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第ニ章 更なる戦い 2 力の差

 ジュリンは、背中に生えた樹木を、俺達に襲いかからせてきた。


「ジョン、避けろ!」


 そう俺がジョンに声をかけながら、俺は、とっさに、最初の樹木を避けた。そこからは、二人でひたすらに、樹木を避けて行く。樹木の軌道を正しく見極め、冷静かつ素早く避けるという、高度な運動神経が必要な凄技だった。

 と、ジュリンは、さらに俺達を追い詰めてくる。


「避けるのは上手なのね。じゃあ、こういうのならどうかしら?」


 ジュリンがそう言うと、樹木の動き方が大きく変わった。さっきまでは、ただまっすぐに俺達を狙って来るだけで、避けるのは容易だった。が、ジュリンがその言葉を発した後は、樹木が大きくしなり、背後からの不意打ちを仕掛けられたり、横方向になぎ払う攻撃を跳んでかわしたら、上からの攻撃に叩き潰されそうになったりと、回避や軌道の予測は、極めて困難になったのだ。

 と、その時。


「あっ……」


 そう声を発したのは、俺だ。俺は、地面の着地に失敗してしまい、地面に倒れ込んでしまう。そこに、樹木の攻撃が降り注いで来る。

 俺は、最初の樹木をかわすことに成功したが、その後に続く樹木が、俺に激しく襲いかかってきた。そして、一本の樹木が俺にヒットすると、他の樹木も、俺に命中し始める。


「ははははは! もっと苦しめてあげる! 樹木よ、棘を生やしなさい!」


 ジュリンがそう樹木に命令すると、樹木に鋭い棘が生える。刺さったら、間違いなく痛そうだ。


「俺を守れ! 『分身』、召喚!」


 俺が、そう唱えると、分身が出現して、樹木から俺を守る。が。


「その分身を掴みなさい!」


 そうジュリンが指示すると、樹木が、俺の分身を巻き取る。そして、


「あなた達の恐ろしさを思い知らせてやりなさい!」


 そうジュリンが言うと、樹木が俺の分身に攻撃を始める。

 叩いたり、跳ね上げたり、打ち落としたり――

 そんなことを繰り返していくうちに、分身の体が崩れ始める。そして、分身が地面に落ちた時、分身の体は、まるでみじん切りにされたかのように、粉々になっていた。

 分身はダメージを受けないんじゃなかったのかよ――と思いながら、俺は、危機感を感じた。


「この光景を見て、どうよ! あなたもこうなりたくなかったら、さっさと降参しなさい!」


 そう言って、俺を降参させようとしてくるジュリンだったが、俺の決意は変わらない。


「そう言われても、俺は降参しない。そんな脅しに屈しはしないぞ!」


 俺がそう言うと、ジュリンはこう返す。


「あなた、本当に私の言うことを聞く気はないのね? なら、かえって私にとっては好都合ね。」

「どういうことだ?」

「あなた達が私と完全に敵対するということは、私があなた達に手加減することも、容赦して弱気を出すこともしなくていいの。だから、本気であなた達の相手をすることができるのよ! これは、私と敵対したことへの罰よ! 肉体も精神も、ボロボロになるまで、いえ、なった後も、いつまでもあなたへの攻撃をくり返すわ!」


 そうジュリンが言い放つと、迷宮の壁から樹木が生えだしてきた。


「うっそだろ……」

「マジかよ……」


 これには、俺もジョンも驚かざるを得ない。


「これで準備は整ったわ! さあ、楽しいショーの始まりよ!」


 ジュリンのその声を合図にするかのように、樹木が動き出す。


「やるぞ、ジョン!」

「おうよ!」


 俺達も、気合いを入れ、ジュリンに立ち向かうのだった。

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