ep.53
今回は三人称視点になります。
ご注意ください。
リベットとリンと呼ばれた女の子が対峙する。
彼らのパーティーメンバー以外に人はおらず、彼らだけが馬車の近くで待機していた。
3人は心配そうな顔を、1人は心底どうでもいい顔を、1人は真剣な眼差しを、彼らに向けていた。
「あたしはリンナ! 新米冒険者で傭兵を目指しているわ!」
「俺はリベット。このフリヘイトの世界を自由に旅する旅人だ」
リンナは背負っていたハンマーを掴むとクルクルと両手で振り回すと、柄の部分をドンッと地面に置いた。
「あたしはこのハンマーで色んなものを叩き壊してきた。これまでも、そしてこれからも! リベット、アンタみたいな強そうな奴もよ!」
「だから俺は弱いと言っているだろう……」
リベットがそう言うも、
「問答無用! ぶっ潰れなさい!!」
リンナは斜めに飛び上がり、リベットの真上からハンマーを振り下ろす。
潰れる未来を想像したのか、観客のうち2人は目を手で覆ってしまった。
『よーくみなさい。アレがリベットの力だよ』
だが、ミウロゥがそう言うと、恐る恐る手を下ろす2人。
彼女達の視界に入ってきたのは、
「いっっっっ!?」
「助かったよ、クローバー」
ハンマーは巨大な岩に当たったようだが、ヒビすら入っていなかった。
その大岩に隠れるようにして、リベットとクワを持った農兵が立っていた。
「こ、こんのっ! 騙したわね!」
「パートナーが誰かなんて一言も言っていなかったが?」
「それはそれ、これはこれよ! なんなのよ、この大岩は!」
大岩の上で地団駄を踏むリンナに対して、リベットは懐からノートを取り出し、大岩から離れていった。
「ちょっ、どこに行くのよ! まだ勝負は終わってないわ!」
「……そうだな。確かに終わっていない」
リベットの言葉が言い終わるちょうどその時大岩はスーッと消えていった。
上で地団駄を踏んでいたリンナは当然尻もちを着く羽目に。
「あいたっ! ちょっと! 消えるなら消えるって言いなさいよ!」
「悪いな。俺も知らなかったんだ」
尻もちを着いているリンナの前には2輪の花を手にしているリベットが立っていた。
「花? 今更あたしにプレゼント?」
「違うさ。これはこう使うんだよ」
それぞれの手に光る花と真っ黒の花を持ち、
「『華麗に咲け、満月と新月の花よ』その力、少しの間俺に貸してくれ!」
そう叫ぶ。
手に持った花が、黄色に、黒色に、それぞれ光り出す。
光が収まり、花の代わりにそこにいたのは小さな女の子達。
彼女たちはふわりと浮かび上がると、互いに手を取り合い、手を握りしめ、互いの額を軽く当て、目を閉じる。
リベットには薄い黄色のオーラが、リンナには黒色のオーラが、それぞれ現れる。
「な、なによこれ……から、だが……おも、い?」
「凄いな。身体が随分と軽い」
リベットがその場で軽くジャンプすると、数メートルほど飛び上がる。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
満月花と新月花、2つを合わせるとこうなるんですね。
ちなみに裏話になりますが、この後彼女達は2人手を繋いでどこかへと消えてしまいます。
ナニしてるんですかね……?




