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刹那  作者: 七月梅
13/13

13 エピローグ

「待ってよレティ!」

「早く~!おいていくよジル!」



 春の陽気が漂うオーレスの街の大通りを二人の子供が走り抜ける。街の人々は微笑ましそうに二人を見守っている。


 仲良く遊ぶ二人の子供は転換後に生まれた。

 数十年前、森の主を殺したことで神の怒りに触れ、大災害が起こり、多くの人が命を落とした。

 ほとんどの街は崩壊し、運良く被害を免れた四つの街を中心に徐々に復興が進んでいる。


 公務として北の街を訪れ難を逃れた王や正妃と、お忍びでオーレスの街に訪れていた第一王子と共に国民総出で支え合い、驚く早さで復興していった。


 王位を継いだ第一王子は賢く愛情深い正妃を娶り、二人の間には正妃によく似た紅い髪の王女と、第一王子によく似た王子を二人授かった。

 月日は流れ、紅い髪の王女は幼馴染みの男と結婚し、二人の王子もそれぞれ愛しい相手と結婚した。


 年老いて退位した後も第一王子──国王は善政を説き、民を慈しみ、国を愛し、家族を支えた。

 賞賛を浴びるたび国王は「弟の代わりにしているだけさ」と穏やかに笑っていた。


 国王の私室の机には月日を経て黄ばんでしまった盛大に破けた手紙が常に入っており、何かがある度にそれを大事そうに読み返す国王の姿があったと伝えられている。



 *


 オーレスの街ではレティとジルが楽しそうに話している。



「今度はどこに行く?ジルはどこに行きたい?」



 黒に近い藍色の髪をなびかせ、好奇心旺盛な瞳でレティという少女は目の前にいる青い髪と瞳のジルという少年に問いかける。



「うーん…僕はレティと一緒ならどこでもいいよ」

「ええ~どこでもいいはダメ~!」



 ジルはいっつもそう!とレティは頬を膨らませ憤慨する。そんなレティをジルは鈴を転がすようにクスクスと笑う。



「じゃあ南の森へ行こうか?」

「!うん!私森で遊ぶの大好き!」



 ジルがいれば迷わずに帰って来られるし!とレティは興奮しジルの手を取り楽しそうに踊る。



「レティ」

「なぁに?ジル」



 レティは踊るのを止め右に首を傾げ、ジルを見る。ジルは愛おしそうにレティを見つめる。



「僕、レティと一緒にいられて幸せだ」



 青い瞳を細めて笑うジルに、レティも満面の笑みで答える。



「私も、ジルと一緒にいられて幸せよ」



 だから、



「「ずっと一緒にいようね」」



 *

完結です。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

小話を入れようかと迷いましたが完結を第一としました。

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