祝?おっとり王女現れる!
「――王女殿下のご入室です」
重そうな扉がギィィ……と開く。
いや演出重っっ!!
金髪、ゆるふわ。ドレスひらひら。いかにも“守られる系ヒロイン”って感じの少女だった。
「はじめまして、勇者様」
にこっ。
「この度は、私たちの世界にお越しいただき――」
「いや呼んでないよね!?」
即ツッコミ。
王女、ぴたりと止まる。
後ろのガルドが「またか…」みたいな顔してる。
「えっと……その……」
「“お越しいただき”じゃなくて“勝手に連れてきてしまい”だろ!?言い方ァ!!」
「は、はい……その通りでございます……」
「素直だな!?」
「では改めまして……勝手に連れてきてしまい、誠に申し訳ありません」
ぺこり。
「謝るんかい!!」
いやいいけど!いいけども!!
テンプレ的にはここ、もっと“世界のためにお願いします!”みたいに押してくるとこだろ!?
「ですが……どうか、お力をお貸しいただけませんか?」
うるうるした目で見上げてくる王女。
「うっ……」
来た。これだよこれ。
異世界テンプレ最大の武器、“ヒロインのお願い”。
普通の主人公ならここで「……わかりました」ってなるやつ。
「……いやでも導入が雑なんだよなぁ」
台無し。
「そ、そんな……」
王女、しょんぼり。
周りざわつく。
ガルドが小声で「勇者様、空気を…」って言ってくる。
「空気ってなに!?こっちは人生かかってんの!」
そのときだった。
ぐぅぅぅぅ……
腹が鳴った。
最悪のタイミングで。
「……」
「……」
「……」
「……お腹、空いてらっしゃいます?」
王女がそっと聞いてくる。
「いやまあ普通に朝だったし……」
「ではまず、お食事にいたしましょう」
「話早っ!!」
さっきの“段階踏め”をここで回収するな!!
豪華すぎる食堂。
長テーブルにずらっと並ぶ料理。
肉。パン。スープ。なんかよくわからんキラキラしたやつ。
「いやもう絶対これフラグだろ」
「フラグ、とは?」
王女が首をかしげる。
「このあと“実は毒が…”とか“食べたら契約成立”とかそういうやつ」
「そんなこといたしませんよ?」
「ほんとか?」
「はい。安心してお召し上がりください」
……。
……まあ、いいか。
腹減ってるし。
ぱくっ。
「うまっ!?」
なにこれ。めっちゃうまい。
現実の飯よりうまいんじゃないか?
「お気に召していただけたようで、よかったです」
王女がほっとしたように笑う。
「……」
ちょっとだけ、思う。
この世界、雑だけど――
悪くないかもしれない。
「で、食ったら契約成立とかじゃないよな?」
「え?」
「え?」
一瞬、空気が止まる。
「……え?」
「え?」
ガルドが青ざめる。
王女が固まる。
「いや待て待て待て待て」
「ご安心ください勇者様!契約は“半分だけ”です!」
「半分ってなに!!?」
こうして俺は――
知らないうちに“半分だけ勇者”になっていたらしい。
いやだから説明雑なんだよこの世界!!!!




