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エピローグ No.--- ガトー・BADEND

 トラブルに見舞われた卒業式の予行ダンスでしたが、一旦予定を中断し、現状の把握に努めることになりました。

 私はキアヤさんを呼び出すために、あちらこちらへ駆けまわることになってしまいました。

 私に対して猜疑的な対応をしたり、脅しって来たりする方々もいらっしゃいましたが、軒並みガトー様やお父様が退けて、守ってくださいました。

 王家の方々も協力的で、日ごろの護衛も貸し出してくださるくらいです。これも、私――というか、キアヤさんが聖女の可能性があるからでしょう。

 神殿からも、人がやってきます。ガシダラのような人間はおらず、時には過剰な信仰心ともいうべき対応をしてくれるので、恐縮してしまいます。お願いだから、出会っていきなり拝まないでください。

 

 ――余談ですが。

 念のためと国政調査が教会に入り、調査した結果、なんとガシダラは途中のイベントで発生した悪事のすべてが、漏れなく行われていたらしいのです。

 その話を聞いたときには、思わず卒倒しかけました。王様も王子も、あのような悪党を気づかなかったとはいえ野放しにしていたことを謝っていました。

 私に謝られても、と思ったのですが、キアヤさんは「いい気味だ」と笑っていました。

 

 キアヤさんは、改めて聖女である認定を、()()()()()()()()。キアヤさん本人が、洗礼の儀式を受けること自体を拒否されたのです。

 それになにせ、体は私と共有しており、私はこの国の人間ではないのです。

 ティティ王国の歴代の聖女は、すべてがティティ王国に身を置く人間だったので、外国の人間が聖女認定されたことはなかったのでした。

 教会としては、キアヤさんに先例の儀式を試みて、確認したいのでしょうが、キアヤさんが出てくる意思がなければ、私もキアヤさんに交代をお願いしていません。

 それに、急に聖女と認定され、ティティ王国に囲われることを、お父様は良しとしませんでした。外交問題だと切り捨て、日々交渉されております。

 教会には王国側からも監視が行われ、教会が実力行使に及ぶこともないようです。もっとも、それでも警戒するのが王族というものなのか、私は未だティティ王国から出られず、警護される日々を送っております。

 学園にも通っていますわ。もちろん、ガトー様と一緒に。

 残りの半年をつつがなく過ごし、私はガトー様と、ラプンツェルも晴れてカモミル王子と結婚することに相成りました。

 ここで、ガトー様がまさかの行動に出ます。

 ガトー様は、クラフィティ家に婿(むこ)入りしたのです。

 もし、ガトー様のところに私が嫁入りしてしまえば、教会に私がティティ王国の一員であるという隙を与えてしまうから、だそうです。

 お義父様とお義母様に、それでいいのか、と尋ねたところ、お二人はなんと新しいお子様を授かっているとのことで。先日の一件で、ガトー様が家から出ていくこともやぶさかではないと思っていたようなのです。

 お義母様は、ショコラーテ家の心配はいらない、と言われ、執事さんたちにも説得され、ガトー様の申し出を全面的に受け入れることにしました。

 気になるのは、お義父様とほとんどお顔を合わせることができなかったことです。キアヤさんが下世話な笑みを浮かべていたので、詳しくは聞かないことにしましたけど。

 王家の結婚式に合わせ、国中が忙しい隙にガトー様とティティ王国を脱出。母国で結婚式を挙げて、腰を落ち着けることができるようになったのでした。

 その際の、教会側の抗議や非難の声はすごかったらしいのですが、未だに尾を引くガシダラの悪行が足を引っ張っているようで、お父様と王国側の攻撃に太刀打ちができないらしいです。

 ガトー様も、改めてこの国の貴族の一員であるべく頑張っております。

 

 こうして、キアヤさんの降臨を発端とした、私とガトー様の恋物語は幕を閉じました。

 これからは、ガトー様との甘い日々の生活を――。

 

「大変だ、キアヤ!」

 

 と、部屋の扉を叩くように開けて飛び込んできたのは、ガトー様でした。

 私ではなく、キアヤを呼ぶということは、ティティ王国関連でしょうか。

 ノックもなしに飛び込んできたことで、大変な事態が起こっているのが嫌が応にも分かります。

 

「ティティ王国北の休火山が噴火した!何か知っていることはないか!?」


(ティティ王国の休火山?ユズキ火山のこと?)

 

 ユズキ火山にはランド様のイベントがあったのを思い出しました。人身売買事件の一件で、売買組織の手がかりとしてランド様と一緒にノアさんが向かうのです。

 ノアさんは、助けを求めた子供の手がかりを追う役として同行するのですが

 今や、ガシダラがいない上に、王国の手のものに人身売買組織は壊滅させられているはずですが。

 それに、そのイベントで噴火なんてなかったはずです。

 

「あの偽ノアロボットが、火山から噴火に合わせて出てきたんだ!それも、王城くらい巨大だ!今、王国には防御魔術師が集められて徹底抗戦の構えだ!

 何か情報を持っていれば知りたい!」

 

(知るかそんなことぉああああああぁぁぁぁ!!!)

 

 うるさっ!

 ガトー様からの説明で、キアヤさんが怒ったように声を上げました。私は――意味もないのに――思わず耳を塞いでしまいました。

 その様子に、ガトー様が訝し気に眉を上げます。

 

「えっと、それは一体……?」

「いえ、その。なんでもございません」


 ああ、ガトー様との甘いひと時は、いつ安心して過ごせるのでしょうか。

 










 

 ユズキ火山から現れた巨大な鋼のゴーレム。ガシダラの資本の元、あのマッドシップ男爵がひそかに、ノアの研究の傍ら作り上げていた、最終兵器であった。

 マッドシップの死刑が決定されたことで、所有者の危機を察知して動き出したのだ。

 それに立ち向かうが、決め手に欠け、防戦一方のティティ王国軍。

 そこに駆け付けたのは、王国の救世主、聖女キアヤであった。

 

「乙女ゲームにこんなもん持ち込むんじゃない!」

 

 彼女の怒りの声に、虹の神が応える。

 ロボットにはロボット。聖女ロボット『トゥルーノア』の降臨だ!

 

 次回、「ちがう、そうじゃない」。お楽しみに。

 ご拝読・ブックマーク・評価ありがとうございます。

 これにて完結でございます。思いつくままに筆を走らせたつたない話でございますが、楽しんでいただけたのなら幸いです。

 ノアロボって何だったの?ということですが、まず前提として、この世界はゲームと同じ歴史を刻む予定の世界であり、ノアロボのメモリーには確かにその歴史が刻まれておりました。

 しかし、マッドシップ男爵が、ノアロボをノアとして起動することで、歴史の歯車が狂います。

 歴史を記録するだけの古代のロボットは、メタエフェクトの効果で大暴れをしてしまい、歴史通り降臨するはずの虹の聖女は、同じ国の悪役令嬢にはノアロボの影響で近づけず、異国にいたチェリッシュに憑依することになった、という設定でした。


 まずは、このつたない小説をご拝読いただき、誠にありがとうございました。

 いずれまたアップロードするであろう新作も、もしよろしければお楽しみいただければと思います。

 この度は、ご愛読ありがとうございました。

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