爆誕!?半分だけ勇者!
「半分ってなに!!?」
食堂に俺のツッコミが響く。
シャンデリアがちょっと揺れた気がした。
王女は「あっ……」みたいな顔。
ガルドは額の汗が止まってない。
「えっと、その……」
「説明しろォ!!」
するとガルドが観念したように口を開いた。
「本来、勇者召喚には“世界との完全契約”が必要でして……」
「うん」
「ですが召喚が少々強引だったため……」
「少々で済むか?」
「結果、“契約率五〇%”という極めて異例の状態に……」
「ソシャゲのダウンロード失敗みたいに言うな!!」
王女が申し訳なさそうに手を合わせる。
「本当にごめんなさい……」
「いや謝罪が軽い軽い!
“ごめんなさい”で済む規模じゃないからな!? 人生だからな!?」
「ですが安心してください!」
ガルドが急に胸を張った。
「半分だけ勇者でも、通常の人間を遥かに超える力があります!」
「おっ、マジ?」
ちょっとテンション上がった。
来るか?
ついに来るか俺の異世界無双。
炎魔法ドーン。
剣技バシーン。
ステータス9999。
「具体的には?」
「ツッコミに補正がかかります」
「いらねえよ!!!」
バンッ!!
勢いでテーブル叩いたら、皿が跳ねた。
スープが揺れる。
「なんでそこ特化なんだよ!」
「勇者様の魂が最も強く反応した能力が、“鋭い指摘”だったようで……」
「分析結果みたいに言うな!」
ガルドは真顔で続ける。
「実際、勇者様がツッコむたび、周囲の認識補正が正常化しています」
「……はい?」
「例えば本来なら、“突然召喚されても誰も疑問を持たない”のがこの世界の流れでした」
「怖っ」
「ですが勇者様のツッコミによって、皆が“あれ?これ雑では?”と気づけるように――」
「メタ能力だった!?」
王女がこくこく頷く。
「勇者様が来てから、みんな急に冷静になりまして……」
「今までどう生きてたの!?」
そのとき。
ドゴォォォン!!
城全体が揺れた。
「うおっ!?」
窓の外で爆発。
兵士たちの悲鳴。
「ま、魔物です!」
騎士が食堂へ飛び込んできた。
「西門付近にスライムの群れが!」
「スライムで爆発するなよ治安どうなってんだ!!」
「勇者様、お願いします!」
王女がぎゅっと俺の手を掴む。
「いやいやいや!
俺まだ“ツッコミ補正”しか聞いてないんだけど!?」
「大丈夫です!」
ガルドが親指を立てる。
「勇者様のツッコミは、魔物にも有効かと!」
「根拠ふわふわすぎる!!」
数分後。
なぜか俺は城壁の上に立っていた。
「展開早いって!!」
下には、ぷるぷる震える青いスライムの大群。
兵士たちは震えている。
「あれが魔物……!」
「いや弱そう!!」
その瞬間。
スライムが突然合体し始めた。
ぐにゃぐにゃぐにゃ……。
巨大化。
「うわっキモ!?」
兵士が叫ぶ。
「危険です! “キングスライム”です!」
「急にボス化すんな!!」
キングスライムが跳ねる。
城壁へ一直線。
「勇者様ァァァ!!」
「うわあああ来たァァァ!!」
反射的に叫ぶ。
「てかスライムの移動速度じゃないだろそれ!!!」
――その瞬間。
ピタッ。
キングスライムが空中で止まった。
「……え?」
次の瞬間。
ボフンッ。
巨大スライムが、普通サイズに戻った。
兵士たちがざわめく。
「ば、馬鹿な……!」
「勇者様のツッコミで……設定の無理が修正された……!?」
「そんな能力ある!?」
ガルドが感動した顔で震えている。
「素晴らしい……これぞ“正常化の勇者”……!」
「二つ名ダサくない!?」
だがそのとき。
小さくなったスライムが、ぷるぷる震えながら俺を見上げた。
『……ムリ、シナイ』
「喋った!!?」
『ボスクラス、ムリヤリ、ヤラサレタ……』
「魔王軍ブラック企業か!!」
スライム、ぽろっと涙みたいなのを落とす。
兵士たちもしんみりしてる。
いやなんだこの空気。
すると王女が、そっと呟いた。
「もしかすると勇者様は……この世界の“無理”そのものを正すために……」
壮大なBGMでも流れそうな雰囲気。
夕日。
風。
感動っぽい空気。
「いや召喚方法から正せよ!!」
全部ぶち壊しになった。
半分だけ勇者になって、スライム騒動をなんとか(ツッコミで)解決した俺!
だが休む間もなく、王女が次なる問題を持ってくる!
「勇者様、次は“勇者装備”をお選びください!」
通された先にあったのは――
剣!
槍!
鎧!
そして、どう見ても場違いなピンク色のエプロン!!
「なんで混ざってんの!?」
さらに現れる、クセ強すぎる商人ギルドの看板娘。
「こちら呪われた剣でーす♪ 返品不可でーす♪」
「説明軽っっ!!」
果たして俺は、まともな装備を手に入れられるのか!?
そして“半分だけ勇者”の新たな力とは――!?
次回!
危険!? アイテム屋でツッコミ地獄!
「値札の“応相談”が一番怖いんだよ!!」




