ep.48
「正直に言うと、今の話を聞いてても大変だったんだなとしか思わねぇ。世界を救うだのなんだのってスケールがデカすぎるんだよ」
『リベット……』
「それよりもさ、世界中旅したんだろ? そっちの話を聞かせてくれよ。東の果てとかさ、あとは……竜の背中? にも乗ったんだろ? どうだったんだよ」
『……東は、大変だったよ。国全体を巻き込んだ大騒動にしれっと巻き込まれたからさ。でもその時に知り合った子がいてね、その子が頑張るから、なら私も頑張るかって……』
「おう」
『竜の背中はゴツゴツしててね、でも乗り心地がいいんだ、不思議だよね。しかも馬車よりずっと速いからあっという間に目的地に着くんだよ? 船で移動する時もあったけど、船なんかより竜の背中の方がよっぽど良かったくらいに!』
「うん」
『妖精の森なんてさ! 酷いんだよ!? みーんなして悪戯ばっかりするから、ついついヘクサが燃やしそうになるし、ソレーはブチ切れるし、男2人は役に立たないし!』
あのソレーがブチ切れているところを想像しにくいが……男2人は何してんだ。
『でもさ、その奥で一人ぼっちで閉じ籠ってる子がいたらさ、助けたくなっちゃうんだよ。それはそれで大変だったんだけど』
「そうか」
『北にも行ったなぁ……めちゃくちゃ寒かったけど。あそこの料理めちゃくちゃ美味しいんだよ? ちょっと辛いんだけど、それがまた冷えた身体にいいんだ。ソレーは物足りないとか言ってたけど』
「どれだけ辛くしたいんだよ、アイツは……」
『地底世界はね、とにかく暗いの。明るくしても暗いし、魔物は襲ってくるしで……ミルリだけは喜んでたかな? あ、でも食べ物もあんまりかも。美味しい美味しくないとかじゃなくて、食べ物かどうか怪しいんだもの』
どんなのだよ……
『賢者の塔はね、セトルのお師匠様がいるんだ。旅の途中で別れてその時色々教えて貰ってたんだって。お爺さんなんだけど、何千年も生きている賢者なんだって。今はセトルがその地位に就いてるけど、まだまだ現役っぽいんだよね』
「苦労してそうだな」
2人で顔を見合せて笑う。
「それでいいじゃねぇか。勇者だのなんだのは忘れてさ、もう一度あっちこっち旅しようぜ」
『フフフ、そうだね。そのためにリベットと一緒に旅をすることにしたんだから』
「随分と仲が良くなったようですね、お父様」
「私たちがいるのに浮気ですか、お父様」
「「勇者様と随分楽しそうにお話していましたね、お父様?」」
バッと振り向くとレルナとリルナがこっちを見ていた。
ジトっとした目でこっちを。
というかいつの間に2人とも目ができたんだ?
と言っても目と口しか分からないが……
レルナが赤い目でリルナが青い目をしていて
「2人とも、随分と綺麗な目をしているじゃないか」
「綺麗な目? それでは私たちは騙されませんよ、お父様」
「綺麗な目……ハッ! リルナ、私たちの魔法が解けていますよ!」
レルナがリルナの肩を揺さぶりながらそう言うとリルナもレルナの目を見たのか、アタフタし始めた。
「プププ、いつになったら気づかれるかと思ってたけど、まさか自分たちからバラすなんて……プププ!」
「クラン、もういいのか?」
「もういいのか、じゃないよ! こっちは迷路に置き去りにされて辛かったんだからね! 慰めてよ〜リベット〜!」
「え、やだ」
お前なら1人で何とかできそうだし。
「や、やだ……ねぇ、聞いた、勇者様? やだって、リベットがやだって……」
『うーん……自分がやってきたことを振り返ってみれば?』
そう言われてうーんうーん唸り出すクラン。
見ている分には面白いが、そろそろ行かないと時間が無い。
「移動するぞ。馬に引かせるための荷馬車もみないといけないんだからな」
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
う、浮気なんかじゃないし……




