィンというイベントについて、キララは興味津々で調べていた。


「このハロウィンってイベント、体験してみたいなぁ‥‥‥」


 何気なく呟いたその夜、キララは不思議な夢を見た。

 地球ではなく、見慣れた故郷の風景。

 そして自分の手がとても小さい。


「えっ‥‥‥!? なにこれ!?  私‥‥‥小さくなってる!?」


 慌てて鏡をのぞくと、そこには6歳くらいのキララが魔女のような恰好をしていた。

 ほっぺたもぷにぷに、声も少し高い。

 そして手には地球で見たカボチャランタンのキャンディの詰まったバスケットが握られている。


「まさか、これは噂のハロウィン!?」


 夢の中のアルフィオスに、地球の風習が入りこんでいた。

 どうやら今日は『Trick or Treat』の夜らしい。


「よーしっ! お菓子をみんなからいっぱいもらっちゃお〜〜!」


 キララの『夢のハロウィン冒険』が始まった。


挿絵(By みてみん)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


②お兄ちゃん本気モード、発動


 静かな記録室。

 書架の間を渡る光の粒が淡く揺れていた。

 ピカルは守冠を付け今日も机に向かい、分厚い資料を熟読している。


 その背後から、ちょこちょこと足音が近づいた。


「トリック・オア・トリート!!」


 ピカルの手が止まる。


「‥‥‥?」


 振り返るとそこには小さなキララが、魔女の帽子をちょこんとかぶって立っていた。


「キ、キララ? どうしたんだ、その格好は!?」


「へへっ! これは『ハロウィン』っていう地球のおまつりなの!  『トリック・オア・トリート』って言ってね!  お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうんだよ!」


「いたずら? それは、文化的な許容されるのものか?」


「ん~~~~たぶん!」


「たぶんって‥‥‥」


 ピカルは小さくため息をつきながらも、引き出しを開ける。

 中には、休憩用に取っておいた甘いクッキーがあった。


「仕方ない。『地球文化の再現研究中』として‥‥‥はい。」


挿絵(By みてみん)


「わーい! ありがとうお兄ちゃん!」


 ぱぁっと笑顔を咲かせる小さなキララ。

 だが、ピカルの『お兄ちゃん本気モード』はここからが長い。


「ただし食べすぎは禁物だ。糖分の摂取は脳に影響を――」


(やばっ、長いやつ始まった‥‥‥!)


「それにだな、『トリック・オア・トリート』という地球の文化には社会的背景が――」


 キララはバスケットを抱えたまま、そろりそろりと後ずさる。

 そして‥‥‥


「ありがとうお兄ちゃん! 次行ってきまーす!!」


「ちょ、説明がまだ――!」


 彼の声が記録室に響いた頃には、 小さな魔女はすでに次の冒険へ飛び出していた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


③いたずらは結構利く?


 キララはかぼちゃランタンの灯りに導かれるように歩いていた。


 バスケットの中には、ピカルからもらったクッキー。

 けれど、まだまだお菓子は欲しい。


 やがて灯りの漏れる家の前に辿り着く。


 金属のきしむ音がする。

 中では何かを直しているらしい。


「アルー!!! トリック・オア・トリート!!」


 バターン!とドアが勢いよく開いた。

 赤毛の男が顔を出し、目を丸くする。


「おおっ!? キララ! どしたそのチビ格好!」


「えへへ、ハロウィンっていうんだよ! お菓子くれなきゃ、いたずらするの!」


「ほぉ〜‥‥‥いたずら、ねぇ?」


 アルデンの口元がにやりと上がる。


「言ってみろ、どんな『いたずら』する気だ?」


 キララは腕を組んで、うーんと考えた。

 そして、ぱっとひらめいたように指を立てる。


「お兄ちゃんにアルデン『おじちゃん』って呼ばせる!!」


「‥‥‥なっ!?」


 ガタッと音を立てて立ち上がるアルデン。


「そ、それはやめてくれ! ピカルに言われるのは精神的ダメージがでかい!!」


「ふふーん、じゃあお菓子ちょうだい?」


「くっ‥‥‥交渉成立だ‥‥‥!」


 観念したように肩をすくめ、机の上からチョコを取り出す。


「ほらよ、甘いやつ。ちびちゃん用に特別だ」


「わ〜〜い!」


挿絵(By みてみん)


 キララはぴょんと飛び跳ねて受け取る。

 アルデンはその様子を見ながら、ふっと笑った。


「‥‥‥なんか懐かしいな。お前、昔もよくこうやって俺のとこ来てたよな」


「そうだったね!」


「『アルー遊ぼ〜!』って。俺の工具箱ひっくり返してた」


「あはは〜‥‥‥そんなこともあったね‥‥‥」


 キララは頭をかきながら笑う。


「ま、今も似たようなもんか」


「むぅ〜〜っ!」


 キララは怒ったように見せて、でもすぐ笑いに変わる。

 その笑顔に、アルデンも思わず頬を緩めた。


「‥‥‥夢でもいい。こうしてまた笑ってくれるなら、それで十分だ」


「え?」


「なんでもねぇ。ほら、行ってこい。次はあの人のところだろ?」


「うんっ! ありがと、アル! またね!」


 笑いながら駆け出す小さな魔女の背中を見送り、 アルデンはひとり、窓の外の星空を見上げた。


「‥‥‥まったく。あの子には、敵わねぇな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


④感謝と甘さが溶けあう時


 長い廊下の先に、月光が差し込む執務室があった。


 キララは両手でカボチャのバスケットを抱えながら、気づかれないようにそっと顔をのぞかせる。

 部屋の奥、机に向かって書類をめくる金髪の青年。

 ノヴァだ。


(お仕事中だよね、入ったらまずいかな)


 恐る恐る一歩踏み込んだ瞬間、ペンの音が止まった。


「‥‥‥何の用だ」


 冷静で整った声。


 いつも通り、少し怖い雰囲気。

 かけられた声に心臓が飛び出そうだけれど、ここは夢の中。

 キララは勇気を出して言った。


「ノヴァさま! トリック・オア・トリート!」


「何だそれは」


「えっと、地球の『ハロウィン』ってお祭りです! 『お菓子をくれなきゃいたずらする』って言う日なんです!」


 ノヴァは一瞬だけ目を細めた。

 その顔には「理解不能」という文字が浮かんでいる。


「つまり、脅迫による供与行為か?」


「ち、違います! 楽しいイベントなんです!」


「地球の文化は相変わらず奇妙だな。菓子を渡せば、『いたずら』とやらは回避できるのか?」


「えっと‥‥‥そうなんですけど‥‥‥」


 キララは、少しだけ首を横に振った。


「でも、今日は違うんです」


 そう言って、バスケットからゴソゴソと飴を取り出し渡した。


「ノヴァさまには、こっちをあげます!」


「‥‥‥私に?」


「はい! いつも私たちを支えてくれて『ありがとう』の気持ちです!」


 ノヴァの目が、ほんの少しだけ見開かれる。


「感謝‥‥‥か。久しいな、その言葉は」


「え?」


「いや、なんでもない」


 視線をそらし、静かに飴を受け取るノヴァ。


挿絵(By みてみん)


「甘いものは得意ではないが、今回は特別だ」


「えへへっ! よかったです!」


 キララは嬉しそうに笑い、バスケットを抱えて一礼した。


「それじゃあ、失礼します!」


 駆け出していく足音が遠ざかる。

 静寂の中、ノヴァは小さく息をつき包みを開く。


 ほんの一口。

 甘い香りが口の中に広がる。


「いつも騒がしい子だ」


 そう呟きながらも、彼の唇の端にはかすかな笑みが浮かんでいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


⑤オレンジ色が見せた奇跡


「‥‥‥んぅ~~‥‥‥あれ‥‥‥?」


 キララはゆっくりとまぶたを開けた。

 カーテンの隙間から、朝の光が差し込んでいた。


 昨夜の夢の余韻が、まだ胸の奥に残っている。

 あの魔女ドレス、ピカルのお小言、アルデンの笑い声、そしてノヴァの少しだけ綻んだ顔。

 全部、鮮やかすぎて夢とは思えないほどだった。


 ふと視線を動かすと、枕元に見慣れないものがあった。


「ん‥‥‥え?」


 そこには、かぼちゃランタンのバスケット。

 中にはピカルからもらったクッキー、アルデンのチョコ、そしてノヴァにあげたはずの飴まで、ひっそりと混ざっていた。


「うそ‥‥‥? これ、夢じゃ‥‥‥ない?」


 キララはバスケットを胸に抱きしめる。

 あたたかな朝の陽だまりの中で、ランタンの顔がやさしく微笑んでいるように見えた。


挿絵(By みてみん)


「ふふっ‥‥‥楽しかったなぁ‥‥‥」


 つぶやいた声が朝の光に柔らかく溶けていく。


 本当に夢だった?

 それとも少しだけ現実が混ざっていたのか?


 それは、もうどうでもいい気がした。

 だって、こんなに胸がぽかぽかしてるのだから。


 キララはもう一度バスケットを見つめて、笑みをこぼしたのだった。

星レベル13解放ストーリーとして、番外編を5夜連続で投稿したものをまとめたものです。

外伝ネタが含まれるので、外伝のトピックに番外編として投稿しました。

余談ですが、各イラストの構図はキララ幼女版の目線で作ってます。


お読みくださりありがとうございます!

ブックマーク、評価、コメントを頂けると大変嬉しいです!!


リクエスト企画の方は不定期で参加者様を募集してます。

Xで最新情報を投稿してますので、よかったらご覧ください。


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