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第30話 親友の役目

午前五時五十七分。


茶武郎に投げかけられた問いに対して頭を抱えるなか、スマホがパッと光った。


目を向けると、そこには沙也加さんからのメッセージ。


内容は……


『今度、二人で会えないかな?』


「ふぇぁ!?」


驚いて、情けない声を上げてしまった。


お誘いはうれしい。


だけど、今は返事ができる心理状態じゃないし、何より相手の目的が分からない。


申し訳ないけど、未読無視させていただこう。


そう思ったところで、もう一件通知がきた。


『お店は、再会した合コン会場でどうかな?』


「――っ!?」


そのメッセージを見た瞬間、僕は沙也加さんとのトーク画面を開くなりメッセージを送信した。


『行きます、行かせてください!!』



―茶武郎視点―


時刻は午前五時……何分だろう。


腕時計の長針が指すメモリは、寝起きであ

今の俺には読むことができなかった。


まぁ、大体六時くらいだ。


キャンプ場に隣接した山からひょっこりと顔を出している太陽の光が、否応なしに朝の訪れを伝えてくる。


蒼の説得の末、若月さんと充を二人で会わせる作戦は本格始動した。


説得にはかなり時間を要したようなので、次に会うときには高級アイスの購入が必須だ。


充のもとにも無事に若月さんからのお誘いメッセージが届いたようで、早朝から情けない悲鳴じみた声がテント越しに聞こえてきた。


と思ったら、テントのファスナーが激しく動き、目の下にクマを付けた充が飛び出てきた。


「やばいって!昨日、あんな話した後でデート了承しちゃった!!」


と、若月さんとのメッセージチャットの画面を突き付けてくる。


充の言うデートとは、きっと俺たちが秘密裏に動かしているあの計画のことだろう。


「おー、早起きだな充。まさか、ずっと起きてたのか?」


俺は、平常を装ってそれに返答した。


「あぁ……あの後、僕は沙也加さんのことをどう思っているのか考えてたら……」


「あのな、充。その答えなら、もう出てるんじゃないのか?」


「……どういうことだよ」


「一睡もせずにそんなことを考えてやってるなら、若月さんも悪く思わないだろうし。それに、そんなに一生懸命悩むってことは、お前が若月さんに特別な感情があるってことじゃないのか?」


「だから、その特別な感情が恋なのか友情なのかわからないんだって」


「そんなもん、考えて分かるもんじゃないだろ。さっき、若月さんから『場所は再会した合コン会場』って言われてから即答したのはなんでか、考えてみろよ。」


「それは……沙也加さんと一緒に食べるご飯があったかくて、美味しくて……」


そこまで言うと、充はハッとした表情になった。


元カノを振った夜から、充は変わった。


料理をきっかけにして、新しく誰かと関係を築いた。


だけど、まだ一つ欠点がある。


それは、自分の気持ちがうまく見えていないことだ。


恋か友情かじゃなく、若月さんじゃなきゃダメなのかそうじゃないのか。


それに気づかせてやるのが、親友(おれ)の役目だったってわけだ。


俺は、充の背中をバシッと叩くとこう言った。


「気付いたなら行ってこい。きっと大丈夫だ。」


すると充は、潤む瞳を手で擦りながらこれに返した。


「……痛えよバカ」

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