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第29話 残された行動はひとつ


場所は移動して飯田家のダイニングテーブル。


蒼さんはビール缶を片手に、沙也加さんと向かい合わせで座っています。


沙也加さんとお兄ちゃんのデート(?)セッティングの説得は難航中です。


そんな様子を見つめながら、私は沙也加さんが初めてこの家に訪れた時の記憶を思い返していました。


沙也加さんのひんやりとした過去を明かされた私が、思わず号泣した後――


「ちょ、ちょっと!?美月ちゃん、大丈夫!?」


「ご、ごべんなさい!!そんな過去をお持ちだったとは知らず、私、沙也加さんのことを……」


鼻水をズビズビさせながら、私は必死に謝罪しました。


「大丈夫だよ、美月ちゃん。美月ちゃんが怖い雰囲気だったのは、充くんを守ろうとしてただけだもんね」


せっかく本音を打ち明けてくれた沙也加さんに対して、何か気の利いた言葉をかけたかったのですが、逆に私が慰められてしまいました。


そして、ここまで聞かせてもらったのなら、私に残された行動はひとつでした。


「あの!!私、沙也加さんを全力で応援します!」


「美月ちゃん……」


沙也加さんは、一瞬だけ目を丸くしましたが、すぐに悪戯っぽい笑顔に戻ってこう言いました。


「ありがと。でも、充くんって何故か変なところで鈍感なんだよね……どうやったら振り向いてくれるかな?」


それを聞いて、私も精一杯のヤンチャな笑顔で答えました。


「よくぞ私に聞いてくれました!!沙也加さんは、お兄ちゃんに手料理を食べてもらいたいし、食べさせてもらいたいんですよね?」


「その通り!……だけど、そんなことできるの? まだ付き合ってもないし……」


「そう……まだ、お二人は日常的に料理を作りあう仲ではないはずです。今日みたいに家にきてご飯を食べたりするのは、珍しいはずです。」


「おっしゃる通り、まだ会ったばかりだからね。」


よかった……


ここで、『実は前から度々お邪魔をしていた』とか言われると、少し混乱してしまうところでした。


安心したところで、改めて切り出します。


「じゃあ、()()()()()()()()()()()……というのはどうでしょう?」


「お弁当!?詳しく教えて!!」


「そうですね……例えば、私が母親に頼んで、お兄ちゃんの学食代をストップしちゃったりとか……!」


「おぉ!ナイスアイデアだよ美月ちゃん!!」


……こんな会話を十数分続けたところで、話の内容はお兄ちゃんの好きなところについての話題になりました。


沙也加さんは見る見るうちにヒートアップしていましたが、ちょうどよいところでリビングの入り口のドアが開いてしまいました。


お兄ちゃんがお風呂から出てきたようです。


これにて今日はタイムアップです。


沙也加さんはドアの音に敏感に反応して、早々に会話をやめてしまいました……


しかし、耳や頬に広がる赤みは、その後しばらく収まることはありませんでした。

お読みいただきありがとうございました!

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