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新たな問題発生

「シェナなら、引き受けてくれると思っていました」


満足気に微笑むロベルトさんに、うまく言いくるめられた感が否めない。


そう、思いながらため息を吐くと、ユージーンがたま申し訳なさそうな顔をする。


「本当に済まない。君まで巻き込んでしまった」

「自分で巻き込まれたらか、気にしないで。

それよりも、ユージーンはよかったの?第7騎士団の事や、家族の人も、」

「・・・・俺は家族は養父いるが、俺自身は独り身だ。それに、第7騎士団の事は、今は、俺は動くべきでは無いと俺は思う」


そう言うユージーンの顔は、どこか寂しそうだった。


「そっか、」


そんなユージーンを見て、シェナはユージーンに感じていた微かな疑問を言うのをやめた。


「でも、むしろ、ユージーンが周りの反対を押し切って街を飛び出して王都に向かおうとしなくてよかったよ」

「ん?何故だ?」


シェナの言葉に疑問を感じたユージーン。


「だって、この街から王都まで最短で5日、最悪最長で1ヶ月はかかるから」

「はぁ!?1ヶ月!?!?」


初耳だったのか、驚くユージーン。


「この街は王都から離れていますから。この街はアーガルジア王国の国内、最西南端の街で、王都に向かうには山3つと森を2つ抜けなきゃいけないんです」


そう言いながら、エマさんが一枚の地図をテーブルの上に広げる。

その地図にはアーガルジア王国の地形が大まかに描かれていた。

王都を中心に地形や道、森や山地の大まかな地図だった。


地図の左下端に街の印が付いている。


「そ、そんなに離れていたのか?」

「はい。飛竜に乗れば途中の街で休憩をしながら最短、5日で着けるけますけど、馬車とかだと山越え森抜けで確実に1ヶ月はかかります」

「途中、魔獣にも遭遇することもあるから、余計に時間がかかる事もある」

「え、」


一応、行き道では魔獣達に出会さない為に各ギルドで巡回や魔獣避けの魔法は常備発動してるが、ある程度装備をして行かなければ、道中で行き倒れる可能性が高い。


「近くの村や町の移動は徒歩や馬でも大丈夫ですけど、王都へ向かう場合は、ギルドが所有する飛竜に乗って向かいますが、」

「現在その飛竜をギルドマスターが乗って王都へ出掛けてしまって、現在飛竜が出払っているんです」


申し訳無さそうなロベルトさんと困り顔で苦笑するエマさん。


この場にギルドマスターが居たらユージーンの処遇も少し変わっていたんだろうけど・・・。

この前も思ったけど、タイミング悪いよね。

ギルドマスター。


「ちなみに移動系の魔法や転移系の魔法を使っても移動範囲が広過ぎて特別な専用の魔具が無いと魔獣達の巣窟の山や森の中に転移されてしまいますから、あまりオススメ出来るものではありません。ユージーンが王都からここまで飛ばされたのは、魔素が高まる満月の夜であった事と魔具の暴走が原因でしょ」

「転移系の専門的な魔具は本来高価ですからね」

「・・・・今思ったが、オーガスタよく、転移系の魔具を手に入れられたな。粗悪品と言われていたとは言えアレも高価な物だったはず」


そう言いながら、ユージーンは暫し考える。


「まぁ、オーガスタがどこで転移系の魔具を手に入れたのかは、今はちょっと置いといて」


皆が色々思案する中、


「今はユージーンの今後と他にも話し合わないと」

「そうですね」


ロベルトが話を切り替えた。


そうだった。まだまだ話し合う事がいっぱいあるんだった。

それから、話し合いが再開した。


「それでは、ユージーン。貴方は断片的に記憶を失っているので、名前はそのままにしておきましょう。

下手に偽名を使うとかえって怪しまれますので、姓は名乗らずにユージーンとして、過ごして下さい」

「ああ」


ロベルトさんの提示にユージーンは迷う事なく頷いた。


「そして、シェナは森で助け、記憶喪失となったユージーンの監視役を受けてもらいます」

「監視役?」

「ええ、一応彼は身元不明ということにしてますから。シェナはギルドサブリーダーである私の個人的な依頼で監視役に任命された。と、言う事です」

「なるほど。フリーだから、ギルドのクエストは受ける事は駄目だけど、サブリーダーの依頼なら受けられると言う事ですね」

「そうです。それと、シェナ」


ロベルトがシェナに何か差し出した。

見た目は小さなカードのようなモノだった。


「これは?」

「今回の依頼の許可証です。もし、何か言われる事があればこの証明証を出して下さい」

「はい」


それから、細かな決め事を決めていく。


なんだか、デジャヴ・・・・。


「では、ユージーン。不自由な事もあるでしょうが、事件の熱りが冷めるまで、ギルド『龍の宿り木』の指示に従ってもらいます」

「ああ、むしろ、ここまで匿ってもらえ、身の回りまで世話になってしまい、本当に感謝しか無い。

ありがとう」


ユージーンが深々と頭を下げる。


「シェナも迷惑をかけるが、よろしく頼む」

「うん」


シェナにも深く頭を下げるユージーン。


「さて、ユージーンの事はこれで大丈夫だとして、問題は、」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・この子ですか?」


ロベルトとエマとユージーン、そしてシェナの視線が一点に集まる。


「キュ~~」


シェナの手の上でお腹を出して仰向けになって寝ている子ドラゴン。


警戒心のかけらも感じられない程にリラックスしている。


「一応、ドラゴンの養育者へお願いする予定なのですが」

「いくら卵から孵ったばかりとは言え、見事にシェナに懐ききっていますね」


困った顔をするロベルトさんと苦笑するエマさん。


「・・・私は、おチビちゃんが安全に過ごせる環境であるなら、それでいいと思っています」

「シェナ・・・」

「キュ~?」


そう言いながら少し寂しくそうにシェナは手の上の子ドラゴンを優しく撫でる。


「キュ?キュ?」


不思議そうに見上げてくる子ドラゴンに愛おしさを感じる。


「シェナ、」

「大丈夫です。エマさん。確かに、瀕死のエンシェントドラゴンにまだ卵だった子ドラゴンを託されたのは私です。

でも、SSS級のドラゴンの子供を引き取るには今の私は力不足です」


たった数日、ほんの少しの時間を過ごしてこんなに懐いてくれているおチビちゃんに情が湧かない訳がない。

でも、ユージーンを引き受ける以上、この子まで引き受けるには荷が重い。

ちゃんと専門知識のある経験者に任せるのがこの子の為になる。


シェナは心の中で自分にそう言い聞かせた。


「・・・・おチビちゃん。短い間だったけど、懐いてくれてありがとう」


シェナはそう言いながら、少し寂しそうに笑った。

だが、シェナのそんな寂しそうな笑顔を見た子ドラゴン。

一間固まったと思った次の瞬間、


「キュ、キュ、キュ・・・・・・ギュイイイイ!!!」

「え?!」

「うお!?」

「っっ!?」

「な?!」


いきなり子ドラゴンが叫び出した。


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