【かき氷と氷のきもち】
※挿絵はAIイラストを使用しています
「……キララはもう、溶けてしまうかもしれない……」
キララは畳の上でぺたーんと伸びきっていた。
扇風機は頑張って回っているのに、まったく追いつかない猛暑日。
髪の毛もぴょんぴょんと跳ねあがり、顔には玉のような汗。
「……水風呂を所望します……あるいはレモンのかき氷……」
バタリ。
キララの手がぴくりと動いて、隣にあるリモコンにかろうじて触れる。
しかし、ピッと音がしたと思ったらテレビがついて、甲子園の応援が鳴り響く。
「ちがーう!!テレビじゃなくてエアコンーー!!」
部屋に響く、キララの叫びと、テレビからの「ファイトー!」の声援。
その瞬間、遠くからコーギーちゃんがタオルを咥えて走ってきた。
「おぉ……救世主……!」
キララ、復活なるか!?
それともこのまま夏に完敗か!?
コーギーちゃんが運んできたのは、ひんやり冷えたタオルと首に巻いた保冷剤入りバンダナ。
「おぉ……その首元の装備、キララにも……っ」
「これでよければ使っていいよ~」
ぷるぷるとコーギーちゃんがスカーフを外すと、キララはそれを受け取って、首付近に当てる。
「……生き返るぅ……」
その頃、台所ではピカルが静かに氷を削っていた。
(夏バテにはまず水分と糖分、そして温度調節……)
ガラガラと鳴る氷の音、サクサクと削れる音。
まもなく、ピカル特製・レモンミントかき氷が完成する。
「……キララ、特製氷菓を持ってきた」
「お兄ちゃん……!!」
一気に起き上がりかけが、ぐらっと立ちくらみでふらついたキララを、ピカルがすっと支える。
「……無理はするなと言っただろう」
「でも……氷があるって思ったら、力湧いてきちゃって……!」
その言葉に、ピカルはふっと目を伏せ、小さく笑った。
「なら、まずは食べながらクールダウンだ。氷の気持ちになって」
「はいっ!“とけちゃだめだ、キララ”って言い聞かせながら食べるね!」
(それは氷の気持ちというより……自分の気合いでは?)
ピカルはツッコまずに、もう一口分の氷を削り始めた。
「……おかわりある?」
「ほどほどにしろ。今度は体が冷えすぎて溶けなくなるぞ」
「それもそれで……いいかも……」
夏の日差しは強くても、ふたりと一匹の涼は、ゆるくてやさしくて、ちょっと甘かった。
リクエスト:キララで夏バテ
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