ep.14
「オススメはこのナイフだぜ! 猟師ギルドに持ち込んでもいいんだが、あそこは金をとるからな。自分で解体して冒険者ギルドに持ち込めばたんまりってわけよ!」
「慣れるまでは大変そうだな」
「まぁな。だがそこは慣れと場数よ! 冒険者ならなんでもやってみねぇとなぁ!」
まだ冒険者ではないが……所持金的にも買えるが……うーん……
『リベット、ナイフはあった方がいいよ』
「その理由は?」
『旅の途中で食べ物が無くなるなんてしょっちゅうあった。でも目の前でお肉が地面と同化したり、燃え尽きて灰になったりする前にナイフがあればなんとかなるから』
「……大変、だったんだな」
筋肉バカとチミっ子は次会ったら一言言ってやろう。
「この解体ナイフ、研ぐにはどうすればいい?」
「お、そこに気づくとはさすがだねぇ。この研磨剤を使うといい」
【研磨剤】
〘刃を研ぐために使われる〙
[残り回数:20]
「ならこのナイフと研磨剤を貰おう」
「まいど! 研磨剤はプレゼントだ。最初にナイフを研ぐことに気づいたやつにはあげてるんだ。まぁ、大体のやつは気づかないから後で文句言いに来るんだがな! ガッハッハッ!」
それでいいのか、道具屋……
とりあえず10セーリを渡して、ナイフと研磨剤をゲット。
所持金にはまだ余裕はあるが……王都まで目指すとなると心もとないか。
『そういえば、リベット。リニダーをでたら次はどこに行くの?』
「とりあえずは王都にでも行こうかなと。待ち合わせもあるしな」
『待ち合わせ……リベットの友達?』
「友達……と言うよりは家族だな。俺より先にフリヘイトの世界で傭兵をしているんだ」
『ふーん……それで王都……なら冒険者ギルドに行こう』
そう言って俺の右手を掴んで引っ張って行くミウロゥ。
『王都に入るには冒険者の証が必要なんだ。他の種族は分からないけど、ヒト族がまず最初にこの街を目指すのは唯一ここの冒険者ギルドだけが冒険者の証を発行しているから』
「それでか」
ゲームのストーリー的な都合かと思ったらそういうことか。
『着いた。早速入ろう』
扉を開けて中へ入ると賑わっているのかザワザワしていた。
その中を迷うことなくカウンターまで向かうミウロゥ。
と、その後を追う俺。
一瞬ざわめきが止んだように思ったが、今度は違う内容でざわつき始めたな?
『冒険者の証を発行して欲しい』
「分かりました。でしたらまずはこの石版に手を乗せてください」
『だってさ、リベット』
少し横にズレて俺に道を譲るミウロゥ。
「そ、そちらの方が……ですか?」
『そう。私のは既に持ってるし』
そう言って腰に付けてあるポーチから黒いカードを取り出すミウロゥ。
黒?
「黒いカード……右腕と右目がない……ま、まさか貴女様は!」
『リベット』
俺が手を乗せないからカードをカウンターにおいて手を引っ張ってくる。
分かった、わかったから。
「これでいいのか?」
『それでいいと思う。いいよね?』
「は、はい! しょ、しょしょしょしょ、少々おおおおお待ちを!」
なんか可哀想に思えてきたな……
「と、ととと登録完了し、しました! こ、こここち、ちちちら冒険者のあ、証に、ななななります!」
「あー、ありがとう」
『依頼も受ける? 近くの平原で戦う内容くらいならあると思うよ』
「お前この状況でよく平然と居られるな……」
当事者だろうに……
『私には関係の無い話だし』
「ところがどっこいそうはいかないな、ミウロゥ」
カウンターの向こう側にある扉が開き、そんな声が聞こえてきた。
なーんか大変そうな予感がするぞ……
ここまでお読みいただきましてありがとうございます。
筋肉バカは拳じゃなくて棍棒などで粉砕するので欠片も残りませんし、魔法少女は主に炎の魔法を使うので焦げしか残らなかったりします。
そして実はすごい人だったミウロゥ。




