21話 アンゲリカとの対面
次の日
リリとライリーは早速アンゲリカと接触を図る為、2ーAに来ていた。
ガラガラ
「すみません。レオンハルトさんはいらっしゃって?」
「ああ。ちょっと待ってろ。おーい!レオンハルト!」
教室にいるかどうか不安ではあったが、どうやら目的の人物は教室内にいたみたいだ。
リリたちの対応をしてくれた男の子がアンゲリカを呼ぶと、ガタッと椅子を引く音がして
「何?」
「いや、こいつらがお前に用があるみたいだったからさ。」
「そう。…それで?ご用件は何かしら?」
「こう言っては恥ずかしいのですが…俺たち、ある事について調べていまして。レオンハルトさんの家にはそれらについての資料があると聞いたものですから。」
ライリーは普段アルフやリリに使う言葉使いとは違い、少々かしこまった口調で話す。
流石のライリーも、一応先輩方には敬語を使うとわかって、何故かホッとしたリリだった。
「一体何について調べているのかしら?」
「えっと、7つの原罪というものについて調べていて‥。」
リリが説明した瞬間、アンゲリカは目に見えてビクッと体を震わせた。
何故そこまで堅調に『7つの原罪』という単語に反応したのか、ライリーにはわからなかったが、リリには心当たりがあった。
「……帰って頂戴。」
「え?」
「だから、帰って頂戴。」
先程までの悠長な口調とは一変して、どこか機嫌が悪そうな、怒った様な声色でリリたちに話しかけてくる。
しかし、リリには何かに怯えている様に聞こえた。
彼女の不機嫌な様子をみた2ーAのクラスメイトたちはちょっと驚いてから、アンゲリカを心配する声に変わった。
「大丈夫かよ。」
「ちょっと、どうしたの?」
「いつものアンゲリカらしくないじゃない。」
「体調でも悪いのか?」
彼らの声を聞いたアンゲリカは急にハッとして
「大丈夫よ…ただ、ちょっと頭痛がしていて…。とにかく、もう来ないで頂戴。」
周りの人たちに” 自分は大丈夫だ ”と伝えた後、リリたちにしか聞こえない声量で一言、拒絶の意を表した。
もうそれ以上、彼女はリリたちと話し合う気がないのか、自分の仲間たちの輪へと帰ってしまった。
仕方がなく、リリとライリーはその場を後にする事にした。
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「そうですか…彼女は僕たちに協力してくれなさそうだと。」
放課後、リリとライリーはアンゲリカとの出来事を語った。
アルフは眉尻を下げ、難しそうな顔をする。
このままでは資料はおろか、新しい人員までもを逃し、振り出しの状態に戻ってしまう。
「アンゲリカさんに協力してもらわなければ、レオンハルト家の資料を見ることはできません。」
「…レオンハルト家の当主に繋がりはありませんこと?」
リリは思った。
何も、アンゲリカと仲良くできなかったら絶対に資料が手に入らない…というわけではないだろう。
魔界の貴族階級たちは基本、その家の当主に絶対権限がある場合が多い。
確か、レオンハルト家の今代当主はアンゲリカではなく、その父ハーシーだったはずだ。
「お力添え出来ず申し訳ないのですが…我が父はレオンハルト家との繋がりは持ってないのです。」
「レスター家はレオンハルト家とあまり良い関係じゃないからな〜。」
「リリ様は持っていらっしゃらないのですか?」
アルフもライリーも、個人的な繋がり家系的な繋がり含めてレオンハルト家とはあまり交流がない様だ。
アルフは魔王の娘であるリリならば、レオンハルトの家系と何かしら繋がっているのではないかと思い、リリに聞く。
しかし…
「ごめんなさい…私、この学園に来るまでは一歩も外に出してもらえなくて…。それに、父はあまりレオンハルト家の事をよく思っていませんの。」
リリの父親は、レオンハルトの事を忌み嫌っている。
一度疑問に思い何故かと聞いてみたら
『奴らは私の事を良く思ってない奴が多くてな…。それに、ただの一度も献上品を遣してこない事も気に食わんしな。』
と、自分が気に食わないからという思いだけでレオンハルトを差別している。
本人は気づかれぬ様にやっているつもりなのだろうけど、訪問してきたレオンハルトの召使たちの話を盗み聞きすれば、差別している事が筒抜けだった。
「魔王様が、ですか…。うーん。」
頭を捻って、何かいい案が思いつかないものかと考えるアルフ。
リリやライリーも一緒くたになって考えるが、なかなかいい案が思いつかない。
「…仕方がありません。アンゲリカさんが協力してくれる様、色々な方面からアプローチをかけるしかありませんね。」
「まっ、それ以外ないよな。…はぁー、面倒臭い。」
「せめて資料だけでも貸してくれる様頑張らなくては。」
「では、今日の会議はこれまでという事で。」
本日の会議こと話し合いが終わり、リリはすぐさま自分の寮室へと戻って行った。
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「…それにしても、リリの奴の裏に誰がいるのかわかったのか?」
「いや、どうやらそいつは部屋に侵入されぬ様防御結界を張っているみたいでね。」
リリがいなくなった音楽室では、取り繕うのを辞めたアルフが、部屋の隅にあったソファでグデッとせもたれにもたれかかっていた。
「クク…あいつがお前のそんな姿見たらびっくりするぞ?」
「関係ないだろ?どうせ最後には切り捨てるだけだ。……にしても」
アルフは冷淡な声で堂々と裏切り宣言をする。
そんな彼を咎める事も無く、楽しそうに笑みを深めるだけのライリーも、彼の意見には賛成なのだろうか?
「7つの原罪…それを使えば、今の王家は滅びる‥。フフッ、今から楽しみだなぁ。」




