24. 誘拐
朝ーー。
昨晩からシェリカの姿が見当たらない。
どこへ行ったのだろうかーー?
そんなざわつく様子が、屋敷内のあちこちで起こっていたーー。
「シェリカちゃん?……そういえばこんばんは一緒に寝なかったね〜。……どこか行っちゃったのかな?」
「ふむ……。街へ出かけるーーにしては早すぎますな。几帳面なシェリカ様が伝言を残さないとも思えませんし……」
「シェリカの嬢ちゃん?……悪いな、昨晩はダンジョンの下見に行ってたからわかんねぇやーーエリスフィールに聞いてくれ」
「シェリカ様ですかーー?いえ、見かけてはいませんねーー。しかし領主様、昨晩怪しい者たちが《精霊結界》に反応がありました。それから、何やら領内で不穏な動きが見え隠れします。私の思い過ごしならよいのですが……まさかーー」
皆の証言を聞けば聞くほど、胸騒ぎがする文言が増え続ける。
多分だけど、間違いない。
「誘拐…………!!」
ダンッ!!と、珍しく機嫌を荒げるクロノを前に、皆驚いている様子だったーー。
「とりあえず、カイル様にも聞いてみましょう。……何か、ご存知かもしれませんのでーー」
アーモンドの提案を受け入れ、カイルに情報交換を求める。
しかし、展開としてはなんとも予想通りの嫌な反応だったーー。
「シェリカちゃん?……さぁ〜、一体どこへ行ったのかな〜?…………まさかとは思うけど、〝誘拐〟なんて事ないよなーー」
あからさまな態度で挑発するカイル。
しかし核心をつかれ、歯噛みするしかないクロノだったーー。
(しまったーー!!やられた!!……兄さんの事だから嫌がらせか挑発が限度だと甘く見ていたーー。まさか来訪ついでに誘拐するなんて……いや、もしかしたらこれが狙いだったのかーー?)
脳内処理が追いついていないクロノに、カイルは追い討ちをかけるように呟いた。
「もしそうなら大変な事になるな〜、〝侯爵家〟の令嬢が辺境の領地で行方不明!……しかも、領主の屋敷でーーだ!……それはもう、お前の立場が無くなっちゃうんじゃないのか〜?」
両手を広げてアピールするようなカイルの態度は、今のクロノには見えていない。
しかし、カイルの言う通りだーー。
こんなタイミングで誘拐が起こるというのはあまりに不自然だ。もはやカイルがこの件に絡んでいる事は明白だろうーー。
それでも、外聞を見れば侯爵令嬢が辺境の地で行方不明になったという大事件だ。
そんな事が明るみに出れば間違いなく俺の責任問題ーー下手をすれば屋敷の人間全員が連帯責任を負わされかねない。
何より、証拠が無い以上……カイルを断罪する事はできないーーいや、そもそも証拠があったとしても司法を金で買える《ランスロット家》の権力を用いればもみ消す事なんて造作もないだろう。
まさかここに来て自身の生家が持つ実権の強さを認識するとは……皮肉と言うべきなのだろうか。
もはやカイルの計画を阻止するためにはーー、方法は一つしかない。
「シェリカを探そうーー」
仮に屋敷から出たのが夜中の内だとしても、《エンドラ領》は《インクリア王国》の辺境地という事もあって、国境を越えるには身分証の提示や積荷の改めなどがある。
可能性があるとすれば領内からギリギリ外ーー事前に予めそういう場所を用意していたのなら、限定するのは不可能では無いはずだ……。
それらの条件だけでも、行き先に方角が絞られる。
「悪いけどみんなーー力を貸してくれるか?」
クロノの問いかけに、皆振り向く。
仲間の一大事に、その心は同じだったーー。
「うむ……もちろんですとも」
「そうこなくっちゃな!」
「領主様の名とあらばーーどんな任務でも承るのが我が勤めですからーー」
ちょんちょん、とプルシュスカが通訳を求めてくる。
エリスフィールは、こそこそ……とプルシュスカにそれらしい事を伝えた。
「ならご主人様、シェリカお姉ちゃんを助けないと!!」
皆、頼もしい表情で答えてくれた。
こう言う時、助け合える仲間がいて本当に良かったと、心の底から思うーー。
「ありがとうみんな……それじゃあ行こうかーー〝捜索開始〟だ!!」
……………………。
どこかの地下牢ーー。
薄暗い中、男達がシェリカの見張りをしていたーー。
「大人しくここに座ってろーー」
「…………」
和風の畳部屋がいつくも迷路のように繋がる、襖で隔てられた部屋の一つ。
その一角で、手錠で身動きを封じられ、男達を睨みつけるシェリカの姿が。
「可愛げのない奴だーー。この年頃の女なら普通泣き叫ぶんじゃねぇか?それも令嬢ならなおさらーー」
シェリカは沈黙したまま、男たちの表情を見つめる。
(狙いはここからの脱出ですが……それ以上にまずは、ここがどの辺りに位置する地下牢なのか確認しないといけませんねーー)
シェリカは辺りをうろうろと目を配る。
が、その様子を言い当てるように、笑って一人の男が答えた。
「無駄だよーーここにはお前の役に立ちそうなものは何も無いーー。ずいぶんと頭が回るらしいからなーー。念には念を入れているーー」
脱出する為の糸口を探しているーーと、捉えさせたのは、シェリカの念案。
しかし、これはブラフ。
シェリカの本題は他にあったーー。
(そう言いながら、目隠しをしないなんて大胆な方達ですね〜。わたしが《鑑定》スキルを持っている事くらい、ちょっと探ればわかるはずだったのですがーーせっかく隙だらけですし、読ませて頂きましょう。〝《鑑定》〟ーー!!)
シェリカは、男たちの能力を見て愕然とする。
(こ、……この人たちっ……なかなか手強いですね。戦闘能力にも長けているーーでも何でしょうか……これってーー)
シェリカは違和感に気づく。
この三人ーー明らかに誘拐犯として手練れている。
しかし周囲にいるその他の人間には武術に覚えがあっても、まるで気配はてんでバラバラーーまるで何かの〝意思〟によって統率されているような感じだーー。
そこにーー、一人の男がやって来る。
「これはこれはーー貴族令息方々から一目置かれている《セントルイス家》の聡明なる令嬢ーーシェリカ・イザレア・セントルイス様。お会いできて光栄に思いますーー」
司祭のような服装のメガネをかけた中年の男は、にこやかに笑顔でシェリカに歩み寄る。
「あなた……誰ですか?」
シェリカは《鑑定》スキルで司祭の男を調べる。
しかしてそれは、シェリカにとって最悪の情報をもたらしたーー。
「っー!!あなたーー」
「おやおや……さすがは〝鑑定聖女〟様ーー。自己紹介の間も無く私の事を把握するとはーーならば、余計な説明は不要ですねーー」
そう言って、司祭はシェリカへと近づく。
一歩、また一歩とーー。
シェリカはひどく怯えた表情になり、司祭を青ざめた顔で拒絶した。
「いや……来ないで…………こっちに来ないで!!」
司祭の男は安心させるような声色で、シェリカに語りかける。
「大丈夫ですよーー何も苦しい事はありません。一瞬ですぐにあなたも〝祝福〟を受けられますからーー」
「嫌……い、嫌ぁぁぁぁぁ!!」
見張りの男たちが監視する中、シェリカの悲痛な叫び声が地下牢に響き渡ったーー。
……………………。
「エリスフィール……。頼めるか?」
「承知致しましたーー〝精霊よ・我が願いに応え・探し人の道標を示せ〟ーー〝《精霊探知》〟!!」
エリスフィールの《精霊魔法》に応え、大気中の精霊たちがシェリカの捜索に向かう。
「今しばらくお時間がかかるかとーー私達はその間にいくつか怪しい場所をしらみつぶしに探しましょうーー」
「じゃあ俺は西の方面から片っ端に探していこうーー」
そう言ってエドワードは、《エンドラ領》から見て南西の方角へ歩き出す。
「わかりました。では私と領主様は北方へーーアーモンド様とプルシュスカ様はここで皆の情報交換の任をお願いしますーー」
「わかりましたーー。みなさま、ご武運を……。坊ちゃまーーお気をつけくださいませーー」
「アーモンドさん、みんな何て……?そっか!わかった!みんな、いってらっしゃい〜!!ご主人様っ、シェリカお姉ちゃんと早く帰ってきてね〜!!」
アーモンドとプルシュスカが、三人を見送る。が……
「待ってくれーー」
エリスフィールの指示で配役が完了した、その間際……クロノがエリスフィールに頼み込む。
「エリスフィール……分ける人数は多い方がいいんじゃないか?だったら俺も単体で動きた方が効果的だと思うんだがーー」
そう、クロノがエリスフィールに進言する。が、しかし……エリスフィールは冷淡な声でクロノに諭した。
「領主様。お気持ちはわかりますが……敵の数が把握できない状態での分散した行動はあまり得策とは思えませんーー。私では頼りないでしょうがーー不肖ながら、全力で領主様をお守り致しますので……どうかーー」
「…………そうかーーわかった」
もっともなエリスフィールの言葉に、歯噛みしながら納得するクロノだったがーー、そこでエドワードが待ったをかける。
「あ〜、悪いんだけどエリスフィールよぉ〜……クロノは俺に引っぱらせちゃくれねぇか?」
「っーー!エドワード様と……ですか?」
「先生……?」
エドワードからの唐突な提案に、二人して固まるクロノとエリスフィール。
「エリスフィールの《精霊魔法》ってのはだいぶ集中力がいるんだろうーー?そんな時コイツが足を引っ張る可能性が無くはねぇーーだったらエリスフィールは単体で効果的に、俺とコイツは速さで探し回ったほうが早えんじゃねぇかと思ってなーー」
さすがは〝剣帝〟ーー実践型ならではの鋭い提案である。
その提案を快く、エリスフィールは承諾した。
「なるほど……確かにわたしが領主様を連れて行っても、できる行動には限りがありますねーーわかりました。それではエドワード様……申し訳ありませんが、領主様をよろしくお願い致しますーー」
粛々と、ドレスの裾を持ち上げで伏し目がちに願い出るエリスフィール。
エリスフィールとエドワード……二人の意見を混ぜ合わせる形で、話はまとまった。
《エンドラ領》からそう遠くへは行っていないであろう推測と、エリスフィールの《精霊結界》からの情報との照らし合わせで、主に探索する箇所は九つまでに絞られた。
「それじゃあーー行こう!!」
〝シェリカ救出作戦〟がーー、今始まる。
……………………。
《エルロード家》領主屋敷ーー。
「本当によろしかったのですか、カイル様?」
従者の男が、カイルに問いかける。
「……シェリカちゃんの事か?」
カイルは優雅に寛ぎながら、クロノがいつも座っている席で紅茶を嗜む。
「……ええ。もし事の真相が露見されれば、カイル様の立場が危うくーー」
「仮に、真実がバレたとしてもーーその時面を食らうのは向こうの方だ。辺境の地で、領主屋敷で、侯爵令嬢が誘拐されたという事実は変わらないのだからなーー。しかも、朝になるまで誰一人気づかない体たらくときた。奴らの方こそ責任問題でこの領地を追われるだろうーーそしてシェリカちゃんの居処は永遠にわからないままーー彼女にはボクの事を慕うように徹底的に教育してやる!!」
カイルの歪んだ憎愛が、その表情に現れる。
「しかし彼女はまだ幼いーー。カイル様がそれほど執心される方なのでしょうか?」
従者の発言で、ギロリと睨みつけるカイル。
「全く……彼女の価値がわからないとはーー俺の従者のクセに目が曇っているのか?あの子は最高だ!あの歳であの聡明さ……何より気品あふれる振る舞い、時折り六歳という幼さを忘れさせる程の色気。……あれが十年二十年経った姿を想像してみろーー。他の令嬢じゃあどれだけ抱き合わせでも彼女の高みには至ることはないーー。ああ、すごく待ち遠しいーー今日……この日を境に、ボクの人生はーーこの世界は大きく生まれ変わるのだ。あの子を手にしてーーバカにしてきた他の〝十二爵家〟も、〝グルーヴィス〟兄さんもーーいつもいつも子うるさい〝エレミア〟姉さんも全員黙らせてやる!!うはは、うはははは!!あ〜っはっはっはっはっは〜!!」
高らかに、笑うカイルの声が屋敷に響き渡る。
その様子を、微笑んだように頷く従者。
クロノ達にーーもはや時間は残されていなかったーー。
……………………。
時間が経ちーー日が暮れ始める頃。
「おかしい……何だコイツらーーずいぶんとやり手じゃねぇか?」
カキンッーードドッ!
先程から走りゆく先々に、手練れの敵と遭遇する。
エドワードが本気を出していないにしても、クロノがついていける最大速力で移動する二人について来るのだ。
「おらよっ、あっち行ってろ!!」
エドワードが足蹴りをかまし、一人大きく飛ばされていく。
クロノは《未来眼》を使い、敵の攻撃を避けながらエドワードについていく。
その構図で、この数時間走り続けていたーー。
(それにしても……これだけ走っててもほとんど疲れがないーー。先生の訓練の成果が、こんなに出てたなんてーー)
今では一日二十キロ(二十一キロ)走が日課になっていたため、足腰への鍛えられ方が普通ではない。
筋力増強のトレーニング等もこなしていた為、脚力もずいぶんと上昇したようだ。
加えてエドワードがクロノの疲弊しないギリギリの速度を維持していた為、負担など無いに等しかったーー。
「おらっ!」
「よっと!」
敵の剣の大振りを華麗に回転して交わす。
その先にも敵が待ち構えているが、それは一回転ジャンプでくるんっ!と飛び越えて突き進む。
「はぇ〜!逆立ちトレーニングってこんなに空間認識能力に幅が効くんだな〜」
今ではクロノの動体視力は以前とは比べ物にならない。
その影響が《未来眼》との複合で無数の選択肢を広げていた。
しかしーー、それにしても明らかに変である。
「先生ーーこの人たち、結構強く無いですか?……何でこんな人たちが、犯罪ギリギリのこんな事件に加担するなんてーー」
先程から周囲の警戒と人数の把握などで黙り込んでいたエドワードが、口を開く。
「確かに……こりゃあ、きなくせぇな……。こいつら、本当に〝正気〟かーー?」
「それってどういうーー」
二人の前に、剣を持った…… 一人の和装装束の男が立ちはだかる。
その様子を見て、エドワードの顔が大きく驚いたものに変貌したーー。
「っーー!!お前…………タツ!?」
「タツ……?」
向かい合った和装装束の男は、剣を構えてエドワードに睨みを効かせる。
「…………よぉ、エドワードーー」
……………………。
五年前ーー。
「お、俺の負けだーー」
「へっーーどうよ。俺の方が強かったなーー残念!今回のパーティーリーダーはこの俺様……《エドワード・ヴァン・ベルセルク》様が引き受ける事となります!!はいざんねぇ〜ん!!」
「クソォッーー!!」
まるでコントのように、項垂れるタツと仁王立ちで笑うエドワード。
二人は剣の才覚溢れるだけでなく、人柄が良い事で冒険者達からも評判が良かったーー。
「それじゃあ、私はギルドに受付依頼を済ませて来るね。よろしくエドワード君〜」
「……残念だったな、タツ。……まぁ、エドワードは剣士としても〝格〟が違うから今回は諦めなーー?」
女子二人からのエールに悔し涙を流しながら、タツは立ち上がる。
「クソォ〜〜!!いつか絶対ーーお前に勝って俺がパーティーリーダーになってやる!!覚えてろよぉ〜エドワードォッ!!」
「ヘッーー臨むところだぜーータツッ!!」
……………………。
「…………タツ。お前ーーなのか?」
「…………久しぶりだな、エドワード。」
二人の睨み合いに、他の者は皆間合いを取って静まり返る。
「先生ーー知り合いですか?」
クロノの問いかけに、エドワードは頷いた。
「ああーー、冒険者時代の友人だ。名前はタツ。俺が旅に出るまでの二年間一緒に組む事が多かった〝剣豪〟だーー」
「っーー!!〝剣豪〟…………」
剣帝の一つ下の称号ーー剣豪。
相応に剣を極めた者でないと与えられない称号を持つ者がーー何故カイルの手先なんかにーー?
(今回の事件はやはり……何かがおかしすぎるーー)
そのクロノの心理を読んだかのように、エドワードはタツに問いかける。
「おいタツーーまさかとは思うが……あのボンボン貴族の良いなりになって俺たちを邪魔しに来た訳じゃねぇよなーー?」
タツは笑いながら、コクリと頷く。
「ああーーそのまさかだよ。〝あの方〟の為にーーエドワード……。お前を倒して、俺の方が強い事を証明してやる!!」
ダンッーーと、タツはエドワードの元へ一瞬で駆け抜ける。
カキンッーーと、タツの剣とエドワードの紺剣が鍔迫り合った。
「クッーー!!」
「先生っ!!」
クロノは反応できない。
それ程までに濃縮されたーー、一瞬での出来事だったーー。
「ほらっーーどうした?……本気でやらねぇとーー俺は止められないぜ?」
「クッーーソがっ!!」
そのままエドワードが押し払う反動を利用して、綺麗に着地するタツ。
両者の行動には、クロノの想像する一つ上の次元の戦いがあった。
「クロノ……一つ俺の違和感を伝えておくーー。もしこれが真実なら、状況はだいぶやべぇぞ!!」
「先生……一体どういうーー?」
エドワードは静かに、風の音を聞きながらクロノに伝える。
「この感じーーおそらくだがタツは……〝何者か〟に操られているーー!」
「っーー!!操るって、そんなーー」
驚愕の表情でクロノは冷や汗を垂らす。
「……おそらくどこかに、《使役》スキルを持つ者がいるはずだ。……シェリカの嬢ちゃんがいるとすればそこだろうーー」
「…………《使役》スキル」
他者を操る強力なスキル・《使役》。
クロノの額から、冷や汗がこぼれ落ちる。
「……ここは俺が時間を稼ぐから、お前は先に怪しい所を回れ。出来るだけ戦いは回避して体力を温存しろ!!……《使役》されてるとなりゃ、手練れがいくらいてもおかしくねぇからなーー。……間違っても、絶対に死ぬなよ!!」
クロノを背に、エドワードは言い放つ。
「…………先生ーー」
何も言えないまま、クロノもエドワードに対して背を向ける形で歩き出す。
《使役》スキル。もしそれが本当なら全てに辻褄が合う。
そして何より……それが事実ならこの領内で何が起きても不思議じゃ無い事は確かだーー。
そうーー決意したクロノは、一言だけ。
「絶対ーー見つけ出して連れ帰ります!!」
そう残して、エドワードの元を立ち去ったーー。
「……………………」
(ずいぶんとまぁ……大人ぶりやがってーー)
エドワードと対面するタツは、再び構えを取る。
「話は済んだかーー?だったら、手加減はいらねぇよなーー!!」
ガキンッーー!!
耳が破裂しそうな程の音を響かせながら、タツとエドワードは剣を交わり合う。
あのエドワードが、タツの攻撃に若干の怯みを見せた。
「ヘッ…………こりゃあ、本当に気合い入れてやらねぇとやべぇなーー」
(頼むぜクロノーー必ずシェリカの嬢ちゃんを救い出してやってくれーー)
内心で冷や汗を垂らすエドワード。
不幸な形での再会だがーー久々の好敵手を前に、エドワードは不敵に笑っていたーー。




