第ニ章 更なる戦い 2 力の差
「ジョン、もっと攻撃を頼む!」
「分かった! 隙を見て何発か入れる!」
そう俺とジョンが短く会話をし、ジョンが早速動き出そうとしたのだが、それよりも速く、ジュリンが行動に移る。
「あなた達、よく聞きなさい! 私が指示するまで、その場から動かないで! 動いたら、すぐにこいつを始末するから!」
ジュリンがそう言い、俺の首筋に樹木の手を当てる。その腕は、刃物のように鋭くなっていた。恐らく、ジュリンがその腕を振れば、いつでも俺を殺せるのだろう。ジョンも、ジュリンのその腕を見て、即座に危険を察知し、行動を止めていた。
「あなた、私に始末されたくなかったら、この男を見捨てて、今すぐに、この場から立ち退きなさい! そうすれば、あなただけは見逃してあげるわ。そして、私に捕まっているあなたは、さっさと諦めて、降伏して! そして、この部屋の所有権を私に譲渡して、とっとと消え失せて!」
その言葉を聞いた俺とジョンは、それぞれに思考する。
まずは、俺だ。
(ジュリンの目的は何だ? 俺を殺すだけならば、問答無用で始末しているはずだが、それをしないということは、何か他の目的が……? まあ、俺は何と言われようが、この迷宮を放棄して、自分の身を優先するなんてまねはしないがな。)
俺は、そう覚悟を決め、ジョンの返事を待つ。
一方で、ジョンの思考はこうだ。
(楽夜は、絶対、俺を見捨てて逃げるなんてまねはしないだろうな。なら、俺も同じことをして、楽夜と共に最後まで戦い抜かねばな。)
と、俺と同じだったようで、ジョンは、俺に頷いて来た。
その様子を見たジュリンは、
「あなた達、私の言うとおりにするつもりはないのね?」
と言う。俺は、その言葉に、
「勿論だ。仲間を見捨てて逃げるだなんて、そんな人任せで自分勝手なこと、出来るわけ無いだろ。」
と返す。
「そう。もういいわ。毒ダメージで限界までHPを削ってから、最後に大ダメージを与えて、苦痛の叫びを聞こうと思っていたけれど、方針を変えたわ。私の樹木でひたすらムチ打ちにして、心も体も、徹底的に痛め付けてあげるわ! 『樹林体化』!」
ジュリンがそう言うと、俺を解放した。と、次の瞬間、ジュリンの背中から、複数の樹木が生えて来た。
「さあて、私を怒らせた代わりに、存分に痛め付けて、楽しませてもらうから、覚悟しておきなさいよ!」
その言葉を聞いた俺は、
「ジョン、長期戦になるぞ。覚悟して、頑張ってくれ!」
と言う。
こうして、俺は、ここから多大に苦しむこととなるのだった。




