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未定世界の知り方を  作者: むち神
第二章 【旅は道連れ】
45/110

43.いいのこれで・・・

 決勝戦の舞台へと立つ。


「来てしまいました。ついに!来た!決勝戦!!あえて!未熟な言葉で飾りたくない!!次世代最強を決める!!!手にできる者は!!一人!!アシュラ対!!グラヴィティ!レッドォ!!!」


 前に現れたのは、小柄で赤い髪、青みがかった銀色の大剣と同じ色の鎧を身に付けた。顔の上半分を隠す狐の仮面。――なんか見たことが・・・。


「フッハハハ!やはりいたな。さあ!リベンジマッチといこうか!」


――うん。あの人だね。わざわざ大会に出るんだ・・・。出たかっただけだよね?


「あの・・・捕まえたりは・・・」


「無粋だな。お前が勝てばいいだけだろう?それとも負けるつもりだったか?」


 そんなことはないが・・・僕も成長したんだ。なんとか――


「開始です!!!!!!!」


――ゴォォォーーーーン‼


 大剣を思い切り振り下ろしてきた。重さを思い出して二本の剣で受け止めたが・・・軽い。もちろん、威力はある。だが、あの時重さはない。やはり、武器の違い?これなら一本でも受け止めれるかもしれない。

 剣で攻撃しようにもリーチが違う。こちらは届かないだろう。剣を押し返して距離を縮める。

 右の剣で斬りかかる。大剣で受け止められる。左の剣で半身を狙うが・・・相手が大剣で自分自身の身体を覆い隠す。こちらからは姿が見えなくなった上に左手の剣もこのままでは防がれる。

 なら別の・・・。そう思っていたら、剣で身を隠したまま、大剣の腹でそのまま突進してきた!


 空いている右手の剣で一応のガードをしておくが食らってしまう。


――クッ‼


 さすがに耐え切れずに床を後ろに転がる。立て直そうとした所に大剣を上段に構えて突っ込んでくる。


「軽かっただろ?重くもできるとは思わないか?」


 なっ!?振り下ろしてきた大剣を左手の剣だけで受け止めようとしていたが、急いで両手の剣をクロスにしながらの防御変える。――間に合った!



 受け止めた大剣は先ほどと同じで軽かった――


「すまんが。嘘だ」


 そういってがら空きの胴体へと蹴りを放ってくるのをもろに食らう。


――ガハッ‼‼


 場外ギリギリの位置まで転がり続けてなんとか止める。腹を押さえて前を見るが――いない!?


 右から大剣を横なぎに斬りかかってくるのが視界の端に映った。


――まずい!


 左側に身体を反らした状態からなんとか、剣を交わらせるが踏ん張りの効かない態勢のせいで三度転がる。――息つく暇を与えてくれない


 なんとか、一撃を入れるために、地面を殴りつけて無理やり立ち上がらせる。相手を正面から見据えて両手の剣を同時に上と横から斬りつける。その前にナイフを投げつけて――

 前回うまくいったやり方だ。考える時間がない以上、これまでの経験でやったことを咄嗟にやるしかない。かといって、やけくそになった訳ではない。最初に言っていたではないか。『やはりいたな』となら・・・。――僕と同じで試合を見ていなかった可能性が高い!


 相手は一瞬の思考だけで大剣を下から斜めに振り上げる!

 剣は振り下ろしている途中、防御が――


 逆袈裟斬りで大剣を伸ばしきった最大リーチでの攻撃ではなく。両腕を曲げて柄を胸元の前にしたまま根本でナイフから身を守り。刃の先で空いている胴体へと斬りかかる。


 これは!むり――


 斜めから振り上げられたことで空中に浮かびあがり、斜めに飛んでいく。防具は突破されなかった。買っておいて良かった。

 痛みを我慢しながら、地面に落下する前に見たのは、着地地点に先回りするために走りながら相手がジャンプしている姿だった。


 地面に落下と同時に畳みかけてくる。大剣を振り上げて、地を割るような一撃をお見舞いしようと斬りかかってくるが、なんとか直前で横に滑るように跳び、紙一重で躱す。

 今度は自分から転がってすぐに視線を戻すと、地面に突き刺さった大剣を軸にして小柄な身体を回転させながら、またも、まったく同じ態勢で振り下ろしてきた!


――二撃連続!?!?


 立ち上がることもできていない。地面に背中をつけて両手の剣でなんとか受け止める。


――ゴハァッ‼‼‼


 バキなのかビキなのか、異常な音がなっているが、骨が折れたのか地面が割れた音なのかわからない。無心で受け止める。

 寝転がっていた横の地面へと大剣を反らして横に転がりながら、なんとか立て直す。

 相手も一息つくつもりなのか、追撃が止んだ。


「ハァ・・・ハァ・・・」


――アダマンタイトなら死んでた...絶対に。


 あの振り下ろし二連撃をあんなに重い武器でやられなかったことに感謝しながら、ユイトは思考を回す。


 ―――――――――――――――――――――――

 

 エレディアナは思案する。

 今のでも決めきれなかった。正直この闘い。こちらの分が悪い。装備は軽い、エレディアナにとっては軽いのはメリットにならない。寧ろ、不利。相手の力はこちらを上回り、速さでも負ける。身体強化を使えれば、近づくことができるかも知れないがそれでも下回るだろうと。勝っているのは経験と剣術のみ。相手にも基礎の色が見えるがそれでも及びはしないだろう。逆に言えば、それだけなのだ。

 

 なんとか、隙を一切与えずに攻勢に出ていたがそれも、途切れた。脳筋任せな行動で来られたら負けるかもしれん。


 エレディアナは上機嫌になりながら、思案を続ける。


 ―――――――――――――――――――――――


 そして再び、二人の距離が詰まった。激しい剣戟を繰り広げているが・・・。大剣という重厚な武器でありながら、繊細な剣術でユイトの攻撃を真面に受けてはくれない。


 受け止められた剣から手を離し、一本の剣を両手で叩き込むが、それすら、受け流される。そのまま、打ち上げられた剣を弾き飛ばされてしまう。強烈な一撃を何度も剣で受け止めたからだろう。両手が痺れて握る力が弱まっていってしまった。


 無手のまま、最後に残った腰のナイフ一本を引き抜く。絶対絶命の時――


「フゥ・・・。まあ、こんなとこだろうな」

 

 がっかりさせてしまったのだろうか、そういって目の前で脱力し始めた。


「フッ、勘違いするなよ?お前との戦いは愉しかったが、俺には立場があるんでな・・・さすがに他国の騎士団長が優勝なんてするわけにはいかねえってことだ」


 だったら・・・出場がまずいのでは...。


「そういうわけで、こっからは台本ありきで、いくからな!」


 大剣を無造作に持ち上げて無節操に斬りかかってくる。先ほどまでとはあまりに違う。雑な動き。――あからさまではないだろうか・・・。


 剣を避けて、ナイフではなく、拳で腹を殴りつけて吹き飛ばす。


 バレバレなのもと思い、多少の手加減はしたが場外までは飛ばす威力のはずだ。

 場外で壁に当たり、少しだけ意識を失ったふりをしていた・・・。


「優勝者!!!アシュラ~~~!!!!!!!!!」


 会場全体が振動するような大歓声だが・・・。八百長のようで申し訳なく。


 背中を丸めたこぢんまりとした優勝者が誕生してしまったのだった・・・。

 

 

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