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1章3話 赤い旋風と賢者のパルクール

 皆さん、こんにちは。花菱 葵です。

 第2話では立体パズルを瞬殺したタカシ君。

 第3話では、幼稚園の定番の遊び「ドロケイ(鬼ごっこ)」が、彼の知性と身体能力によって異次元のスポーツへと変貌します。

 そして、タカシ君の隣に常にいる幼馴染・茜。

 彼女もまた、タカシ君に負けず劣らずの「規格外」な才能を秘めています。

 二人が敵味方に分かれて激突した時、園庭にどんな旋風が巻き起こるのか……。

 リサ先生と一緒に、ハラハラしながら見守っていただければ幸いです!

 

 1章3話 赤い旋風と賢者のパルクール 


 入園式の翌日。


 本当の意味での幼稚園生活が始まる最初の日、ウサギ組の教室は朝から春の陽気にも負けないほどの熱気に包まれていた。


 貴と茜が教室の引き戸を開けた瞬間、登園していた園児たちが弾かれたように二人の方へと駆け寄ってきたのだ。


「おはよー!

 タカシ君、茜ちゃん!」


「ねぇねぇ、昨日ママに頼んでけん玉買ってもらったんだよ。

 後で教えて!」


「また、タカシ君の凄いやつ見せてよ。

 お空飛ぶやつ!」


「どうやったら茜ちゃんみたいに、パッてできるようになるの?

  魔法なの?」


 前後左右を囲まれ、矢継ぎ早に飛んでくる質問と興奮した声。


 4歳の子供たちにとって、昨日のタカ君はテレビの中のヒーローそのもの。


 その「魔法」を間近で見たいという熱狂が、小さな教室を埋め尽くしていた。


 いつもは落ち着いている貴も、これほど一斉に、しかも至近距離でエネルギーをぶつけられると、さすがに目を白黒させ、あたふたとしてしまう。


 隣の茜も、持ち前の明るさで応えようとはするものの、あまりの数にどこから返事をしていいのか分からず、ポニーテールを揺らしながら立ち尽くしていた。


「はーい!

 おはようございます!

 朝の会を始めるから、みんな一度自分の席についてね!」


 絶妙なタイミングで、リサ先生の声が教室に響き渡った。


 黒髪を一つに束ね、エプロン姿も凛々しい彼女がにこやかに割って入ると、収拾がつかなくなっていた人の輪が少しずつ解けていく。


「はい、みんな席についたわね。

 ……昨日みんなにかっこいい所を見せてくれたタカシ君と、頑張れば同じようにできることを実践してくれた茜ちゃん。

 二人がみんなの人気者になったのは、リサ先生もすっごくわかる。

 先生だって、昨日はずっとワクワクしてたもの。

 本当にかっこよかったもんね?」


 リサ先生はまず、子供たちの「好き」という純粋な気持ちを全肯定した。


 否定から入るのではなく、共感を示すことで子供たちの心に深く潜り込む。


 その上で、彼女は諭すように言葉を続けた。


「でもね?

 ……大切なお友達を困らせるのは、かっこいいことかな?」


 リサ先生の問いかけに、さっきまで騒いでいた子供たちがハッとしたように静まり返る。


 園児たちの『憧れ』を教育のエネルギーに変換し、わずか数分でルールを浸透させた。


 リサ先生の、ベテラン顔負けの手腕が光る瞬間だった。


「それじゃあ、タカシ君と茜ちゃんを困らせちゃったお友達は、『ごめんなさい』しましょうね」


 リサ先生の促しに従い、園児たちが一人、また一人と二人の席へとやってくる。


「ごめんね、タカシ君。

 茜ちゃん。

 みんなで一緒に話しちゃって」


「びっくりさせちゃってごめんね」


 小さな頭を下げて謝るクラスメイトたちの姿に、貴は心からの安心感を覚えた。


「ううん、大丈夫だよ。

 誰から順番にお返事をしようか迷っていただけだから。

 謝ってくれてありがとう」


 貴は彼自身の最大の武器である笑みを浮かべた。


「にぱーっ!」


 その光輝くような笑顔に、謝りに来た子供たちの顔もぱっと明るくなる。


「茜も平気だよ!

 謝ってくれてありがと。

 後でみんなで一緒にけん玉やろうね!」


 茜もまた、全く気にする様子もなく、むしろこれからの遊びに期待を膨らませて大きく手を振った。


「ふふっ、みんな仲良くできたわね。

 素晴らしいわ!」


 リサ先生は、教室に漂う温かな空気を感じ取り、満足そうに頷いた。


 子供たちの素直さと、貴と茜の寛容さ。


 このクラスなら、きっと最高のチームになれる。


 そう確信した彼女は、次の活動を晴れやかに宣言した。


「そうしたら、次の時間はみんなでお外に出て『ドロケイ』をしましょう!」


 外は雲一つない快晴。


 幼稚園の広い園庭を舞台にした、新しい冒険の幕開けだった。



 本格的な園生活のスタートを祝うかのような快晴の下、ウサギ組の30人は色鮮やかな体操着に着替え、意気揚々と園庭に集合していた。


 真新しい体操着の匂いと、春の陽光に熱せられた土の香りが混ざり合う。


 子供たちの瞳には、これから始まる「ドロケイ」という名の冒険への期待が、星のように瞬いていた。


「はーい!

 それじゃあチーム分けをするよー!」


 リサ先生の快活な声が響き、園児たちは手際よく2つのグループに分けられた。


 男女比や体格のバランスを考慮した采配だったが、その結果、貴と茜の二人は赤と白、別々のチームに振り分けられることになった。


「……タカ君と別のチームになっちゃった。

 残念だな」


 茜はあからさまに肩を落とし、自分の赤い帽子を力なく見つめた。


 いつも隣にいるのが当たり前だった彼女にとって、タカ君が『敵』になるという状況は、世界の理が少しだけ歪んでしまったかのような喪失感を与えていた。


「そんなにがっかりしないで。

 次は一緒にしてもらおう!」


 貴は屈んで茜の視線に合わせると、宥めるように穏やかな口調で語りかけた。


 貴からのお誘いの言葉は、茜の沈んだ心に一筋の光を投げかける。


「 そうだね!

  茜、いっぱい捕まえちゃうよ!

 それで次はタカ君と同じチームになるんだから!」


 瞬時に立ち直った茜のポニーテールが、決意を証明するようにピンッと元気よく跳ねた。


 その切り替えの早さと迷いのなさは、彼女の持つ天性の強さだった。


「それじゃあ、赤チームが警察で、白チームが泥棒ね。

 それぞれ最初の位置について。

 3分の作戦タイムのあとにスタートするから、チームでしっかり相談してね!」


 リサ先生の合図とともに、園庭の端と端で2つの小さな集団が形成された。


 赤い帽子を被った警察チームでは、自然と茜の周りに輪ができていた。


 言葉で説明せずとも、彼女が持つ圧倒的な躍動感が、子供たちを惹きつける磁石のようになっていたのだ。


「ねえねえ、茜ちゃん!

 どうする?」


「誰から捕まえに行けばいいかな?」


 仲間に指示を仰がれ、茜はうーんと唸りながらも、直感に従って役割を振り分けていく。


「タカ君は逃げるのが早いから、半分をタカ君係にする!

 一人は牢屋を守る人。

 残りの人で、タカ君以外を捕まえちゃうよ。

 茜はまず、タカ君以外を全力で追いかけるね!」


「えー!

 タカシ君一人を7人で追いかけちゃうの?

 すぐに捕まえちゃうよ?」


「多分無理だけど……そしたら、捕まえる係になればいいだけだよ!

 さあ、行こ!」


 茜の力強い宣言に、警察チームの士気は一気に高まった。


 数で封じ込め、自分は遊撃手として戦場を駆ける。


 戦略としては荒削りだが、4歳児の集団としては驚くほど統率の取れた形だった。


 一方、白い帽子の泥棒チームでも、貴を中心に静かな作戦会議が開かれていた。


「タカシ君、どうするの?」


「捕まりたくないよ、僕たち」


 不安げな顔をする仲間たちに対し、柔らかな微笑みを向け、その緊張を解きほぐした。


「みんな、好きに逃げていいよ。

 気をつけるのは3つだけ。

 みんな一緒に逃げないこと。

 誰かが捕まっても、一人で助けに行かないこと。

 ……それから」


 貴は一旦言葉を区切って、一番重要な事を伝える。


 「――茜が見えたら『迷わず全力で逃げること』――かな?」




「なんで?

 茜ちゃん、タカシ君のこと一番に捕まえに来そうだけど」


 鋭い質問を投げた園児に対し、貴は少しだけいたずらっぽい表情を浮かべた。


 その眼差しは、誰よりも深く、隣にいた少女の性質を理解しきっている者のそれだった。


「……それはね。

 ――茜は美味しいものは最後に食べるタイプだからさ」


 貴はそう言って、片目を閉じて鮮やかにウインクしてみせた。


 茜が自分を捕まえる瞬間を『最大のご馳走』として楽しみにしていること。


 だからこそ、まずは周辺を片付けてから、ゆっくりと自分を追い詰める時間を楽しむはずだということ。


 貴は幼馴染の考えに確信を持っていた。




「はーい!

 作戦は決まったかな?

 制限時間は五分間。

 泥棒チームは5分間逃げ切ったら勝ち、警察チームは5分以内に全員捕まえたら勝ちだからね……スタート!」


 リサ先生が掲げた笛が鋭く鳴り響くと同時に、春の静かな園庭は一変して、砂埃と歓声が渦巻く戦場へと化した。


「さあ!

 いっくよー!」


 一番に飛び出したのは、赤い帽子を被った警察チームの急先鋒、茜だった。


 彼女は4歳児とは思えない爆発的なダッシュを見せ、泥棒チームの群れへと真っ向から突っ込んでいく。


 その気迫に押されるように、白い帽子の子供たちは弾け飛ぶように四方八方へと逃げ惑った。


「う、うわ!?

 茜ちゃん早い!」


「みんな、バラバラに逃げるのを忘れないでね!」


 混乱する戦場の中で、貴の声だけは涼やかに響いた。


 彼は園庭の中央にそびえる滑り台の頂上に陣取り、まるで高台から盤面を俯瞰する将軍のように、戦況を冷静に見守っていた。


 彼が的確に指示を飛ばすことで、泥棒チームはかろうじて統率を保ち、全滅の危機を回避していた。


 しかし、その貴の元にも、茜に任命された「タカ君係」の7人がひたひたと迫っていた。


「両方から登れば逃げられないよ!」


「挟み撃ちだ!」


 7人は二手に分かれると、一方は急な階段を、もう一方は急斜面の側から一斉に滑り台の頂上を目指して登り始める。


 逃げ場のない高さ、そして包囲網。


 下で見守るリサ先生も「これは捕まったわね」と、心の中で思いかけたその時だった。


「あ!

 もう来ちゃった、僕も逃げないと」


 貴は包囲する手が一本、二本と自分にかかる寸前、手すりに軽く手を添えた。


 そして――


 何のためらいもなく、高さのある滑り台の頂上から空へと身体を躍らせた。


「「!?」」


 頂上に取り残された7人と、遠くで見ていたリサ先生の喉から、声にならない悲鳴が漏れる。


 だが、貴の身体は重力を手懐けたかのようにふわりと宙を舞い、猫のようなしなやかさで砂場の上に着地した。


 着地音すらほとんど立てず、そのまま流れるような動作で再び駆け出す貴。


 そのあまりに鮮やかな身のこなしは、4歳児のそれというよりは、訓練を積んだパフォーマーのようだった。


「……あ、あの高さから、なんのためらいも無く飛び降りるなんて……」


 リサ先生はまだ、鼓動が激しい胸を抑えながら、この『ドロケイ』が普通には終わらない予感がしていた。


 一方、園庭の反対側では、茜が文字通りの『赤い旋風』となって暴れ回っていた。


「あはは!

 捕まえるよー!」


 満面の笑みを浮かべ、逃げ惑う泥棒たちを追い詰め、その一人ひとりに確実にタッチしていく。


 茜の凄さは、単なる走力だけではない。


 視界の外から逃げようとする泥棒を、野生の勘とも呼ぶべき直感で察知し、瞬時に方向転換して仕留めてしまうのだ。


 気づけば、警察チームが捕まえた泥棒のほとんどが、茜一人の手によるものだった。


「タカシ君にも驚いたけど、茜ちゃんもスゴい反射神経ね……

 私でも逃げれないかも……」


 徒競走ならともかく、大人にとって決して広くない園庭では、彼女から逃げ切れる自信は無かった。


「タカシ君、早い!」


「あと少しなのに!」


 貴に追いつけない警察チームの焦りが、園庭に熱気を生んでいた。


 貴はジャングルジムの隙間を風のようにすり抜け、滑り台の影を利用して、追っ手たちの視界からかき消える。


 だが、彼の真の狙いは単なる逃走ではなかった。


「やっぱり、茜は早いな。

 そろそろ、捕まった仲間を助けに行かなきゃ」


 貴は仲間がドンドン茜に捕まっているのを逃げながら確認すると、茜が獲物を求めて牢屋から遠く離れた瞬間、一気に加速した。


 背後に7人の追っ手を引き連れたまま、彼は真っ直ぐに牢屋を目指す。


 守衛係の園児が慌てて立ち塞がるが、貴は鋭いステップでフェイントをかけると、守備の隙間を風のように通り抜けた。


「はい、脱獄だよ!」


 貴の手が牢屋のフェンスに触れると同時に、捕まっていた仲間たちが一斉に外へと飛び出した。


 泥棒チームの戦力は一瞬にして回復し、警察チームのこれまでの努力は水泡に帰した。


「あー!

 逃げられたー!

 作戦変更!

 タカ君係の4人!

 牢屋係に変わって!」


 その光景を横目で捉えていた茜は、立ち止まることなく次の指示を飛ばした。


 感情に任せて悔しがるのではなく、即座に現状を打破するための采配を振るう。


 この辺りの判断力もまた、彼女の非凡な才能の一つだった。


 守備を強固に固められ、これ以上の救出は困難と判断した貴は、再び自分を追う3人の包囲網をかわしながら、園庭の端へと逃走経路を確保した。


 砂埃の舞う園庭で、二人の天才が織りなす「ドロケイ」は、もはや遊びの域を超えた高度な心理戦へと突入していた。




 春の陽光が降り注ぐ園庭は、いつの間にか異様な静寂に包まれていた。


 賑やかだった泥棒チームの逃走劇も、今は昔。


 赤い旋風のごとき茜の猛追によって、白い帽子を被った泥棒たちは次々と御用となり、広場の中央に設けられた「牢屋」の中へと収監されていた。


「あ、茜ちゃん……。 

 もう……走れないよぉ……」


 警察チームの仲間たちは、砂場や鉄棒の影にへたり込み、ゼーゼーと肩で大きく息を切らしていた。


 茜の超人的なペースに必死についていった代償は大きく、彼らの体力はすでに限界を迎えている。


 しかし、ただ一人、ポニーテールを揺らす少女だけは違った。


「みんなありがとー!

 後は牢屋を守りながら休んでて!

 ……後は」


 茜は額に滲んだ汗を乱暴に手首で拭うと、満足げな笑みを浮かべて仲間を労った。


 そして、ゆっくりと視線を園庭の隅へと向ける。そこには、追っ手を完全に撒き、呼吸一つ乱さずに佇む貴の姿があった。


「……後は、茜に任せて!」


 彼女の瞳に、獲物を追い詰める直前の獰猛な――それでいて、最高のおもちゃを見つけた子供のような無邪気な狩人の光が宿る。


 それを見た瞬間、貴の背筋に心地よい戦慄が走った。


「あ……茜が本気になった。

 これは僕も本気で逃げないと、本当にマズイね」


 貴は自身の「本気モード」へとスイッチを切り替えた。


 彼が求めているのは、単なる勝利ではない。


 自分を信じて付いてきてくれた仲間たちの笑顔と、そして誰より、この熱狂を共有している茜を「にぱーっ!」と驚かせること。


 貴の足が地面を強く蹴った。


「残り1分!」


 リサ先生の張り詰めた声が合図となり、最終決戦の幕が上がった。


「アハハハハハ!

 たーかーくーん!」


 茜の速度は、これまでとは次元が違った。


 疲労など微塵も感じさせないその疾走は、まさに獲物へ飛びかかる豹のよう。


 対する貴は、園庭にあるあらゆる「障害物」を味方につけた。


 昇り棒を迷いなく掴むと、身体を支点にして鮮やかなスラロームで茜の進路を惑わせる。


 そのまま鉄棒の下を、身体を折り畳むようにして滑り抜け、鉄柱を支柱にして180度の鋭いターンを決めた。


 手洗い場のコンクリートの縁を、まるで平地であるかのように軽やかに跳び越えるその一連の動作は、パルクールを彷彿とさせる流麗さとダイナミズムを兼ね備えていた。


 次々と繰り出される異次元の逃走劇に、リサ先生は悲鳴を飲み込む。


(あんな速度で転んだら……!

 っていうか、なんで4歳児がそこを飛び越せるのよ!?)


 追いかける茜も、逃げる貴も、もはや常識の枠に収まっていない。


 先生としての心配と、一人の観客としての興奮が、彼女の中で激しく火花を散らしていた。


 リサ先生の心配を他所に、貴は際どいルート選びをして茜から逃げ切ろうとしていた。


 それでも、茜を振り切る事は出来なかった。


 どんなコースを通ろうとも、瞬時に反応し追いかけて来る。


「あ、茜!?

 早すぎっ!

 ……っあぶな!?」


 背後に迫る茜の気配は、まるでサバンナを駆ける豹のよう。


 貴は死角から伸びてくるその「爪」を、紙一重のところでかわし続ける。


「アハハ!

 惜しいっ!

 あとちょっと!」


 茜は目を爛々と輝かせながら追いかける。


「すごい……あんな動き、4歳の子ができるなんて……」


 リサ先生は、持っていたストップウォッチを握りしめたまま呆然と立ち尽くした。


 レンズ越しに追っていた昨日のけん玉の時と同じ、常識を超越した少年の姿がそこにあった。


 逃げる貴、追う茜。


 二人の距離が、1メートル、50センチと縮まっていく。


 貴を待ち構えていたのは、逃げ場のない直角の壁。


 茜の野生の勘が、ついに「賢者」を袋小路へと追い詰めたのだ。


「残り10秒!」


「アハハ!

 あと少しっ!」


 勝利を確信した茜が、その小さな手を貴の背中へと伸ばした。


 激突か、御用か。


 だが、貴の瞳は諦めてなどいなかった。


 壁を目前にして、彼は加速する。



「あぶな――っ!」


 リサ先生の悲鳴が園庭に響く。


 目の前には、逃げ場のないコンクリートの壁。


 衝突は不可避。


 だが、貴は速度を緩めない。


 それどころか、壁を目前にしてさらに一歩、強く踏み込んだ。



(茜……ごめんね!

 僕の奥の手を使うよ!)




 第3話をお読みいただき、ありがとうございました!

 タカシ君の「パルクール」と、茜ちゃんの「野生のダッシュ」。

 4歳児の追いかけっこを書いていたはずが、気づけばアクション映画のような展開になってしまいました(笑)。

 そして最後、壁に追い詰められたタカシ君の「奥の手」。

 賢者と呼ばれた彼が、最後にどんな驚きの動きを見せるのか……。

「タカシ君、逃げ切って!」

「茜ちゃんの野生の勘、すごすぎる!」

と思っていただけたら、ぜひブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で応援いただけると嬉しいです!

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