41話 越後の農民たち
越後。
畠の出身地。
「ちっ、畠のやつが逃げやがった?つまんねえな。」
上杉家の足軽たちは、畠がいないことを知ると、城へ帰った。
「まったく、景勝様は何をしておるのだ。」
隠れていた農民たちはぞろぞろとでてきた。
「畠のやつが織田に寝返ったなら、わしらも寝返ったほうが安全なんじゃねえの。」
「お前様、織田に行きましょうよ。そして、織田に仕えましょうよ。その方が幸せに決まってるわ。」
「でも、織田は上杉に勝てんのかなあ。負けたらわしら打ち首だぜ。」
「どうでもいいべさ、ここにいたって滅びるだけなんだから。だったら生き残る可能性にかけた方がいいべさ。」
「おい、なら今から行くぞ!持てるだけ物を持って近江へ行くべ。」
農民たちはのちに大企業を設立し、日本経済、世界経済に大きく貢献することになるのだった。
「景勝様、近頃、農民たちが近江に逃亡する事件が多発しております。」
美津という名の侍女が言った。
「で、あるか。」
景勝は仏壇に手を合わせながら言った。
「これ以上戦を続けると、そのうち人口が少なくなってしまうのでは?」
「それよ、美津。」
「と、申されますと?」
「逃亡するのを防ぐため、何か手を打たねばならん。」
「手、とは?」
「国境を一時、封鎖しろ。そして、国境に優秀な兵をいくつか配置するのだ。」
「はい、かしこまりました。」