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Project Alpheos(プロジェクト・アルフィオス) ~あなたのリクエストで星の未来を取り戻せ~  作者: だしのもと
Project Alpheos 外伝

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外伝 第4話 託される決意

※挿絵はAIイラストを使用しています

ピカルは資料整理のために自室に籠もっていた。

コーギーちゃんも「ちょっと散歩してくる」と言って外に出ている。

リビングには、アルデンとキララだけが残されていた。


「キララ」


アルデンが静かに声をかける。


「うん?」


キララが顔を上げると、アルデンは真剣な表情を浮かべていた。


「もう少し、話しておきたいことがある」


「さっきの星の話とは違うこと?」


「ああ、今度はアルフィオス……俺たちの故郷の話だ」


その言葉に、キララの表情も引き締まった。

アルデンが語り始める。

だが彼の言葉を区切るように、場面はゆっくりと変わっていった。

___________________


アルフィオス エルグラン家統治領、中央執務室


ノヴァは執務机の前で、映し出されたホログラムの陳情文を睨みつけていた。

金髪が室内の光を受けて揺れ、赤い瞳には苛立ちと疲労が宿っている。


『エルグラン家次期当主ノヴァ殿


我々旧派一同は、リアナス家兄妹の地球派遣について、深刻な懸念を表明する。

即刻、この愚策を中止し、兄妹をアルフィオスに召還すべきである。

リアナス家との和解など無用。

過去に星を混乱へ導いた者たちと手を組むなど、エルグラン家の歴史に対する裏切りである。

先代当主が示された道こそが正しく、我々はその意志を継承すべきと考える。


速やかなる決断を求む。


旧派代表一同』


「……くだらない」


ノヴァが陳情文を強引に消した。

扉が開き、側近の一人が恐る恐る入ってくる。


「ノヴァ様、親和派の代表が面会を求めております」


「通せ」


短く答えると、数名の親和派議員が執務室に入ってきた。

彼らはノヴァの改革路線を支持する若手派閥だった。


「ノヴァ様、旧派の圧力が日増しに強くなっております」


代表格の議員が憂慮した表情で報告する。


「承知している」


ノヴァが立ち上がり、窓の外を見つめる。

荒廃した地域が遠くに広がっていた。


「しかし、このまま両家の力を分散させたままでは、星の再生など不可能だ」


「我々もそう考えております。ですが旧派は...」


「『過去に星を混乱へ導いた』か」


ノヴァが冷たく呟く。


「彼らはリアナス家の警告を無視し、資源を使い果たしたことを忘れたのか」


親和派の議員たちが顔を見合わせる。

次期当主がこれほど明確に旧派を批判するのは珍しかった。


「ノヴァ様のお父上である現当主も、旧派の意見を——」


「父上は変わろうとしない」


ノヴァの声に苦々しさが滲む。


「古い考え方に固執し、このまま星が衰退するのを黙って見ているつもりだ」


執務室に緊張が走る。


「私は父上のようにはならない」


ノヴァが振り返り、赤い瞳で親和派の面々を見据える。


挿絵(By みてみん)


「エルグラン家が真に星を統治する資格があるのなら、過去の過ちを認め、新しい道を選ばなければならない」


「しかし、旧派の勢力は」


「抑え込む」


きっぱりと断言する。


「リアナス家兄妹の地球派遣は続行する。彼らが持ち帰る知見こそが、この星の未来を変える可能性を秘めている」


「ですが、陳情は日に日に増えておりますが」


「全て却下だ」


ノヴァが机を軽く叩く。


「旧派がどれほど騒ごうと、私の決定は変わらない。親和派の諸君は、引き続き私を支持してくれるか?」


親和派の議員たちが深々と頭を下げる。


「無論です、ノヴァ様」


「ならば、旧派との会議を再度設定しろ。徹底的に議論する」


「承知いたしました」


議員たちが退出していく。

一人残されたノヴァは、再び窓の外を見つめた。


「簡単な道など存在しない……だが進まねば全てが失われる。それだけだ。」


小さく呟く。


机の上には、地球からの定期報告書が置かれていた。

兄妹の活動記録が詳細に記されている。

ノヴァはそれを手に取り、静かに読み始めた。


旧派との戦いは厳しい。

父との確執も深まるばかりだ。

それでも、ノヴァは信じていた。

この道の先に、星の再生がある。


そして、かつて断絶した両家が再び手を取り合える未来に意味があると。

____________________


地球の拠点、リビング


「私たちが地球にいる……ということは?」


キララが不安そうに問いかける。


「ノヴァ様が必死に支持派と協力して、旧派を抑え込んでいるんだ」


アルデンが苦い表情を見せた。


「あの方も相当苦労してるらしい。毎日のように旧派との会議や調整に追われているって聞いた」


キララは小さくうつむいた。


「私たちがここにいることで、ノヴァ様に迷惑をかけているんだ……」


「迷惑じゃない」


アルデンがきっぱりと否定する。


「ノヴァ様も、お前たちの活動が星の未来に必要だと信じているからこそ、政治的なリスクを背負ってまで支援してくれてるんだ」


「でも……」


「一方で、お前たちのリアナス家側の状況も複雑だ」


アルデンが続ける。


「リアナス家とその関連派閥は、エルグラン家の旧派ほど過激に反対はしていない」


「それはなんとなく感じてたけど……。 お父さん達も、他の一族のみんなも、今回の地球派遣のことでは特に強く反対も賛成もしていない感じがして……なんか変だなって」


「その反応の鈍さからするとそういうことになるな。あまり関係修復を望んでいない様子なんだろう。」


キララが困惑した表情を見せる。


「どういうこと?」


「長年の対立で、もう諦めに近い感情を抱いているんだと思う。『どうせ分かり合えない』って」


「本当にみんな...そう思ってるのかな....」


一族にまつわる話の経緯を大まかにしか知らないキララの声には戸惑いが混じっていた。


「両家とも、お互いに対して複雑な感情を抱いている。憎しみというより、深い失望と諦めなんだろうな」


アルデンが窓の外を見つめる。


「これが、俺が調査してきた他の星々で見た分裂のパターンと同じなんだよ」


しばらくの沈黙が続いた。

キララは膝の上で手を握りしめて、俯いている。


「そんな状況で私たち……本当にアルフィオスを救えるのかな」


その弱音に、アルデンがキララの方を向いた。


「キララ」


アルデンの声に、強い確信が込められていた。


「お前が、両家の架け橋になればいい」


「えっ?」


キララが顔を上げる。


「私が……架け橋?」


「そうだ」


アルデンが頷く。


「ノヴァ様は統治者としての立場がある。ピカルは記録者として真面目すぎる。でもお前は違う」


「私は何も特別じゃないよ!」


キララは慌てて手を振りながら否定した。


「お前は人の心に触れるのが上手いんだ」


アルデンが優しく微笑む。


「昔からそうだった。俺だって、最初にお前に会った時からそう思ってた」


「でも、私にそんな大きなことができるのかな……」


キララが不安そうに呟く。


「政治とか、難しいことは分からないし……」


「政治なんて関係ない」


アルデンが断言する。


「お前に必要なのは、ただ真っ直ぐな心だけだ」


「真っ直ぐな心……」


「お前がここで学んでいることを、素直にアルフィオスの人たちに伝えればいい。地球の人たちがどんなふうに協力しているか、どんなふうに希望を持っているかをな」


キララがゆっくりと頷く。


「でも、両家の人たちが聞いてくれるかな……」


「最初は難しいかもしれない。でも、お前の言葉には力がある」


アルデンが立ち上がって、キララの肩に手を置く。


「俺が見てきた衰退した星々には、お前のような存在がいなかった。希望を伝える人、心を繋ぐ人がいなかったんだ」


「アル……」


「だから俺は、お前に託したい」


アルデンの目が真剣に輝いている。


「両家を繋ぐ架け橋になってくれ。お前にしかできないことなんだ」


キララが胸に手を当てる。

重い責任を感じながらも、同時にアルデンの信頼が嬉しかった。


「分かった……」


キララがゆっくりと立ち上がる。


「私、頑張ってみる。アルが信じてくれるなら、私も自分を信じてみるよ!」


挿絵(By みてみん)


「そうだ、その調子だ」


アルデンが安心したような表情を見せる。


「まずは地球でしっかり学んで、お前なりの答えを見つけることから始めればいい」


「うん!」


キララの表情に、再び希望の光が宿った。


「お兄ちゃんにも話してみるね。私たち、きっと星を救ってみせる」


「ああ、俺も信じてる」


アルデンが豪快に笑う。

その時、ドアが開いて散歩から帰ってきたコーギーちゃんが入ってきた。


「おや、何だか良い雰囲気だね」


「コーギーちゃん!」


キララが駆け寄る。


「私、決めたよ。両家の架け橋になるって」


「おお、いいじゃない!素晴らしい決意だね!」


コーギーちゃんが尻尾を振る。


「AURORAとしても、全力で支援するからね」


「ありがとう」


キララがコーギーちゃんをそっと抱き上げ顔をうずめる。


「みんながいるから、私も頑張れるよ」


窓の外で、夜空の星が静かに瞬いていた。


遠くアルフィオスでは、政治的な対立が続いているかもしれない。

でも、この小さな地球の拠点では、確実に希望の種が育ち始めていた。


お読みくださりありがとうございます!

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リクエスト企画の方は不定期で参加者様を募集してます。

Xで最新情報を投稿してますので、よかったらご覧ください。


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