ep.43
「いやぁ……酷い目にあったよ……」
「ピンピンしてる奴が言うセリフじゃないと思うんだが……」
しばらく遊ばせた後にようやく席に着いた俺たち。
ジャックはついさっきカードに戻ったが……レルナやリルナとの違いってなんだろうな。
名前か……?
「ククク……いやはや随分と面白いものを見せてもらった。どうだ? これから定期的に冒険者ギルド・リニダー支部に公演に来てはどうだ?」
「ボクの身体が持たないからお断りでーす!」
両腕をクロスさせてバツをつくるクラン。
「だろうな。まぁそれはいいとして、報酬の件だ」
『たっぷり支払ってもらえるんだろうね?』
「そう焦るな。まずはこれだ」
机の上にドンと袋が置かれた。
音の重さからそれなりに入ってそうだな。
「満月花の採取、依頼人への受け渡し、この2点に加えて、護りの獣・プロテージャーの撃破、初心者でまともに戦闘訓練を受けたことの無いリベットを巻き込んだことへの詫びも含めて、計5000セーリだ」
「随分と……貰えるんだな……」
「言ったろう、詫びだと。そもそもあの森に初心者が入ること自体危険なんだ。巻き込んでしまって悪かった」
「そうだそうだ。なんならもっと巻き上げてもいいんだぐぅ」
『黙ってて、道化師』
茶化しに入ったクランの顎にミウロゥが剣の柄の先を思いっきり当てて止めたが……
まぁ、クランだしいいか。
「なら有難くいただくか」
「そしてこれは私からの個人的な物だが……」
そう言って追加で出てきたのはカード?
「王都限定ではあるが、どの店でそのカードを使っても支払いが私に来るようになっている。1度限りだがな」
「……いいのか? これだけで十分満足なんだが」
袋を少し持ち上げるが、マエロは首を横に振る。
「そこの情報屋から話は聞いている。危うく死にかけたそうじゃないか。プロテージャー自体はミウロゥが何とかしてくれる自信があった。だからこそ安心しきっていた。が、戦闘訓練を受けてもいないお前を送り出すべきではなかった。お前たち異界人は死んでも再び戻ってくるのは理解している。理解していてもな……」
「……そういう、ことか」
カードを手に取る。
【支払いカード】
〖黒く特に何も書かれていないカード。王都限定で店での支払いを1度だけマエロが肩代わりする〗
「どんなものでもいいのか?」
「もちろんだ、と言いたいところだが、土地とかはやめてくれると助かる」
「えっ! ボクとリベットの愛の巣計かがぁ」
『その顎、砕かれたいの?』
そっちは任せたぞ、ミウロゥ。
「いやそんな高価なものを買うつもりは無いが……馬車が気になってな」
「馬車か……確かに人数も増えたことだ。そういうことなら私にツテがある」
「馬か?」
「ギルドで販売しているんだ。本来は銀クラス以上の冒険者にしか販売しないんだが、ミウロゥがいるからな。上層部も喜んで差し出すだろう。荷台の方はそのカードで仕立てるといい」
これで旅の足はGETしたな。
『馬より竜の方が速いのに……』
「勇者様さぁ、馬は荷と人を運べるけど、竜は人しか運べないじゃん。そんな違いも分からないでボクのリベットといっじょぉ」
『次に余計なことを口走ったらその口、斬るよ』
そろそろ学習したらどうなんだ……
「さて、では私は馬の用意をしておこう。お前たちはどうする?」
「とりあえず荷台の方を見に行こうかと。ついでに王城もちょっとな」
「あそこは庭までなら一般開放している。綺麗に咲いているから見応えがあるだろう」
そう言って立ち上がるマエロ。
「私はリニダーに戻らないといけない。用事が一通り済んだらここに戻ってくるといい。受付には伝えておく」
「そりゃ助かるよ」
マエロが退出して部屋はしばらく静かだった。
はてさて一体何から聞くべきか。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
大袈裟に伝えた情報屋がいるらしいんですよ。
8割ホント2割大嘘で。




