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未定世界の知り方を  作者: むち神
第四章 【死角の動き】
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89.よくわからない事案

 そんな計り知れない人物について到着したのは、家ではなく、花園。その中心に建っている綺麗な東屋へと案内されて、置いてあった椅子に腰かける。


「ふぅ、ついたのよ。ででで、話の続きをするんよ」


 同じく置かれていた机を両手でバンバン叩きながら催促されるが・・・。


 続き・・・なんだったっけ。


「えーと、何を話しましょう・・・」


 出会った時。

 それと、原初魔法の難しさ、というより、掴みにくさを知っている僕からして、あまりにも常識外れな力を説明されてからの衝撃で少し目的を見失ってしまう。気絶の影響もあるのだろう。


 なにがなにで、こうなって、今こうして話すことになったんだったか・・・。


「ちみは混乱してるんね。無理もないんよ。わたちのすごさを感じる皆、最初はそんな感じなんよ。慣れ馴れなの」


 と気遣った言葉をかけてもらえた。


――慣れなんだ・・・。


 会話がなかった時よりかは、馴染めている実感はたしかにあった。でも、この包まれたような・・・包囲されてるかの・・・常に誰かに見られている?感覚は、当分慣れれるとは思えなかった。


「で、俺達に何の用なんだ?領地に入ったことへの罰でもあったりするのか」


「用なんてないんよ?ただ、誰かが入って来たって皆騒いでたから、出て来ただけなんよ」


「そりゃよかった。なら、俺たちはこれで失礼しても構わないってことだな」


「待つんよ!折角来たのに帰るなんてない!許さないのよ!」


 そそくさと立ち上がろうとするが、許してはくれないようであった。


「用ないんだろ?」


「あるんよ」


 あるんだ・・・。言葉の応報の末、そうなったらしい。


「おい、嘘じゃねえか。さっきないっていってただろ」


「あるんよ。嘘はつかないんよ」


 ここまでの会話の流れから想像がつかないくらいには、真剣な表情で嘯いている。これでは、本当にあるような気がしてくるのだから、相手の印象が与える影響とは凄まじいのだろう。


「・・・なら、言って貰おうか」


 いつの間にか、立場が逆転して、侵入者の僕達がお偉い方に対して詰問する状況ができていた。これも、ボスさんの対人テクニック故なのか・・・相手によるのか・・・。


「実は・・・最近、ある子が落ち込んでいるんよ。わたち達だとなにも話してすらくれなくて、困ってるんよ。そち達みたいな、別の誰かじゃないと解決できない事案なんよ...。なんとかして欲しいんよ」


「知るか。帰るぞ」


 立ち上がろうとする素振りは見せたものの、動いていない。一体どうしたのだろうか。


「動かねえ・・・。なにしてやがる」


「落ち着くのよ。じゃないと・・・このままじゃ、侵入者には死んでもらうしかないんよ・・・それは、悲しいんよ...」


「おい、今作っただろ・・・とりあえず離せ!」


 解放されたようで、身動きできるようになったようであった。おそらく、原初魔法の使い方をそのまま、強化した魔法だろう。間違っているかもしれないが、もしそうなら、あそこまでできるのは驚異的と言えるだろう。


「で、本当にそれをなんとかしないと解放しないってのか?冗談だろ?」


「本当なんよ。今思いついたけれども・・・本当なんよ」


「・・・見知らぬ俺達が適任だとは、思えねえな。余計悪化するだけじゃねえのか」


「でも、わたち達にできることは全部やったんよ。さしずめ、藁なんよ」


「縋るな。・・・時間が解決することは多い。無理に何かせずにほっとけばいいだろ」


「うーん、そうだけど。任せてみたいんよ。そち達に。これはもう勘なんよ!」


 勘と言われてしまう。普通なら否定する根拠第一位だけれど・・・。どうすればいいんだろうか。


「なら、こうしよう。多少は接触して話してもみよう。それでも、ダメそうなら俺達は行く。侵入したってのは事実だしな。それで、チャラってことでどうだ」


「多少じゃダメなんよ。しっかり話して欲しいんよ。それでも、変わりなかったら仕方がないんから、許してあげるんよ」


 チッ、と舌打ちが聞こえてくる。適当にあしらってさっさと出ていく作戦だったのだろうが、さすがに僕でも見透かせる作戦を許してはくれなかった。


 でも、話すって言った所で・・・なにをなんだろうか。それすらわからない僕達では、役不足は否めないのだ。本当に僕達に何をさせたいのだろうか。全くの謎なのか、僕の理解が及んでいないだけなのか・・・。


「じゃあ・・・その妖精?と話をしてみて、悩み?みたいなのを聞いてから、解決できそうなら頑張ってみるってことでいいですか・・・?」


 言葉に出してみて、改めて何一つ理解できていないことが確認できた。


「そういうことなんよ。じゃあ、任せるんよ!」


 そのまま、どこかに行こうとしたところで止められる。


「おい」


「まだなにか文句があるんよ?」


「・・・どこだよ、その悩み相談待ちの奴ってのは」


「あ・・・」


 教えるの忘れてた。二へッと笑顔を見せて案内するからと言われた。


――もしかしたら・・・本当に無計画・・・?


 遭遇した超常的な存在は、どうやら刹那的な生き方らしかった・・・。



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