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第四話


この世界に来て二日目の朝がやって来た。

怒涛の一日目だったと、感慨にふける時間もなく準備をぱぱっと済ませ、ドノガンに挨拶をしてから冒険者ギルドへと向かった。


冒険者ギルドにつくと朝イチなのかかなり賑わっている。

人混みを抜け、受付に向かうと昨日と同じ受付嬢さんが対応してくれた。


「あの、受けてくれたパーティーがいるんですがその……」


目が泳ぎしどろもどろになっている受付嬢さん……

どうしたんだと、声を上げるまでにその原因が人混みをモーセのごとく割って現れた。


「見つけましたー!その娘が依頼者ちゃんですねー!」


わっふーんとそんな擬音の似合いそうな犬耳を生やした少女が飛びかかってきた。

もちろん避けることなど出来ず、簡単に抱き上げられてしまった。


「ちょっ!?!だ、誰ですか?!」


「んー?誰って君の依頼を受けた冒険者だよー!僕はシヴァ!で、あっちは仲間のふたりー!」


抱き上げられおもいっきり顔をすり付けられている……

シヴァ……いや、柴だこの人


「もーシヴァ!依頼者が困ってるわよ!ごめんなさいね」


「ん……止めるべき……」


シヴァさんを勇めてくれているのは、耳が長く、金色の綺麗な髪をした女性その姿は……エルフなのでは?

そしてもう一人が……黒髪をポニーテールのように縛り、上半身にはジャパニーズ甲冑を纏う口数の少なめなサムライガールがそこには居た。


「どうなってんだぁ……」


その呟きは誰にも聞き取られずしばらくの間私は揉みくちゃにされるのだった……



ーーーーーーー


「落ち着いたようで何よりです……今回依頼を受けて頂いたパーティーなのですが……たまたまこの国に来ていた隣国の上位パーティーでして……帰還のついでということで金額も提示額で良いとのことで……はい。後は依頼者様次第なんですが……」


「すみません、ご迷惑おかけします……依頼の方はこの方達でお願い致します……」


「畏まりました。では、受理しておきますので……どうぞ……」


ありがとうございますと、発するよりも前に、


「よっしゃー!いこー!」


シヴァさんに抱き抱えられたままの私はそのまま言葉を出せぬまま冒険者ギルドを飛び出した……


ーーーーーーーー


「よしっ!休憩!」


町の姿はもうかなり遠くなり、峠の上から町が眺められるぐらいの場所でやっと私は解放された。

シヴァさんについてくるのがやっとだったのか二人のパーティーメンバーも肩で息をしている。


「ば、バカシヴァ…あんたいい加減に…しな……さい……」


「し、しぬ……」


「えぇ、二人が早く連れ出さなきゃって言うから僕頑張ったのに?ひどくなーい?」


しょぼんと耳が垂れる柴犬、シヴァさん。


「あの、私まだちゃんと自己紹介もしてませんし……」


「ふぅ……そうね、ちょっと、一息ついたらその話しもしましょうか……町からも離れたことだし……」


「うむ……ちょっと休んでから……」


「二人ともだらしないねぇー。もっと僕を見習ったらー?」


二人にアイテムBOXから水を取り出し渡して一息ついて貰う。

シヴァさんが僕にもー!と叫んでいたので同じように渡しておいた。


「ふぅ……よし、もう大丈夫。シヴァ、お座り」


「はいはーい。ねぇー膝のせていいー?」


「……もう、のせてる……」


いつのまにか敷かれたゴザのようなもの上に陣取りシヴァさんの膝の上に乗せられる私

もう、諦めてそのままその場でゆっくり体をもたれ掛からせる。

それが嬉しかったのか顎を頭の上におかれがっちりホールドされた。


「それであの……ほんと……何で私の依頼を受けていただけたのですが?」


率直に疑問に思ったことを伝える。

ギルドで受付嬢さんの戸惑いからこれは普通のことではないと考えていた。


「それはね、ドノガンさんに武器新調してもらって帰るつもりだったけど、帰るならつれてって欲しい奴がいると頼まれてね。」


「あっ、なるほど……」


ドノガンさん関係でしたか……

えっ、ドノガンさんホントに何から何まで……


「まぁ、帰るのに一人増えてもうちのパーティなら問題ないし、危ないでしょ子供が隣の国まで行くなんて。」


「あぶないぞー、僕たちなららくしょーだけどね!」


「…………(うんうんと頷く)」


よっぽどの自信だなと話を聞いていくと彼女たちは受付嬢さんも話していた通り、隣の国でメインで活動する上位冒険者達で実力は折り紙つき。

獣人で斥候のシヴァさん

エルフであり、後方で弓と魔法で戦うトネリコさん

前衛のメイン火力で人族東方出身のチヨメさん

それぞれ別の種族だが仲良くやっているらしい。

私も昨日の夜練り上げた自分のプロフィールを話す


「私はドワーフのカヤです。こう見えてお酒の飲める年なので正直今の状態は恥ずかしいです。ただ、普通のドワーフより力は強くないですが魔法がちょこっと使えます。」


ドワーフのお酒の飲める年は日本における年齢の半分から飲める。

もちろんこの体はその制約は突破してるので大丈夫だ。問題ない。

日本だと……ん。止めておこう。


自分をドワーフと名乗り、この状態は恥ずかしいと伝えたもののシヴァさんが解放してくれることはなかった。

本人曰くシヴァより若いからおとなしく守られてろと言われた。

解せない。


自己紹介もしっかり終わらせ、この後の日程だったり進む行程なども話す。

基本そういった関係はトネリコさんが全部やっているらしく、シヴァさんはあたりの警戒と食料調達に

チヨメさんもそれに同行している。


話しもまとまり、トネリコさんは二人に集合をかけ街道へと戻り進む事になった。


日が暮れる前に、他の冒険者や別の町に向かう商隊の馬車が集まる休憩場のような場所についた。

シヴァさんが端の方に場所を確保し、チヨメさんと共にぱぱっとテントを立てていく。

さすが冒険者と感心しながら自分は依頼者に書いたアピールポイントの準備をする。

受付嬢さんにこういうのは喜ばれるとお墨付きを貰ったものだ。

自分も正直、すごい楽しみである。

異世界で始めての料理、気合いをいれて作ろう!

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