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転生悪役令嬢、物語の動きに逆らっていたら運命の番発見!?  作者: 下菊みこと


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10/50

攻略対象その三を懐柔

「ねえ、エリアーヌ。新しいお友達が欲しくない?」


急にお母様からそんな話を振られた。どういうことだろうか?


「えっと…新しいお友達とは?」


「随分前に、ドナシアン家の奥様がお亡くなりになったでしょう?そのことで、息子さんがまだ塞ぎ込んでいるそうなの。よかったら、会って友達になってあげて欲しいの」


「シャルル・コロンブ・ドナシアン様ですか?」


「あら、知っていたのね。そう、魔法師団長の息子さんよ」


「よろしければ、是非お友達になりたいです」


いつどうやって接触しようかと迷っていたからちょうどいい。攻略対象その三、懐柔しに行ってみよう!
























ということでトントン拍子に会う予定が決まり、今私はシャルルの部屋の前にいる。


ドアをノックしても返事がない。


悪いが勝手に入る。


そこには、ベッドの上で毛布をかぶって三角座りしているシャルルがいた。


「失礼致します」


「…誰?」


「お初にお目にかかります。エリアーヌ・ビジュー・デルフィーヌですわ」


彼はちらりと私を見たが、目をそらした。


「わがまま令嬢って本当なんだね。そっとしておいてよ」


「そうはおっしゃいましても、私はわがまま令嬢ですから」


勝手にベッドに近づいて、彼の隣に座って三角座りする。


「…なんだよ」


「いえ、誰かさんが相手をしてくれなくて暇なので…いっそ真似してみようかと」


「なにそれ…」


彼は不貞腐れる。


「ねえ、貴方のお母様ってどんな方だったんですの?」


「今それ聞く!?」


「だって、失ってそこまで落ち込むくらい素敵なお母様だったのでしょう?」


「…うん」


「思い出話、聞かせてくださいな」


そんな私の言葉に、シャルルはポツリポツリと話し始めた。


「お菓子を作るのが得意だったんだ。よくクッキーを焼いてくれた」


「あら、美味しそう」


「すごく美味しかったよ。あと、裁縫が得意でさ、よくぬいぐるみを作ってくれたんだ」


「それはとっても素敵ですわね!羨ましいですわ。私裁縫は苦手ですのよ」


「へぇ。でも、母上も最初から得意だったわけではないらしいよ。いっぱい練習したんだって」


シャルルの表情は少しずつ明るくなる。


「あと、花が好きでさ。よく庭の花を眺めながら一緒に散歩したよ」


「意外といい運動になりますわよね」


「そうなんだよ。庭中歩き回るとなんだかんだでヘトヘトでさ。で、東屋で休憩してお茶とお菓子を楽しむんだ」


「最高ですわね!」


「最高だよね」


すごく楽しそうに思い出を語るシャルルだが、その目に涙がたまってきた。


「…もうちょっと、一緒に居たかったなぁ」


涙はやがて頬を伝う。私は、そんなシャルルを抱きしめた。


「…思いっきり泣いていいんですのよ。いつまでも未練を引きずっていては、お母様は心配で天国にいけませんわ。だから今、思いっきり泣いてすっきりしてしまいましょう?きっと、その方がお母様のためですわ」


「…うっ…ぅぅ…うわぁあああああ!」


私はシャルルをぎゅうぎゅうと抱きしめる。涙が止まるまで、ずっと付き合った。

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