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未定世界の知り方を  作者: むち神
第二章 【旅は道連れ】
38/110

36.いくから...

 目を覚ましたのは昼だった。朝に眠ったのだから、昼に目覚めてもおかしくない。だが、あんなにも疲れていたのに少ししか眠ってない気がしてしまう。二度寝を試みてみるが眠れなかった。

 残念な顔をしまって、ベットから降りて、階下へと向かう。


 宿の中、食事処が併設されている。そこにネルはいた。


「おはよ。疲れは取れてなさそうだね」


「少し残ってるけど、寝たくても眠れなくてね・・・」


 ハハっと笑い。


「意外と疲れてる時って早く起きちゃうよね。あ、自由組合に来て欲しいって言ってたよ」


 魔物の代金だろう。目的を達成した実感がやってくる。さっそく向かおうとした所でお腹が鳴る。

 ネルが優し気な視線を向けて手招きしながら、


「まずは、一緒に食べようよ」


 急ぐ必要はないのだ。それもそうだと思い。


「わかった」


 席に着いて、注文する。夜中は神経を集中することに注力していた。なにも食べていない。最近は健康的な生活だったからお腹が減ることも多い。


 テーブルの上に置かれたのは、なにかの肉をパンで挟んだ。簡易的な食べ物。普段ならなんとも思わなかったが、魔物を見すぎたからか、匂いを嗅ぎすぎたせいなのか。食欲が失せていく・・・。


「食べないの?おいしいよ」


「食べるよ」


 とはいえ、お腹は減っている。我慢して即座に飲み込む。

 食べ終わった後、自由組合へとネルと一緒に向かう。場所はネルが知っているのでついていった。


 木の扉を開けると囁き声が聞こえる。


「あいつがAランクの・・・」「――ファングを倒した」「えげつない量の・・・」


 視線は僕に注がれている。

 倒したのはネルがいたからだよ・・・。一人じゃ無理だった。


 無視して受付まで向かう。


「呼ばれてるって聞いて来ました」


「はい!少々お待ちください!」


 受付さんが受付から離れてどこかに消えた...。奥の方から、大きな翼を小さくしまった。白髪のオールバック。スリムな体型で黒服を着た男が受付へとやってくる。


「私はこの支部長であるガルタダです。あなたがアシュラ君ですな。どうぞこちらへ」


 ネルと一緒に受付から出て二階の部屋へとついていく。部屋のふかふかのソファーにお互い腰かけてから本題へと入る。


「さて、まずは確認から。ヒュージファング、並びに他多数のBランク以下の魔物を討伐したのはあなたで間違いありませんかな?」


「いえ、ヒュージファングは・・・牙の大きい奴ですよね。こちらのネルと一緒に倒しました。一人じゃ無理でした」


 正直に一部を否定する。


「ふむ。では、他の魔物はおひとりで、ですな?」


「はい」


 ふーむ。と考え込んでいる。信じられていないのだろう。僕ももう一度やりたくない苦行だったのだから、信じられなくてもなんとも思わない。


「死骸も多く。目撃者も多数。しかし・・・Dランク。ふ~む」


 ネルが干渉する。


「ランクはこの前登録したばかりなんですよ。たしか・・・ラルトって名前の街なので確認は取れますよ」


 信じられていないことが不快だったのか。ニヒルな笑みで語る。


「いやはや、失礼しました。もちろん、信じてはいるのですが、確認を取るにはどうしようかと・・・ありがとうございます」


 なにかの応報が始まっている雰囲気がある。・・・気にしないことにした。


「では・・・。私の権限でユイト君はAランク。ネルーロ君はBランクへと昇格させていただきましょう」

 

 本来なら驚き歓喜する場面。だが、ユイトは(いな)む。おかしいと。


「待って。ネルがBランクなら、僕もBだよ。一人だったら死んでたくらい強かったんだよ?それを、ネルがいたからこそ倒せたんだから、Aランクになれるはず」


 昇格条件などはよくは知らない。でも、評価で僕が上。ネルが下になるのを否定したい。絶対に。


「ですが、ランクとは信頼度も含むのでな。この人なら、絶対になんとかしてくれる。安全だ。実力とは別にそんな意味があるのです」


「なら、僕も満たしていないよ。知らないことは多いし、いつもギリギリで絶対なんてなかった。ネルがBなら僕もBランクにして欲しい」


 同等であればいいのだ。


 他と違う折衝。直談判に戸惑いを見せるガルタダ。上げてくれと言われたことは多い。下げてもいいとは・・・。面白く感じて、冷ややかな笑みを顔に出す。


「であれば、二人をCランクに下げさせていただきますよ?組合の評価を軽んじてもらっては困りますな」


「あ、それならいいです。ありがとうございます」


 開いた口が塞がらなくなってしまった。


 組合の評価を上げるだけで生活水準に雲泥の差ができるのだ。誰もが上げたがる。Aランクに飛び級などあり得ない事態。だが、ガルタダは組合の中でも信頼が高く。その権限を有している。最近、山脈の監視のためにも派遣されてきたばかり辣腕(らつわん)

 そんな、偶然も手にしているというのに・・・興味がない様子に愕然とする。


 ハハハっと広めの部屋に響く。


「ユイトがいいなら、もちろん僕も構わないよ。Cランクでも上がったことに変わりないからね」


 ガルタダの驚いた顔を笑ったのだろう。仲間のイカれ具合を自慢げに・・・。


「あ、ネルのこと考えてなかった・・・。僕だけCランクでネルはBランクに・・・」


 なんとかなりませんか?と首を傾げて甘えた表情で懇願してくる。


 これにはさすがの、カルタダも笑うしかなかった。


「カッカッカ‼‼仕方ありませんな。・・・実は、龍神の遣い殿の噂は聞いております。お二人をAランクとしても誰も文句など言わんでしょうな」


 急な変化に当惑するユイト。恥ずかしそうに大袈裟ですよと否定するネル。


 久方ぶりの支部長の笑顔が自由組合に鳴り響いていた――

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