第八話
「どういうことだよ…一体アイツら、どうしたんだよ…」
いつの間にか、口も利かなくなり帰りもばらばらになった、友人がいなくなった。
友人だったのに。俺だけじゃない、皆だってアイツとは、仲良かった、はずなのに。
誰もがどうでも良さそうに、もしくはアイツの存在をなかったかのように、過ごし、俺と接してくる。
「なんだよ……」
しかも、爺さんたちは、アイツがいなくなったことを、不安そうに話しているくせに、どこか喜んでやがる。仕方なく悲しむ演技しているみたいで、気味が悪い。
そんな態度を指摘して怒る前に、神隠しか誘拐か家出かと話しつつ、口元に張り付いた笑顔のせいで何も言い返せない。
間違いなく、異常だ。皆、おかしい。
「まさか……本当に、アイツ………を?」
だからと、俺に出来ることは、一つもない。どうしようもない日常を過ごすしかない。
いつものように、二人で帰ってた道を通って、日課のように樹を眺め……つい出てきた『あの単語』に、はっとする。
「ばっ、馬鹿馬鹿しい! なにがだ! そんなものあるわけねえだろ!」
今日も樹は樹であり、それだけだ。何度見ても何日見続けても、ただの樹だ。
けど、アイツは、ここにソレがあると言った。
アイツは、ソレを目指して行った。
アイツは、消えた。
「ああクソっ!」
今の俺にとっては憎しみ、憎悪の象徴。
「でも、本当に……」
吐き捨てたものの、思考は空転する。
アイツが言ったソレが、ここにあるのか。
本当に、ソレなのか。
永遠に続くソレなんて存在するのか。
いや、あるはずがない。
それなら、他の理由で行方不明になったと言われた方が、まだマシだ。
「…………」
じゃあなんだ、アイツがソレを見つけたと言うなら、今、俺がいる、ここはなんだ?
俺にとって、ソレとまでは言わないまでも、充実した時間を過ごせる、過ごしているこの町は。
この世界は、なんなのか。
「……地獄、なのか? だったのか?」
断絶してもいい、どうでもいい場所だったのか?
時には怒鳴りあったり、少し、ほんの少し殴り合いなんかもしたことある。
けど、ほとんど一緒の時間を過ごして、お互い気心が知れた仲だと思っていた……のは、俺だけだったのか?
「………」
強く首を振ったところで、落ち込んだ気分が晴れるわけでもない。
いつものように諦め、溜め息吐いて。
でも諦めきれず、泣きたくなるような気持ちで顔を持ち上げ。
「え」
ナニかが、見えた。




