ギルド長の依頼
「それじゃあまた後で会いましょう。」
「待ってるわ。」
簡単な挨拶を済ませ門をくぐる。赤色と黄色の建物の間にある道を通り、総合ギルドの中心にある三色旗をたてている三階建ての建物に着いた。
「着いたよ。ここで各ギルド長が取りまとめているんだ。」
「想像してたのと違う…外から見えた一番でかい建物がそうかと思ってました。」
「ああ、あれは貯蔵庫だよ。ここに半年分の食料などが入っているんだ。」
高く聳え立つ塔を眺める二人は本来の目的を忘れないうちに建物の中に入っていった。階段で二階に登り赤いドアをノックする。
「失礼します。ギルド長に呼ばれて参りました。」
「入っていいよ。」
中から人の声がする。クロードはドアを開けて挨拶をする。
「いーやぁクロード久しぶりだね。ん?隣にいる子は誰だい?」
「お久しぶりですバルトラギルド長。当時はお世話になりました。隣にいるのは私の助手をしてるユーリです。」
「初めまして、ユーリと申します。先生のお手伝いとして働いております。」
「二人ともそこに座りなさい。コーヒー出してあげるよ?」
「「失礼します。」」
二人はお言葉に甘えてふかふかの椅子に座った。コーヒーを出された後バルトラとクロードは話を弾ませるが二人の会話の邪魔にならないようにユーリは出されたコーヒーを飲んですぐに席をたち離れて立っている。
「どうだクロード、全然変わってなかっただろう。」
「ええ、昔と同じですね。変わったところがあるとすればリズが受付嬢をやっていること位ですかね。(受付嬢やってる時点で驚きなんだが…)」
高笑いながら話すバルトラに心の中でため息をつきながらもクロードは返事を返していく。バルトラは世間話を途中で切って本題に入った。
「おっと本題を忘れるところだった。今日君を呼んだのはこれが理由なんだ。」
机の引き出しを開けて一枚のカードを取り出す。パッと見猫のイラストが描かれたカードだが、裏を見ると予告状が書いてあるのが見えた。
「八日前に王都内を騒がせた事件があっただろ。お前なら知っているがまた予告状が届いたんだ。」
「いや、その時はここからかなり遠い街に行っておりましたので詳しいことは知りません。一体何があったのですか?」
「あ〜それなら流石に分からんか…その日王都のヴァンレット博物館に展示されてた作品が複数品盗まれる事件が発生したんだ。手口は予告状を出してから盗むという犯行をしていて何が目的なのかはっきりわからんのだ。盗む予告する泥棒など初めて聞いた。」
話を聞いているうち、クロードはその事件のことに興味をもちだした。ただひとつ疑問があった。
「それなら騎士団が動けば対応出来たはずですよね?何故私をギルド協会まで呼んだのです?」
「それなんだが…ちょっといいかい?」
「(なるほどね…邪魔になってしまうか)ユーリ、悪いけど話が長くなりそうだからギルド内を自由に見て回ってもいいよ。しばらく見て回ったら戻ってくればいいから。」
「え?良いのですか?」
「もちろん構わないよ。立ち入り禁止区域以外ならどこでも自由に出入りできるから気をつけて回るといい。」
バルトラはチラチラと視線でユーリを指し、その意図を察したクロードは暇そうにした様子でうとうとし始めたユーリを部屋を追い出す口実として見学を薦め、バルトラが許可を出した。途端に元気が出たのか目を輝かせてお礼を言って部屋を退出した。二人きりになったところで話を続ける。
「騎士団総出で対処したんだが、ものの三十秒で盗まれてしまって団長が茹でダコになる位顔を真っ赤にしてたんだ。不謹慎だがあれは傑作だった。」
王都の中で名誉ある職業の騎士団が泥棒に翻弄されるなど前代未聞である。ヴァレンとジェーンの気持ちがどうなってるか容易に想像がつき、クロードは吹きそうになるのを必死にこらえていた。クロードは意外と黒いかもしれない。
「今回また予告状が館長に届いたそうで二日前に同じ過ちを繰り返してたまるかと私のところに怒鳴り込んできたんだよ。全く…」
「ギルド長。話が見えてこないが私にどうしろと言うのですか?」
「単刀直入に言う。一日でいい、冒険者に復帰してくれないか?」
「は?」
頭を下げて頼むギルド長の姿を見て、返答に悩むクロードである。




