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未定世界の知り方を  作者: むち神
第四章 【死角の動き】
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97.余力

 三人で纏まり、森を疾走しながらも会話は継続する。


「たく、ちょっと休んだだけでこれだ。せっかちすぎだろ」


「うーん。でも、少し休み過ぎたかもね」


「あれが!?どんだけ忙しい日々を送ってんだよ」


 どれだけ...。思えば、毎日忙しなく動き回ってきた気がしてきた。・・・もしかして、久しぶりの休日だった...?


「まあいい。こっちで本当にあってんのか?」


 走り始めて真っすぐに進んでいるつもりではあるが、確認はこまめにしておかないとわからなくなってくる。それほどに、森と言うのは特徴に変化がない。


 僕が原初魔法を使うことができれば、多少役には立てるはずなんだけれど・・・結局不分仕舞(わからずじまい)である。いや、ハナリさんは使えてるのだろうか・・・?

 てっきり、ハナリさんは土地勘があるからこその方向感覚なのか、僕の知らない魔法を行使してこその案内かと決めつけていたけれども、聞いてはいなかった。


「ハナリさん、どうやって方向を・・・」


 振り返った先に、ハナリさんの姿はなかった・・・。


「え!?」


「どうした?」


「ハナリさんがいないよ!?」


「はあ!?」


 ボスさんも勢いよく振り返りながら、言葉の真偽を確かめる。


「さっきまでいただろ!?」


 そうなのだ。三人での団体行動とはいっても、たった三人。ちょくちょく振り返っての会話もしていた。それに加えて、そもそもの話、まだ走り出してからそこまでの距離ではない。離れ離れになるようなことはありえない。


「なにが・・・とにかく、戻るぞ!」


 それだけ言って引き返す。もしかすると、何かしらの罠にかかった可能性もある。急いだほうがいいはずだと、僕達が走った道を辿って少し戻ってみれば・・・一生懸命に走っているハナリさんが視界に入った。


「おい、どうした!なにがあった?」


 できる限り近づいて声をかける。なにかに追われているのかもしれない。


「...え?なにが...?」


「は?かなり遅れてただろ。襲われたりしたのか?」


「...ただ、いつの間にか...離された...だけ...」


 よく観察すると、こらえてはいるが息切れが激しい様子。・・・ハナリさんってボスさんよりも体力が...ない?


「・・・なら、一声かければよかっただろ」


「...ごめん。微かに、背中が見えるぐらいに...離された時には、声がうまくでなかったん...」


 ・・・本当に疲れた時って喉が嗄れちゃうよね。


「そ、そうか。少し休むか?」


「いや...急がないと...」


 ボスさんも持久力がない自覚からか、責めることなく休息を提案する。しかし、急いだほうがいい状況。ハナリさんはなんとか走り続ける選択を選ぶが、表情からも限界は近そうに見える。このままだと到着した所で倒れてしまうのではないだろうか。


 少し思案した後、ボスさんは僕に話しかける。


「なら、体力馬鹿におぶらせて運んでもらえばいい。というか、最初からそうすりゃ良かったな。俺は御免だが」


「え...。悪いん...」


「君ぐらい背負った内に入らんだろうさ。な?」


 う、うん。そうだとは思うけど、僕が言う言葉だよね...。


 ハナリさんに背中を向けてしゃがみ込む。しっかりと抱えれたことを軽く確認してから、一歩目を踏み出す。


「大丈夫なん...?」


 自らの疲労から解放され、それを他者に背負わせることを憂う言葉をかける。


「普段もっと重いのを着けてたりするから・・・正直何も背負ってない時と同じくらいだよ」


「すごいん...」


 少し時間を食ってしまったが、誤差の範囲内。特に支障はないだろう。

 ハナリさんに道を確認しながら、進み続ける。もし、戦闘になった場合のことも考えて聞きたかったことを今聞いておく。


「ハナリさん。僕、原初魔法が今使えないんだけど・・・なんでかわかったりしない?」


「わたちが使ってるから」


「え?でも、他の人が近くで使ってても使えたりしたよ?」


「んー...使い方?次第」


 こんな調子で、ちょっとした魔法講義を聞くことができた。

 原初魔法は周囲の魔力を操る、つまり、周囲の魔力を誰かが使っていたら他の人には使えない。原理としては、奪うことも可能のはずだが基本的には、最初に使用中の人物が支配し続ける物だそうだ。


 なら、どうして二人同時に近くで使えたのか。それは、周囲の魔力といっても細かく分ければ膨大な量である。それら、全てを操っている人は稀とのこと。


「なら、ハナリさんはなんで?」


「わたちは、皆から見つからないようにしてたのがあるん。それに、使い続けてたら誰かに使われることもないから」


 前半の理由が大きいそうだが、他にも利点はあるらしい。気配察知の役目も果たせるので不意打ちも防げる。

 利点は多いと説明されるが・・・僕からすると、常に原初魔法を展開するだけでも疲れるのだ。妙技なのは間違いないだろう。


 その会話を隣で聞いていたボスさんが僕へ質問する。


「実際、どのくらい難しいんだ?いまいちわからん」


「うーん。僕的には、手をずっとグーパーし続けてる感じかな?」


「・・・なるほど、やってられねえな」


 少し話が逸れたが、ハナリさんの使い方で僕は使えないらしい。使えるようにしようかと聞かれたが、そういうことであれば、ハナリさんに完璧に使っていてもらった方が良いだろう。


 ただ、次からは周囲の状況は詳しく教えてね。とだけ言っておいた。


 

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