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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話だったハズなのに!?  作者: VANRI


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運命の出逢い

 私とミアはこの街の人に話を聞き、この辺で一番見晴らしのいい場所に行くことにした。

 そうすれば目的地である隣の国も見れるかもしれないし、見ることが出来ればどんな国なのか入る前にわかるかもしれない。


 馬車を走らせてもらい近くまで行くことが出来たが、山道は自力で歩かなければならない。


 御者は馬車に残ってもらい、私とミアで山道を歩く。昼間なのに木が覆い茂っていて薄暗い。

やはり陽の光がないと肌寒く感じる。

 人が通るため、草が踏み潰され道がここに出来たのだろう。

 坂になっているため、次第に私もミアも息が上がってくる。


 休み休み上って行くと、パッと木々がなくなり広い高台へ辿り着いた。先の方は崖になっているようだ。


 進めば進むほどその高台の広さがわかる。

この一帯だけ木が生えておらず周りを見渡すことが出来る。


 眼下に先ほどの街が広がっていた。

見えるか見えないかくらい遠くに湖が見える。

確か、目的地はあの辺り……


「メアリー様! その先は危な……!」


 ミアの声が響くと同時に足を滑らせてしまう。

咄嗟に近くの幹に掴まった。急いでミアが私を引っ張りあげようとしてくれる。

 足元を見ると崖といっても絶壁ではなく、なだらかな山肌なので多少ケガはするだろうが、少し下の足場で止まるだろうと予想出来た。


「ミア! 腕を離して!」

「嫌です! メアリー様が死んだら私……!」

涙目で即答される。


「いや、違うの。大丈夫だから。そこの下で止まるだろうから一旦下りてまた登ってくるから」

幹から手を離せば下に行けるが、ミアが手を離してくれないとミアまで下に落ちてしまう。

まあ死にはしないだろうが、できるだけこの子にケガはさせたくない。


「嫌です嫌です!」

「いや本当に大丈夫なんだって!」

ミアが動揺するのも仕方ない。この状況だとパニックになって冷静に行動出来ないだろう。


 どうしよう……

このままでは二人とも落ちてしまい、上からどちらかが引っ張りあげたり助けを求めに行くことも出来なくなる。

 それに私の腕ももう限界に近い……腕が痙攣してくるのを感じる。


「大丈夫?」

ミアの背後から男性の声が聞こえたが、逆光で顔がわからない。その男性はミアの手を離させ、私の腕をぐいと引っ張りあげてくれた。


 引き上げた後も、その男性が背中をさすって落ち着かせようとしてくれる。

「大丈夫、大丈夫だよ……」

「ありがとうございました……」

泥だらけの自分の手や服が目に入る。片方の靴は崖下に落としてしまったらしい。

 

 男性の顔を見上げると、濃い緑の瞳と目が合った。

金色の長い髪を後ろに一つに纏めている。

 なぜか胸が高鳴り、目が離せない。


 なんだろう。初めて感じる感覚。

嬉しくも切なく悲しいような……


「大丈夫? ぼうっとしているようだけど」


 その言葉に我に返り慌てて目を逸らす。

何故か涙が出そうになる。なんだろうこれ。


 誰かに似ているような……

でも金髪も緑の目も今まで何人も見てきた。

この世界では特に珍しい訳ではない。

ただの勘違いかもしれない。


「こんなところに人がいて驚いたよ。この辺りの住人もあまりここに来ないから」

ミアがそれに答える。

「私たち他国から来たのですが、国を一望出来そうな所を探していたのです」

「ああ、そうなんだ!

 じゃあ俺が案内してあげるよ!

 でもまずは山を下りないとね!」

と言いながら私をひょいと抱きかかえる。


 驚いて顔を見ると、

「こんな格好じゃあちこち行けないだろ? 

服はまだしも靴がないと歩けないもんな」

「あ、ありがとうございます……」


 年齢は私よりいくつか年上のように大人びて見え、身長はトニーと同じか少し高いくらい。腕を見るからにトニーやアーシュより筋肉がついているような気がする。


 山道を抱えられたまま下りていく。

「あの……! やっぱり私歩きますよ!」

初対面の人に抱えてもらい下山なんてあまりに申し訳なさ過ぎる。


「いやいや、見てごらん足元。

ここらは石ころがゴロゴロしてるから靴なしで歩いたらすぐさま傷だらけになるよ」

確かに、石ころだけでなく剥きでた岩もありケガすることが容易に想像できる。


「申し訳なくて……助けてもらった上にこんなことまで……」

「ハハ……気にすることないって。

全然大したことない。君を下ろす方が心が痛むよ」

「あ、ありがとうございます……」


 下山しミアに靴を買ってきてもらうことにした。

その間、青年と二人きりで馬車の中で待つことになった。


「さっきは本当にありがとうございました。

何か用事があられたらそっちに行かれて大丈夫ですよ」

突然会ったのに、助けてもらって案内までしてもらうなんて流石に図々しいのでは……


 反対側に座った青年にキラキラした笑顔を向けられる。

「俺がこうしたいから気にしないで。

もっと君と一緒に過ごしたいんだ」


 手をすっと差し出される。

「俺はアストラ。よろしく」







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