表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
犬が転生したら飼い主と同級生になった件  作者: さく
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/33

2

 おはよう、ゆずちゃん。


 楪が居間まで下りてくると、祖母と祖父が迎え入れてくれた。すでに朝食ができあがっている。


 白いご飯と焼き鮭、それからお味噌汁。ふわっと広がるお味噌の匂いが朝を告げている。


 楪が座ると、三人そろって「いただきます」をした。


 音量が大きなテレビからは、朝のニュースが流れている。海開きが行われました。みてください、こんなに人が! こちらの方にお話をうかがってみましょう。こんにちは~!


 もぐ、と楪は焼き鮭を口に運ぶ。朝一番には塩辛い鮭が食べたくなる。鮭と白いご飯の組み合わせがよい。これを食べると頭がキリッとする。


 お味噌汁で食事を締めて、ごちそうさま。朝はあまりゆっくりしていられないので、せっかくのご飯をじっくり堪能はできない。ちょっともったいないとも思う。


 楪は立ち上がると、仏壇の前に座る。百円ライターで線香に火をつけて、香炉にさす。りんを二回鳴らして、手を合わせる。



「いってきます。お父さん、お母さん」



 顔をあげれば、遺影に映る父と母が微笑んでいた。「いってらっしゃい」と言ってくれているようだ。


 ――父と母は、楪が中学生のころに交通事故で亡くなった。車の正面衝突だった。後部座席に同情していた楪は無事だったが、父と母は緊急搬送された病院で亡くなってしまった。


 それからというものの、楪は誰かと親しくできなくなってしまった。失うのが怖いのだ。大切な大切な人を失ったときの悲しさ。怖さ。それに、これ以上耐えきれる気がしなかった。


 だから、楪は他人を拒絶する。人と距離をとる。祖父と祖母にすらも。



「いってきます。おじいちゃん。おばあちゃん」



 祖父と祖母が「いってらっしゃい。気をつけてない」と笑った。彼らは、よそよそしい態度をとる楪にすらも、とてもやさしかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ