6機目 芦原班②
「列車砲がやられたぞー!」
伊勢の光学ガドリングにより爆発したスラスター、それがひき起こした衝撃と熱は列車砲の火薬庫を誘爆させることはなかった。だが、列車砲の近くにいた武装集団の人間の無力化には成功した。もっとも、無力化というにはあまりにも残酷で、死んでいる者はまだ幸せなほうであった。スラスターの外枠である金属片で腕や首は切断されたり、刺さったりし、うごめく肉塊と化している。
神原と伊勢により起こされた二度の爆発は最後のきっかけとなった。
数分前の衝撃、響き渡る阿鼻叫喚、決戦兵器として用意していた列車砲からは爆発音と黒煙。数時間、数日前まではただの一般市民だった彼らにとっては、することは一つだけであった。
「芦原さん、こいつら全員武器を捨てて手をあげだしましたけどどうしましょう?」
「一応、降参してるんだし攻撃を止めるわよ。というか、止めないとそれこそ問題になるわ」
「父さんの敵いいい! ああっ」
肉だるまが芦原の足元に転がってくる。
芦原と君萱が武器を下すと、一人の少年が銃を乱射しながら駆けてきた。だが、伊勢の光学銃によって足を撃ち抜かれ、バランスを崩し転がってきたのだ。
「だから、その辺にしておきなさい」
「今のはいいんじゃねえの?」
「全く・・・・・それじゃあ後は、私が今いる所に集めて別動隊が来るまで監視任務に移行」
「了解」
「了解、おらお前ら歩け」
数分後、別動隊として一般装備のSAT瀬戸班がやってきた。
「おーおー、今回はまた一段とやってんねえ」
「班長、これっていったい……」
「どうせ芦原班がやったんだろうな。全く、心配させやがって。」
芦原班が出動して数分後、待機していた瀬戸班に拘束具を持ってくるように通信が入った。芦原班からとはいえ、たった数分。
彼らにとって開発途中の最新兵器を扱う芦原班が苦戦しているというのは考えられなかったのだが、あまりにも早すぎる連絡のため最悪の事態を想定していたのだ。
「お疲れ様です。こちら14班、武装勢力の制圧を完了。投降した47名一カ所に集合させています。これより任務を9班に引き継ぎます」
「こちら9班、任務の引継ぎを確認。9班各員、投降者たちを拘束しろ。」
「「了解」」
「それじゃ、私たちはこの辺で」
「芦原、少し待て」
「何かしら?」
「お前たち、流石に今回はやりすぎだろ」
5000人強いたという武装勢力は50人も生存していない。それだけでなく周りは四肢を損壊した人の悲鳴、血と肉が焦げる臭いが漂っていた。恐らく、途中にあった黒い塊は人だったと気が付くのもそう遅くはなかった。
SATの中でも唯一開発武器が支給される芦原班。テスト運営というのもあるため、彼らが任務でかなりの殺傷力がある武器が支給されており、それにより他の班とは桁違いの死者を出しているということはSATの中で知らないものはいなかった。
瀬戸班はよく芦原班と一緒に行動することがよくあり、そのことは知っていた。だが、今回は今までとは比べ物にならない量の人間を殺している。
「いいのよ、私たちは。そういうところだから」
「あ、おい!」
「あなたたちが無殺生を貫いているように、私たちは迅速な任務遂行を優先してるの。そしてそれは上層部が黙認している。それじゃ、後は任せたわよ」
そう言って立ち去っていく芦原を瀬戸は止めることができなかった。
彼女が言うように、上層部が芦原班4人の大量殺害を容認しているのも事実だからだ。
「芦原さん、芦原さん。あんなこと言っちゃっても良かったんですか?」
「良くないけど許されるからいいのよ。じゃないと、今頃すでに解散させられてるわ。」
主に伊勢のせいでね、と言いながら微笑むが彼らはまだ外骨格をつけているのでお互いの表情は確認できない。
その後、彼女たちは本部に戻り外骨格を外した。
他の班は報告書を書かなければいけないのだが、外骨格の頭部と後頭部、胸部にカメラがつけられているので書く必要がないためそのまま解散となった。
「よし、じゃあな!」
「神原さんがさっそうと娘のところに言ったけど、あなたたちはどうする? 何も用がなければ飲みにでも行く?」
「もちろん、芦原さんの奢りっすよね?」
「あー、俺はこの後姉貴の仕事の手伝いしないといけないんで、パスー」
「それじゃあ君萱、行くわよ。」
「わっかりましたー! ところで伊勢、姉さんの仕事って?」
「ああ、うちの姉貴社長でさ、なんか機密書類の整理をするのに来てほしいんだとさ。ほら、俺ってば外骨格使うのうまいじゃん?」
芦原班伊勢君のお姉さんは4機目にちらっと登場した伊勢社長です
今月末、入試があるので今月分の更新は多分最後になると思います
来月には書けると思いますので、しばらくお待ちください!
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