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揺らめき .10

 そうして、この事件は幕を閉じた。警察が到着したのは、十時になってのことだった。パトカーが三台もやってきた。三台と言うとそれほど多くはないように感じるかもしれないけれど、現実感を失わせるには十分な数だった。

「通報をいただいて駆けつけました。詳しい事情をお聞かせいただけますか?」

 女性の警察官が、僕に話しかけてきた。何も答える気にはならなかった。

 周りを見ると、ほかの人たちもそれぞれに、事情を聴かれているみたいだった。床に座り込む桐原さんを、そばで米山さんが支えていた。またその隣では、似たような構図で、響さんが震える千代さんを抱きしめている。黒沢さんはというと、相変わらずあの真っ黒なコートのポケットに手を突っ込んで、ふてぶてしい態度で警察の人と会話していた。そして浅田さんはオーナーらしく、責任ある面持ちで聴取に応じていた。

 皆が皆、それぞれの思いを持って、この状況を受け入れている。きっと、もう彼らと会うことはないのだろう。どこか他人事のように、僕はその光景を眺めていた。ほかの警察の人と話しているのか、権田さんの姿はそこにはなかった。

 自白した井波が、数人の警官に連れられて、パトカーに乗せられていく。ドアが閉まる直前、彼と一瞬目が合った。彼は小さく頷いた。僕はそれに、何も返すことができなかった。

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