登場人物&世界観紹介:第1章
第1章に登場した登場人物達や、舞台設定の紹介です。
【主要登場人物】
<ユーステット=クロニクス>
このお話の主人公。周囲からはユースの愛称で呼ばれる。エレム王国出身。
ボリュームのある黒髪は一部がつんつん尖っている。肌によく吸い付く黒のシャツは腕と肩を露出するノースリーブ、下も同色の少しゆったりした普通のズボンであり、あんまり騎士らしい姿ではないと異国の人にはよく言われる。ただし、エレム王国騎士団の騎士は着こなしに規律がほぼ無いので、これはユースのみに限ったことではない。
戦闘時も金属製の小手と、腰と太ももを守る二枚一体の草摺を装備するだけで、鎧も一切装備しない。愛用の盾を左腕に、騎士剣を右手に、身軽な姿で戦場を駆け抜ける。
よく言えば謙虚、忌憚なく言えばあまり自分に自信を持っていないタイプで、3歳ぐらい若く見える童顔のせいもあって、あまり周りから頼もしい人には見られづらい。しかし本人が謙遜気味の実力も実際はたいしたもので、戦場において発揮する強さはそれなり以上に高い。騎士団に戻れば自分より強い騎士様なんて山ほどいると自認しているが、強者揃いのエレム王国騎士団内においても、実はけっこう上位に食い込む実力者である。
<シリカ=ガーネット>
ユースと一番付き合いの長い先輩騎士。エレム王国出身。
絹のようになめらかな長い金髪、道行く人々が二度見するほどお綺麗な顔立ち、上から順に大きく、くびれて、大きくと、色んなものを兼ね備えた女性である。振る舞いも礼儀正しく清楚なため、非武装時の街娘と変わらない格好で歩いていると、どこかの名家のお嬢様か何かかとよく間違われるらしい。身長も、男子としては平均的なユースと同じ背丈なので、女性の中では結構大きい方。
戦闘時も、チュニックの上に胸だけを覆う軽鎧を装備し、あとは金属製の小手とブーツ、草摺を装備するだけで、ユースと同じく非常に軽装である。軽鎧も、大きな胸が揺れないようにするためのものである部分が殆どで、元々敵の攻撃を一切当てられない戦い方を主とするため、その身軽さを活かして風のような速度で戦場を駆け回るフットワークが最大の武器。
昔はユースに対してもたいへん厳しい人で、彼がここまで強くなってきたのは今や九割がこの人のせい。彼女自身の実力も、ちょっと人間離れしてるんじゃないのっていうレベルで、好きに戦わせたらちょっとやばい暴れっぷりを見せる。元々非戦闘時はとても優しい人だったけど、最近はそれ以外の面でもかなり丸くなったらしく、ユースやアルミナに対してもフルタイムで接し方が柔和になっている。
<アルミナ=マイスダート>
ユースと同い年の親友にして、祖国の騎士団に所属する傭兵。エレム王国出身。
亜麻色の髪をポニーテールに纏め、脇を見せる茶の袖なしシャツを上、もこもこ膝上までのズボンと短いスカートを身に纏う。あとは肘まで届く長手袋をせめてもの防寒着とし、物語開始時点の冬の季節でも二の腕と肩、膝周りを風晒しにする軽薄な着こなしである。戦闘時も防具などは増えず、愛用の銃を武器に戦う。
お喋りでいつも元気いっぱい、一方で礼儀正しく、気が利き優しく視野も広いという、どんなコミュニティに混じってもムードメーカーになれるタイプ。お姉ちゃん気質が強いせいか、特に年下の女の子に対してはとりわけ優しく、アルミナによくして貰った年下の女の子は、結構アルミナになつきやすいらしい。気立てもよい上、年相応に大人びている顔立ちにして、無邪気な性格のせいか垢抜けなさも残すその表情も相まって、本人も預かり知らぬところでけっこうモテている様子。
銃を手にした傭兵としての手腕は相当なもので、走りながらだろうが地面を転がりながらだろうが、きっちり狙いどころ目がけて銃弾を放てる腕を持つ。接近戦が出来ないことだけが唯一の弱みであり、立ち位置は常に中衛か後衛になるが、支援狙撃手としては超優秀の部類。
<ナナリー=アルクトス=ルビー=セプトリア>
セプトリア王国女王。当然ながらセプトリア王国出身。
17歳の若い女王という肩書きだけでも少し特殊だが、それ以上に、どう見ても8歳前後にしか見えない、小さく幼い体は、初めて彼女を見た者を概ね驚かせる。王族のドレスに身を包み、金髪ツイストティアラの上に、紅玉をあつらえたティアラを冠するその姿を見ると、だいたいの人は幼いお姫様が女王様ごっこをしているようにしか見えない。
流石に口ぶりだけは女王様風のしっかりした言葉遣いだが、性格面は見た目そのまま、あるいは実年齢未満に幼っぽく、ふとした拍子にちょっとはしたない言動を見せたりすることも多い。美味しいものを食べるのが大好き、疲れたら寝たい、良くも悪くも色事には興味津々ながら深く性的な話には潔癖と、蓋を開ければ外見そのまま、幼い女の子のそれと変わらない面が殆どである。
女王としては案外優秀なようで、仕事もミスなくきっちりとこなし、人民の前に顔を出す際にも堂々とした佇まいで、見た目とは裏腹国民にはそれなり以上の信頼を獲得済のようだ。あまり表面化しないが、執政者としての頭脳も、外見はおろか実年齢以上のそれであるらしく、若くしながら一国の主君としての責任感も重く擁しているため、女王としては優秀な人物である。
<ニトロ=エルジニス>
セプトリア王国女王衛兵。セプトリア王国出身。
かなりボリュームのある茶髪を額のバンダナで止め、軽鎧と草摺を常に装備するという、見た目には女王を守る衛兵と言うよりは、大事な妹のすぐそばに常にいる傭兵辺りに見えそうな風体である。一応王族に仕える身なので、鎧の下には小奇麗な服を着ているが、ちょっと目がきついこともあって、衣服に沿うほどの高貴さらしきものは感じ取りにくい。
若くして女王の衛兵という彼の立場が、彼の日頃の振る舞いの殆どの根拠である。ナナリー女王の安全を第一に考えるがゆえ、多くの言動が神経質になりがちで、その責任感からユース達との接し方が尖り気味になった期間もある。ただ、その生真面目さゆえに少々融通の利かない部分もあるが、自分の行いが間違いであったと気付けば、不器用ながらもゆっくりそれを改めようとしていく素直さもあるので、話の通じないタイプではないようだ。
プライベートでは、家族や身内を強く愛する普通の青年である。昔から王城育ちで教養にも富み、礼儀正しいが、職務から離れた口調は非常に砕けたもので、先輩や後輩、同僚からもよく親しまれている。戦士としての実力も、普通の水準で語れば大人顔負けの実力者には違いなく、女王を守る衛兵としての名に恥じぬ剣士である。
【魔物図鑑】
【狼属】スノーウルフ
雪山に生息する、白い体毛を持つ狼と形容しやすい魔物。一般に生息する野生動物の狼と、能力面ではさして変わらない。異なるのは、野生の狼は同属で群れを成して獲物を狩るものである一方、魔物であるスノーウルフは、他種族の魔物と結託して狩りを行なうことも、稀ながらもあるという点か。
脅威度は普通の狼と変わらず、抗戦能力を持たない商人や旅人などにとっては、それなりに恐ろしいものである。ユース達のような、戦い慣れた戦人にとってはたいした脅威ではないが、それでも油断してどこかに噛み付かれでもすれば痛手を負うので、甘く見ていい魔物とも言い切れない。群れを成しやすいので、負傷時にその集団と遭遇するのは避けたいところである。
【コウモリ属】ウェアバット
人の子ほどの体躯を持つ大きなコウモリの魔物。肉食なのはいいとして、どうも人間の肉を最も好んで食べたがるようで、それが動物ではなく魔物に分類される一番の根拠である。
噛み付く以外に攻撃手段を持たないが、人の肉を食い千切っていくほどの牙と顎の力はあるし、空から素早く迫るこれに対処するのは存外難しく、上記のスノーウルフとは違う意味での脅威度を持つ。群れを成しやすいのは上記のスノーウルフと同じ、加えて並べるなら、攻撃力ではそれに劣る一方で、機動性と小回りの利きようではこちらの方が上とでも言い表せそうだ。他のもっと恐ろしい魔物と比べれば小粒には違いないが、やはりあまり遭遇したくはない魔物であるのも確かである。
【鹿属】グランベナード
大型馬よりも巨大な体躯、そして凶悪な形状の大きな角を持つ大型鹿の魔物。ただし肉食であり、ゆえに揺るぎなく魔物に分類される。口の大きくないこいつが、仮に人間を仕留めてもどうやって食うのかとよく疑問視されるが、知らない方がいいこともある。具体的に書くととてもグロいのである。
非常に獰猛、凶暴で、獲物と見做したものに凄まじい勢いで突進し、その頑丈な角で殴り飛ばすか、あるいは両足で踏みつけるかして命を奪いにかかってくる。大きな割には素早く、一度目をつけられると逃亡することも難しく、木に登ってやり過ごそうとした者すら、数度の突進により木をへし折って地面に落としてしまう破壊者である。その攻撃力は、まさしく人間に対してはほぼ一撃必殺であり、遭遇すればまず死を覚悟すべき魔物と言えるだろう。
【猿属】エビルアープ
大型の猿の様相を見せる魔物。四肢もかなり太く、筋肉のつき方も野生動物のそれとはかけ離れており、その乱暴な振る舞いからも魔物として分類されている。
かなり粗暴な魔物であり、身軽かつ素早い身体能力に任せて獲物に接近すれば、握り締めた石で筋力任せに殴ったり、膝で何度も蹴ったりと、攻撃手段がかなり乱暴。言うなればその行動は、乱暴者の人間によく似たものであり、なおかつ人類よりも体格に優れ、容赦を知らないぶん余計にタチが悪いと言える。
基本的には総じて欲深く、獲物を独り占めしたがるのか狩りを単体で行なうことが多い。そのくせ、自分よりも強い獲物を狩る際には、賢明にも同種の魔物と手を組んで山分けにすることを選んだりと、その知能の高さも人類にとっては嫌なものである。逃げ足も早く、もはや人外級身体能力を持つ山賊みたいなものである。
【舞台設定】
<セプトリア王国>
このお話の主な舞台。
農業と食文化、国民の福祉面に秀でる国家であり、武力はあまり高くない平穏な国。海を隔てて隣するユース達の祖国、エレム王国との交友関係は極めて良好で、エレム王国騎士団から定期的にこの国へは、無償で人材が派遣されている。国土はあまり大きくなく、小国に分類されるが、当代ナナリー王女を含めて代々の王は政治的な面での名君が続いている傾向も強く、国民には豊かな暮らしと老後を約束してくれる良き国との定評を獲得している。
<シェデムの村>
セプトリア王国やや北部に位置する小さな村。村の大半が農作物を育てる畑で占められる、自給自足性に富んだ村。セプトリア王国の地方村はだいたいそんな感じで、食用、租税用の農作物をきっちり生産し、余ったぶんは輸出用に回せるほど、農業面では一様に万全。生活力を農業に頼ると飢饉に弱いが、セプトリア王国が緊急時の支援に前向きな国家であるため、数年単位で災厄続きにでもならない限りはやっていけるらしい。
北にフーリオ山地と面する。山から降りてくる魔物や動物への対策のため、山への道は大きな関所が作られている。この村に限って言えば、山からの脅威にいざという時に対抗するため、自衛団もそこそこ力強く鍛えられている模様。
<フーリオ山地>
シェデムの村をふもとに持つ形の山の連なり。良くも悪くも普通の山地である。野生動物や魔物が生息し、山地と人里の間には関所が設けられ、人とそうでないものの住み分けがきっちりしているという、どこにでもあるような山地としてさほど特徴はない。しかし近年、冬のある一定期間のみ、氷の粒で虹にも似た神秘的光景を映し出す滝がこの山に発見されたことが、人類から見ての特別な個性を感じさせてもいる。




