初!異世界でのツッコミ!
朝、目が覚めたら知らない天井――ってやつ、人生で一回は言ってみたかったけど。
「いや、マジで知らない天井なんだけど!?」
反射的に出たツッコミが、やけに部屋に響いた。
畳でもフローリングでもない、なんか無駄に豪華な石造りの床。シャンデリア。中世ヨーロッパみたいな内装。で、周りを囲むローブ姿の連中。
「勇者様、ようこそおいでくださいました!」
「テンプレか!!」
思わず叫んだ俺に、ローブ集団がビクッとする。
いやいやいや、ちょっと待て。落ち着け俺。こういうのはまず状況整理だ。
トラックには轢かれてない。神様にも会ってない。ガチャも引いてない。
「つまり導入雑じゃない!?」
誰に言ってんだ俺は。
「えっと……勇者様?」
「誰が勇者だ!ただの一般ツッコミ高校生だわ!」
リーダーっぽいジジイが困惑してる。そりゃそうだ。俺だって困ってる。
「この世界は今、魔王の脅威に晒されておりまして……」
「説明早い早い!もうちょい段階踏め!」
「段階?」
「せめて自己紹介とかあるだろ!?あとこっちの同意は!?」
ジジイ、完全にフリーズ。
周りのローブたちもざわざわしてる。なんだこの空気。俺が悪いのか?いやでもツッコまざるを得ないだろこれは。
「えーと……では、改めて。私は王宮魔導師長のガルドと申します」
「やればできるじゃん」
「ありがとうございます?」
なんで褒められたみたいな空気になってんだ。
「して、勇者様のお名前は?」
「そこ聞く!?今!?」
「重要かと……」
「まあそうだけど!流れってもんがあるだろ!」
はあ……ダメだ、この世界。全部ツッコミ待ちで進行してる。
俺がいないと成立しないタイプの異世界だこれ。
「……で、魔王がどうしたって?」
観念して話を促すと、ガルドがほっとした顔をした。
「はい。魔王が復活し、世界は危機に――」
「復活ペース早くない?」
「そこ気にします!?」
「するわ!」
――こうして俺は、剣も魔法もない代わりに、無限のツッコミだけを武器に戦うことになった。
いや戦えるのかこれ?
次回!ある意味ラスボス現れる!




