第30話 復興活動
花の国 ”マンドレイク”
妖魔の森と呼ばれていたその国は、かつては、国全域が青々と生い茂る森林で包まれていた。
しかし、500年ほど前に行われた人間たちの侵略によって大部分の土地を奪われてしまった。
時は流れ、それから、300年後、魔王の働きにより、妖魔の森全土を取り戻せたが、取り戻した領地は、昔の美しい広大な森林の面影は無く
見渡す限りのひび割れた大地と毒に犯された川に変わり果て、生き物の住める環境ではなくなっていた。
どうしようもないほど犯されてしまった昔の面影の無い故郷をどうにかしようと魔族たちは立ち上がったが
しかし、人間たちの置いていった呪詛の呪いに蝕まれ次々と命を落としていった。
これ以上の犠牲者を無くすべく妖魔の森の復興作業を断念した。 苦渋の選択だった。
しかし、さらに時は流れ転機が訪れた・・・
花の国の首都から北東にかけて50キロほど離れた位置
「”創種” マリンガ」
「「「おぉ~~~~!!!」」」
「これが、噂に聞く魔王猊下の創造した種を生み出す能力ですか?」
私、花の魔王こと、花園香は今、花の国復興の為に、大木を繋ぎ合わせたような魔族、トレント族たちと共に瘴気と呪詛が入り混じった荒野に来ていた。
「これは、マリンガと言って、私たちの世界にあるモリンガという植物を品種改良して生み出したものなんです。」
「マリンガ・・・?」 「モリンガ・・・?」
「モリンガっていう植物は、通常の植物の約20倍もの二酸化炭素を吸収するという、とてもエコロジーな植物で、それを応用して生み出した”マリンガ”は
二酸化炭素の代わりに瘴気と呪詛を吸収して育つ植物なんですよ。」
「おぉ! なんと、ありがたい!! 皆、すぐに猊下から頂いた種を植えるぞ!!」
「「「おぉ~~~~~~!!!」」」
トレント族の長老が他のトレント族たちに呼びかけると皆、鍬やシャベルなどを手にそれぞれ土を耕し、種を植えていった。
「皆生き生きとした表情をしているなぁ~」
私が、その光景を満足げに眺めていると
「お疲れ様です・・猊下。少し休憩にいたしましょう」
「は~い!今日のおやつはな~にかな♪」
ティターニアがティーセットと茶菓子を持って現れたので、鼻歌まじりに彼女の元へ歩いていく。
私が花の魔王として君臨してから三か月が過ぎ、ティターニアは、私の補佐官、兼、世話係という立場になっていた。私は、別にそんな使用人のような事をしなくても
いいと言ったんだけれど・・・
『何を言っているんですか!? 魔王猊下の身の回りのお世話ができるなんていう栄誉ある特権を他の者に与えるつもりはありません!!』
なんて言われちゃ、断れないよね・・・ハァ・・
「しかし、この辺りも大分、瘴気が薄まってきましたね。」
「・・・そうだねぇ、最初は本当にどうなる事かと思ったけど・・・」
ここを初めて訪れた当初の死地を思い出し苦笑いしてしまう。
「それもこれも、全ては猊下のお力のおかげでございます。本当に感謝しております。」
「とっ、ところで・・今後の予定は、どうなっているのかな?」
照れくささから話題を変える事にする。
「はい、この後は錬成の魔王様との力の特訓が入っておりますね。」
「げっ!! 剛毅さんとの特訓か・・・」
私の魔王としての教育カリキュラムはまだ終わっていないらしく、紅太郎さんからは座学を、そして剛毅さんからは地獄のような戦闘訓練を叩き込まれていた。
「剛毅さん・・・容赦ないからなぁ~・・・はぁ~」
復讐の為には必須とはいえ、とても厳しい鬼教官から逃げ出したいという溜息を吐きつつ、用意されたクッキーを口に放り込んだ。




