6 鍵について
01番は、少年時代、友人の自転車の鍵を開けてあげたことがある。
それは親から借りた4桁ナンバー式の鍵だった。
友人は正解の数字を聞いて鍵をかけたのだが、メモもせず、ひとしきり遊んで忘れてしまった。
遠出したものだから、イオンの駐輪場には、頼れる大人もいない。
01番は鍵についた傷のうち、一定方向に走る傷が多いことに気が付いた。
これが、彼の第一の功績だった。
そして、泣き出しそうな顔でうろたえる友人を連れて、イオン専門店フロアのサイクルショップに向かう。
もちろん、ナンバー式錠の説明書を見るためだ。
わかったことは、鍵の正解となる数字を自分で決めることができること、そして、変更するときには、正解の数字が動かないようにして、新しい数字をセットすることだった。
この発見を第二の功績と呼んでもいい。
駐輪場に戻ると、彼は、仕事をして見せた。
一番自然だと思った傷に合わせて4桁の数字をそろえた。
横に引っ張ってみるが、開かない。
「開く数字のままで鍵を持ち歩くはずないか」
そこで01番は、目に涙をためた友人に声をかけた。
「ねえ、02番」そして彼が思う4桁の数字を見せた。「この数字って見おぼえない?」
1桁か2桁をずらしておいて持ち歩くのかもしれない。
02番は、はっとした顔でその4桁を持った。そして、右の2桁を1つ分回した。
だが、開かなかった。「この数字だった気がするんだけど」そう言って、右2桁を一周させ、やはり開かなかった。
01番は、引き継いで、考えた。
2桁を回しながら、指の引っ掛かりを感じた。
そして、02番が最初に示した数字を確信した。
両手で力いっぱい引っ張って。
がちゃり。
と、開いた。
どうしてわかったのか、と驚く友人と喜びながら、01番は開いた鍵の意味を考えた。
この数字であることの確信がなければ、僕は力いっぱい開けなかった。
10の4乗通りの数字の回数、力いっぱい開けることなんてできなかった。




