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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話だったハズなのに!?  作者: VANRI


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アストラとの日々

「つまらーーーん!!」


 朝からアーシュが私の座っている横に荒々しく座ってきた。

 トニーや御者は早くに出掛けており、私はミアに髪を梳かしてもらっていた。


「え? 何? 昨日兄さんと夜の街を楽しんできたんじゃないの?

うきうきしながら一緒に出て行ったじゃない」


「それがさぁ〜……聞いてよメアリ〜!

女の子たちがみんな兄さんの方に行くんだよー!

俺の所なんてガラガラでさ〜。

同じような顔なら背丈が高くてガタイがいい兄さんにみんないっちゃうんだよ〜!!」

「それは……まあ……」


「今までこんなことなかったのに!!

いつも俺が一番モテてたのに!!」

アーシュは興奮気味に続ける。


「しかも! 女の子に好きなタイプ聞かれて、

『女はメアリー、男はアーシュ』とか言ってて〜!」

「さすがにそれは引かれたんじゃ……」


「いやぜんっぜん!!

『アストラさん、きょうだい仲が良いのね〜』とか

『妹さんや弟さんのこと大切に想って素敵〜』とか!

もうあれだよ! あれの原理だよ!

自分のタイプじゃない男から抱きつかれたら、

『変態!』って殴るのに、

好みの男から抱きつかれたら、

『まあ! なんて大胆!』

ってなるやつ……」


 その時、部屋の戸が開き輝く笑顔でアストラが入って来た。

「おはよう! 

いつも姉弟仲が良くていいな、君たちは」


「もう兄さん〜! あんなモテるんなら最初から言ってよ〜! 

 知ってたら女の子の店なんて連れて行かなかったのに〜!」

「なんだヤキモチか? 可愛いなあ。

普段あんな店に行かないから面白かったよ。

 でもあの女の子たちよりアーシュが一番可愛かったけどな」

表情を変えずアストラに返されている。


 アーシュが私の肩を掴みグラグラ揺らす。

「こうなんだよ! どこに行っても愛情表現がストレートに飛んでくるんだよ!

俺と女の子が話そうとすると割り込んで来るし、独占欲がすごいんだよ!」



 アストラが口を開く。

「そっか……嫌だったのか……

今まで一人だったから弟や妹に会えて嬉しくて、

どんな風に接していいかわからなかったから……」

と、怒られた子供のようにしょんぼりしている。


「い、いやじゃないけどっ……!」

慌ててアーシュが声を発した。


「本当か!? 良かった!!」

ぱあっと明るい表情になって喜びを全面に出している。


 アーシュは私の肩を軽く数回叩き、

耳元で「お前も覚悟しとけよ」

と、ほくそ笑む。


「じゃ、俺はちょっと出てくるから〜。

兄さんは昨日だいぶ飲んでたからメアリーとゆっくりしてて〜」

と笑いながら部屋を出て行った。


 まあ、私は数日一緒に過ごしてたから兄さんの愛の重さには気付いてたけど……




「メアリー、今日はたくさん話をしよう」

そう言いながらアストラが近づいてきた。


「え? アーシュはいいの?」

「メアリーが俺の話を聞いて、必要と思ったらアーシュに話せばいい。

 それにあいつは黙って話を聞くタイプでもないだろう」

「まあ、確かに……」



 椅子に腰掛けると、ミアが紅茶を入れてくれた。

私たちが落ち着いてるのを確認すると、気を遣って部屋を出て行った。




 アストラが静かに話し出す。

遠くを見ながらゆっくり思い出しているようだった。

「君たちが産まれてすぐ後に、顔を隠してバレないようにしてこっそり見に行ったことがあったんだ。

二人並べて寝かせてあってそっくりだったよ。

とても可愛くてフワフワですぐに壊れてしまいそうだった。


 それから1年後にも会いに行った。

二人がよちよち歩きをしていて、同じ服装だったからどっちがどっちかわからなかった」


 アストラから笑顔がふっと消える。

「それから数年経って気付いたんだ。

アーシュの存在が国民に知らされてないことに。

可哀想だと思った。自分の存在が無いものとされているなんて。

 最初はメアリーが表舞台に出ていると思ったけど、アーシュが代わりに出ていると気付いた。

そして、メアリーの身代わりにされているんだとわかった。


 だから、騎士になりすましてアーシュに近付いた。

辛い思いをしているならこっちに連れて帰ろうと思ったんだ」


「そんなことが……」


 アストラは力なく笑った。

「実際に見てわかった。 

 あいつは、毎日楽しそうに過ごしていた。友達も多く、皆に好かれていた。嫌う人間がいなかったんじゃないか。

 俺には眩しすぎた。

 王子という立場なんてあいつには必要なかったのかもしれない。身代わりという立場でも卑下することなく生きていた。

 心底強いと思った。


 そして羨ましくなった。

母上の愛情も沢山与えられ、双子の姉とも仲良く楽しく暮らしていて羨ましかった。

 俺にはそのどれもがなかったから。


 本当は同じ王子という立場なのにこんなにも違うんだって思い知らされた」




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