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仮想現実の世界で自由な旅を 【完結】  作者: からくり
chapter1

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55/353

ep.53

今回は三人称視点になります。

ご注意ください。

リベットとリンと呼ばれた女の子が対峙する。

彼らのパーティーメンバー以外に人はおらず、彼らだけが馬車の近くで待機していた。


3人は心配そうな顔を、1人は心底どうでもいい顔を、1人は真剣な眼差しを、彼らに向けていた。


「あたしはリンナ! 新米冒険者で傭兵を目指しているわ!」

「俺はリベット。このフリヘイトの世界を自由に旅する旅人だ」


リンナは背負っていたハンマーを掴むとクルクルと両手で振り回すと、柄の部分をドンッと地面に置いた。


「あたしはこのハンマーで色んなものを叩き壊してきた。これまでも、そしてこれからも! リベット、アンタみたいな強そうな奴もよ!」

「だから俺は弱いと言っているだろう……」


リベットがそう言うも、


「問答無用! ぶっ潰れなさい!!」


リンナは斜めに飛び上がり、リベットの真上からハンマーを振り下ろす。

潰れる未来を想像したのか、観客のうち2人は目を手で覆ってしまった。


『よーくみなさい。アレがリベットの力だよ』


だが、ミウロゥがそう言うと、恐る恐る手を下ろす2人。

彼女達の視界に入ってきたのは、


「いっっっっ!?」

「助かったよ、クローバー」


ハンマーは巨大な岩に当たったようだが、ヒビすら入っていなかった。

その大岩に隠れるようにして、リベットとクワを持った農兵が立っていた。


「こ、こんのっ! 騙したわね!」

「パートナーが誰かなんて一言も言っていなかったが?」

「それはそれ、これはこれよ! なんなのよ、この大岩は!」


大岩の上で地団駄を踏むリンナに対して、リベットは懐からノートを取り出し、大岩から離れていった。


「ちょっ、どこに行くのよ! まだ勝負は終わってないわ!」

「……そうだな。確かに終わっていない」


リベットの言葉が言い終わるちょうどその時大岩はスーッと消えていった。

上で地団駄を踏んでいたリンナは当然尻もちを着く羽目に。

「あいたっ! ちょっと! 消えるなら消えるって言いなさいよ!」

「悪いな。俺も知らなかったんだ」


尻もちを着いているリンナの前には2輪の花を手にしているリベットが立っていた。


「花? 今更あたしにプレゼント?」

「違うさ。これはこう使うんだよ」


それぞれの手に光る花と真っ黒の花を持ち、


「『華麗に咲け、満月と新月の花よ』その力、少しの間俺に貸してくれ!」


そう叫ぶ。

手に持った花が、黄色に、黒色に、それぞれ光り出す。

光が収まり、花の代わりにそこにいたのは小さな女の子達。

彼女たちはふわりと浮かび上がると、互いに手を取り合い、手を握りしめ、互いの額を軽く当て、目を閉じる。


リベットには薄い黄色のオーラが、リンナには黒色のオーラが、それぞれ現れる。


「な、なによこれ……から、だが……おも、い?」

「凄いな。身体が随分と軽い」


リベットがその場で軽くジャンプすると、数メートルほど飛び上がる。

今回もお読みいただきましてありがとうございます。

満月花と新月花、2つを合わせるとこうなるんですね。

ちなみに裏話になりますが、この後彼女達は2人手を繋いでどこかへと消えてしまいます。

ナニしてるんですかね……?

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