第1話 プロローグ
AIと考えてるのですが、修正がやりずらいのと見返したい時不便なのでこちらに投稿させていただきます。
「……お菓子、三百円までかぁ」
机の上に並べたお菓子を見ながら、一ノ瀬葵は小さく唸った。
明日から、高校二年生の修学旅行。
楽しみな気持ちと、少しだけ不安な気持ち。
葵は買ってきたお菓子を一つずつ並べて、電卓を叩いた。
「チョコが百二十円で……クッキーが八十円。こっちが……」
合計金額は三百二十円。
「……二十円オーバー」
葵はしばらく悩んだ。
学校の決まりでは三百円まで。
だけど――。
「班のみんなに分けてあげたら、ちょっとは仲良くなれるかな」
葵は、お菓子を見つめながら呟いた。
クラスで、葵はあまり人の輪に入れていない。
誰かに「来るな」と言われたことはない。
ただ、気がつけばいつも一人になっている。
「私、人と話すの苦手だからなぁ」
だから、いじめられているとは思っていなかった。
自分が上手く馴染めないだけ。
葵はそう思っている。
「修学旅行なら、普段よりいっぱい話せるかもしれないし」
少しだけ勇気を出して。
葵は三百円を少し超えたお菓子をバッグに詰め込んだ。
⸻
翌朝。
集合場所は、修学旅行を楽しみにしている生徒たちの声でいっぱいだった。
「おはよう、葵ちゃん」
「お、おはよう。優奈ちゃん」
声をかけてくれたのは、星咲優菜。
クラスでも特に人気のある女の子だ。
「修学旅行楽しみだね」
「うん!」
少しだけ話していると、友達が優奈を呼ぶ声がした。
「優奈、こっち!」
「あ、じゃあまた後で」
「うん、またね」
優奈が友達のところへ戻っていく。
葵はその背中を見ながら微笑んだ。
「やっぱり優しいなぁ」
少し離れたところでは、天城湊も友達に囲まれている。
葵と目が合うと、湊は笑顔で手を振る。
葵も手を振り返す。
たったそれだけ。
でも葵には充分嬉しかった。
⸻
バスに乗り込み、班行動が始まる。
葵の班は、普段から仲の良い女子が中心だった。1人足りない席に、葵は入れてもらっていた。
最初の観光地に到着。
班員たちは観光地の入り口で写真を撮り始めた。
「みんなで撮ろう!」
葵もその輪に入ろうとする。
「一ノ瀬さん、カメラお願いね」
「え…」
「何?」
「……あ、うん」
葵は少し離れたところに立った。
カメラのシャッター音。
楽しそうな笑い声。
「……次、私も一緒に撮ってもらおう」
葵はそう思った。
けれど、みんなは撮影を終えると、そのまま次の場所へ歩き始めていた。
「あっ……」
葵は慌てて追いかける。
「待ってー!」
「一ノ瀬さん、歩くの遅すぎ。置いてくよ」
「ご、ごめん!」
葵は笑いながら走った。
⸻
昼食。
班員たちは四人掛けの席に集まっていた。
葵が近づくと、
「ごめん。ここもう座る人いるから」
「そっか」
別の席を探す。
空いている席は、少し離れた場所に一つだけだった。
葵はそこに座った。
「まあ、私が最後に来たしね」
一人で昼食を食べる。
でも、今日はここで終わりじゃない。
葵はバッグからお菓子を取り出した。
「そうだ!」
袋を開ける。
「みんな、よかったら食べて」
一瞬、班員たちが顔を見合わせる。
「これ、全部?」
「うん。ちょっと多めに買ってきたの」
一人が笑った。
「こんなに食べるから、ぶくぶく太るんだよ」
「え?」
葵に聞こえないくらいの小さい声で誰かが呟く。
「ううん、何でもない」
四人がクスクスと笑う
「え、あはは……」
葵もつられて笑った。
「いっぱいあるから、食べて食べて」
「じゃあ、もらうね」
お菓子を受け取ってもらえた。
嬉しかった。
「持ってきてよかった」
⸻
一日の班行動を終えて、バスへ戻る。
葵の席は、窓側だった。
今日一日。
思っていたほど、みんなと話すことはできなかった。
それでも――。
「お菓子、喜んでもらえたし」
満足そうに笑う。
「明日はもうちょっと話せるようになろう」
バスは夕暮れの街を抜けていく。
車内では生徒たちが楽しそうに談笑している。
葵は窓の外を眺める。
「……きれい」
赤く染まった空。
その向こうには、山々が連なっている。
しばらくすると、バスは山道へ入った。
葵はぼんやりと窓の外を見ていた。
そのとき。
「……ん?」
木々の間で、何かが光った。
「今の……何?」
目を凝らす。
けれど、もう何も見えない。
「気のせいかな」
そう呟いた瞬間だった。
――ゴォンッ!!
バスが大きく揺れた。
「きゃあっ!」
「何!?」
「先生!」
車内に悲鳴が響き渡る。
「全員、席から動くな!」
先生の声が響く。
そして――。
バスの上空に、巨大な光が浮かび上がった。
「……え?」
葵が見上げる。
そこには、見たこともない複雑な紋様。
巨大な魔法陣が、まるでバスそのものを包み込むように広がっていた。
光が強くなる。
「なに……これ……?」
葵は座席を強く握った。
胸が激しく鳴っている。
怖い。
何が起きているのか分からない。
だけど、本能だけは理解していた。
これは普通じゃない。
絶対に。
「これ……」
葵の口から、震えた声が漏れる。
「……死ぬやつだ」
その瞬間。
世界が、白い光に包まれた。




