第六話
「…なあ、最近、付き合い悪くね?」
「お前が何度も何度も同じ話しかしないからだ。一体どこのおばちゃんだ、まったく」
「は? 誰が、同じ話しかしてないって?」
「ほら。だから、また居残りさせられる…」
「またって何だよっ? 居残りはこの間の一回だけだ!」
『やはり失敗だ。彼の研究を否定し、手法を否定したものの、一から構築することは、文字通り雲を掴むものだ。
しかし、私は孤独ではない。彼女が私を支えてくれている。だからこそ、私は』
『駄目だ。どの方向からも結果に繋がらない。やはり彼の研究が最も××へ近づいているのか。方針を転換する必要があるのだろうか』
「あのさ、その、皆お前のこと心配してるんだが、なんか、あったか?」
「皆って誰だよ。どうせお前一人だろ」
「母ちゃんみたいなこと言うなって! 皆は皆だよ! クラスの皆!」
「それで。僕の何を心配してるって」
「ええと、その、だな」
「…………」
「なんだよその疑いの眼差し! いやほんとうマジだって!」
「…………」
「あ、そうそう! 元気ない! 元気ないとか! 暗くなったとか! な、なんだよ、その信じてないって顔!」
『得体の知れない人間だった。いや、人間なのだろうか。私には人間に見えた、と言い換えた方がいいのか。
だが。否。あれこそが××を掴んだ存在なのだろう。人であって人でない、しかし、同じ世界に存在している存在。
話をしている間、彼女は恐れていた様子だったが、私は信じるに値する話だと耳を傾けていた』
「な、なあ。俺、何かしたか?」
「…………」
「おおい…聞こえてますかあ……?」
「……見つかった」
「見つかって? って…何が? お前、何か無くしてたのか?」
「………ん」
「へっ?」
「ら……んが、見つかった」
「は?」
「永遠に続く………ん」
「はああ? なんだそりゃ? お前、本当に大丈夫か?」
『完成した。××××と××を干渉させず、××を与えることができた。
できたのだ。彼と、彼の研究を引き継ぎ、潰した私と、人であり人でない存在で、完成させたのだ。
××を掴み、××という世界を与えるモノを』




