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第二話 とりあえず部活!

「まず君はこの『世界』の仕組みをどれくらい理解している?」

気がついたらさっきいた場所とは全く違う場所にいた。一面真っ白、異空間か。

「知ってるも何も、向こうの世界、とりわけ脱走を試みている奴らは大概知ってるでしょう。俺もその中の1人です。彼らが知っていることは大概知っています。」

違うとすればたったひとつの抜け道くらいだ。タダで教えるつもりはないが。

「ならば条件を出そう。まず私の持つ権能を少し貸しましょう。使いすぎるとやつらにバレますが、多少、人の子が持っていることは大して珍しくありません。次に協力者を紹介します。元々こちら側の住人ですが、役には立つと思います。なるなら焼くなり煮るなり好きにしてください。」

いやダメだろ。

「そして、先ほども言いましたが、成功報酬としてあなたの願いを叶えましょう。なんでもいいです。富や名声、死者に会うか、向こうに戻るか、はたまた神の仲間入りをするのか。楽しみです。」

条件は悪くない。いつ私を連れ戻すためにこちらに来るかわからない以上、事情を知る仲間が多少いたほうが良いだろう。やつに利用されるのは癪だが。

「わかった。その条件で飲もう。」

瞬きの間に世界が元に戻る。本当に神なのか。

「では.....ここに契約は成立する。神の名の下に。」

幼女の背中から白い中が飛び出し、羽ばたかせる。

翼、天使の象徴...!

「まずひとつ目の契約だな。神の権能を与えよう。その名も『模倣(コピー)』」とその『保存』だ。最大5つまで。」

端的すぎる。もうちょっと厨二心くすぐられる名前は思いつかなかったのか。コイツ、案外ポンコツなのでは?

「神に対して、ポンコツはないだろう、ポンコツは」

はいはいごめんごめん。というかあんた名前はなんなんだ。人前だと神とか呼びづらいし。

「お前、もはや喋んなくなったな。」

えっ、だってめんどくさいし。誰だって喋るのめんどいでしょ。

「まあいい。答えよう、と言いたいところだが、神というのは名前は特にないのだ。神は人々に崇められることで初めて名前がつく。私のように無名の神には特に名前は付かんのさ。自由に決めてくれ。」

じゃあブラコンで。

「喧嘩売ってんの?誰がロリで、胸が寂しくて、チビだって!?」

そこまで言ってない。じゃあ『カヤアメスタ』なんてどうだ。

「ほうほう、なかなかいいではないか。では人前ではカヤという名前で活動しよう。ところで貴様学校では何部に入る予定なのだ?暇ならうちこい。人足りないんだよー。そんなかに協力者もいるし。」

待て、お前も学校行ってるのか?

彼女はこくりと頷く。今日イチの衝撃だ。

「何部なんだ?」

「久々に喋ったな」

一言余計だ。

「では御唱和あれ。我々は———オカルト研究部だ。」

「そういうとこはガキなんだな」

「まあまあ話を聞きなされ。我々の目的は打倒神!で、神というのは私のように基本、体に乗り移って、この世界に来る。自分で体を作る変わり者もいるがな。そして、大概の神は失敗する。そして、暴走、つまりは不可解な現象に苛まれる。例えば存在しない記憶の発生、時間のズレ、普通理屈どうこうの問題じゃない。それを調べやすくするための口実さ。」

なるほど。確かにそっちの方が動きやすそうだ。

だろうと言わんばかりに、ふんすっふんすっしてる。

「そうそう肝心の協力者だが、今日あったろう。仲良くしろよ。」

おい、今日はろくに人と喋った記憶ないぞ。

「かわいそうに。こんなやつに負けるとは。昼ごはん一緒に食ってたろ。みょーに影が薄いやつ。あれも能力の一環だ。」

ぜひ今度詳しく聞こう。5時のチャイムが鳴り始める。

「ではそろそろ帰ろう。あまり遅いと怪しまれるだろう。」

俺は頷き、そのまま別れた。神殺し。俺の願い、なぜ奴は俺を選んだ。やはり奴はあれを知るがために...!


——次の日

「眠い」

「登校してそうそうそんなこと言ってんのかー」

実際眠い。なぜ奴はここにいるのかとか奴の言い方だと他にも粉かけてるやつがいるだとか他の神も来てるみたいな言い方、気になる。そんなことばかり考えていて、夜遅くまで起きてしまった。

「そういや、部活は何に入るのか決めたのか?まさか帰宅部じゃなかろうなー」

「そのつもりだったが、ちょっと世話になった先輩からオカ研に誘われてな。そこに入るつもりだ」

後藤はそれを聞くなりうーん、とうねる。

「申し訳ないがやめといた方がいい。あそこは悪い噂しか聞かない。前も聞こえもしないものをあたかも信じてる奴らばかり集まっているらしい。」

そりゃ実際そういうのを知ってる奴らだからな。

「その人には悪いが断った方が身のためだぞ」

「まあ行くだけ行ってみるよ。後藤はどうするんだ」

コイツのことはあまり知らないが、きっと運動部だろう。

「別に希望もないしなー。お前と一緒にしよーかなー」

ナンセンスだな。表に顔が出てたのかすぐに気づかれた。話の続きをしようとした時、担任が入ってきて、ホームルームが始まった。


放課後、それはある人にとっては青春であり、苦しみであり、喜びであり、どうでもいいものだ。そして俺はオカケンの前にいる。なぜだ。なぜこんなにも校舎の端っこの方なんだ。遠い。遠過ぎる。頭の中でただただ愚痴っていると後ろからバンと叩かれる。

「元気ねーなー!雪!」

「か...ヤですか。ここで本当に合ってます?」

「ナンセンスだな。ここではカヤ先輩だ。そしてここで合っている。残念だったか?」

ははーん、これはずいぶん楽しそうで。からかってるつもりだな。

はいはーい、残念でーすと軽く受け流すと中に入った。

「失礼します。体験入部にきましたー」

うげっ、ほんとだったのか

「やあ、この前ぶりだね。神童くん」

「その名前はやめろ。あんた名前は?」

彼女は少し微笑むと

「あなたはどこまでこの場の事情を知ってるの?」

ここはあえて正直にいこう

「あまり知りません。強いていうなら悪い噂がつきまくってることですかね」

彼女は黙ってこっちに近づいてくる。怖いんだけど。

「記憶の共有(メモリーギフト)」

その瞬間脳内に走る彼女、緑川 望美(みどりがわ のぞみ)の記憶の一部。

「これが私の能力だ。あとは説明不要だな。」

「さすがのぞみん!はやーい!」

ずばり緑川の能力は....そういうことか。

「桜川 雪だ。よろしく。俺の能力は知っているか」

彼女は首を振ったが、喋ろうとした俺の唇を押さえる。

「あなたはこの部活の唯一のアタッカーとなりうる人物と聞いている。誰が聞いているかわからない。極力、力のことは言わない方がいい。だがコントロールできるようにならなくては元も子もない。」

ごもっともだ。

「だから訓練しろ。イメージトレーニングというやつだ。自分の能力を身近なものに置き換える。私はストップウォッチやカメラでイメージを得た。やっている時にイメージと体が連動するときがある。それを覚えておきなさい。」

イメージか、第一、俺自体がそもそもの能力を理解していない。模倣とその保存?どういうことだ。

「素っ頓狂な顔をしている君に教えてあげよう。『時間停止(ロック)』」

周りが真っ白になり、異空間へと飛ぶ。

「君は一度見たことあるだろう。まあ私が自由に使える能力の一部だ。そして教えよう。君の能力を。」

俺は唾を飲み、彼女の口が開くのを待っていた。

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