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ロベルトさんの話

・・・・・なんだ、あんな顔出来るんだ。


シェナは、こっそりユージーンを盗み見てそう思った。


「うん。やっぱりシェナの作るパウンドケーキは美味しいですね。私の好みのプレーンです」

「ありがとうございます」


優しい笑顔でお茶を飲むロベルトさん。ロベルトさんの小皿は既に綺麗に空になっていた。


「シェナ、あなた、ロベルトさんのご機嫌取りにプレーンのパウンドケーキ持って来たの?」

「はい」

「少しは誤魔化しなさいよ」

「お詫びの品です」

「もう」


お茶を飲みながらしれっと言うシェナにエマは少し呆れたように笑った。

と、その時、


「キュ!キュ!キュ!」

「ん?どうしたの?おチビちゃん?」

「もしかして、パウンドケーキ、食べたいんじゃないの?」

「キュ!!」


エマの言葉に答えるように鳴き、子ドラゴンは円な目を輝かせて、シェナの食べかけのパウンドケーキに熱い視線で見ている。


「ロベルトさん。ドラゴンにケーキって大丈夫なんですか?」


シェナが、ロベルトに問いかける。


「ええ、過剰にやり過ぎなければ、大丈夫ですよ。ドラゴンは基本的には肉食とされていますが、案外なんでも食べれる種族ですから」

「へー、じゃあ、おチビちゃん食べる?」

「キュー!!」


シェナが皿に残っていたパウンドケーキを小さく切り分けると、子ドラゴンは嬉しそうに尻尾を振った。


「はい」

「キュ、ンキュ、ンキュ」


子ドラゴンは小さな前足で器用に小さく切り分けたパウンドケーキを持ち、抱えるようにして美味しそうに食べている。


「美味しい?」

「キュー!!」


そう言いながら、もう一欠片パウンドケーキを切り分け子ドラゴンの目の前にチラつかせる。


「キュー」


すると子ドラゴンは目の前のパウンドケーキを取ろうと小さな前足を必死に伸ばした。


「シェナ、あげすぎたらダメよ?」

「はーい」


まるで姉妹のようなやり取りをするエマとシェナをチラリと見ながら小さく切り分けた最後の一口がユージーンの口の中へ消えていった。


「・・・・・・さて、皆、一息つけましたね。事情聴取を続けましょう」


しばらくしてロベルトが口を開いた。

部屋の空気が少し張り詰めた。


「実は、シェナとエマが部屋を出て行った後、精霊通信が入ったんです」

「精霊通信が」

「ええ、内容はベルディア保護区に関係するものでした」


『精霊通信』

ギルド本部が契約している精霊達の事で、主に各ギルド、又はギルドマスター個人への連絡の通達や情報の共有を担ってる。


ロベルトさんが少し険しい表情で語り出した。


「報告内容は、3日前の深夜、ベルディア保護区で保護されていたSSS級番のドラゴン、エンシェントドラゴン2体が何者かに襲われました。

2体のエンシェントドラゴンは牙、爪、角、鱗、翼、魔宝石の秘鱗を剥ぎ取られ、雄のエンシェントドラゴンは死亡。雌のエンシェントドラゴンは閃光の光の元消息不明になった事。

その際、首謀者確保に当たっていたアーガルジア王国王宮騎士団第7部隊副隊長、ユージーン・ハンレス副隊長が雌のエンシェントドラゴンと共に閃光の光と共に消息を絶った、との事です」

「・・・・・・・」


ユージーンの表情が曇っていく。

だが、なんだか落ち着いている様子だ。

ユージーン、もしかして、先に聞いていたのかな?


「首謀者はアーガルジア王国王宮騎士団第7部隊隊員、オーガスタ・バウ。

雌のエンシェントドラゴンが暴れた際に頭部を負傷し現在意識不明の重体らしいです」

「ユージーンさんが話していた通りですね」

「ええ、ただ、少々厄介な事態になってしまいまして」

「厄介な事態?」


今までも充分厄介な事なのに。

シェナは残していたポポル茶を飲みながらそう思った。


「はい。まず、オーガスタ・バウの犯行はオーガスタの単独犯で行われていましたが、犯行の手口や魔道具の準備周到な計画性から密かに共犯者が居るのではと考えられています」

「共犯者?」

「はい。容疑者はアーガルジア王国王宮騎士団第7隊員、マーク・ロドム。そして、」

「ッ、まさか、」

「ユージーンも共犯の容疑がかけられていました」

「はぁ!?」


ロベルトの言葉にシェナは思わず声が出てしまった。


「今回報告されていた三個のエンシェントドラゴンの卵は、一つは無事保護されましたが、一つは潰され、一つは、未だに発見出来ていないそうです。


更に、現場から閃光の光と共に消えた瀕死の重傷だったエンシェントドラゴン、そしてその場にいたはずの第7騎士団の副隊長も一緒に消えました」

「・・・・・、安置に考えたら、ユージーンがオーガスタを裏切ってエンシェントドラゴンを奪って消えた。

と、思われている訳ですか」


ロベルトの話を聞いて、シェナが考えを口にする。


「ええ、ですが、双方とも既に瀕死の重傷だったため、生存の確率は低いと見做され、また、転移魔法の転移先が分からない為に捜査は1日で打ち切りされたそうです」

「SSS級のドラゴンとは言え、アーガルジア王国としてはベルディア保護区の損失をこれ以上増やさない為にも、早々に切り捨てたと考えるのが妥当な考えでしょうね」

「切り替え早!!」

「・・・・はは、自分でもそう思う」


ロベルトとエマの話にシェナは驚き、ユージーンは乾笑いで苦笑した。


「いや、仮にもユージーンを容疑者と考えるならもう少し調査してもいいでしょうに」

「・・・・・いや、本当なら森の中で息絶えていたかも知れな命だったんだ。あながち間違ってはいないよ」

「・・・・・・・・・」


ユージーンの苦笑する表情はやっぱりどこか影があった。

分かり難いけど、やっぱり、思う所はあるんだろうな・・・・。


「ロベルトさん。ユージーンさんとエンシェントドラゴンの子ドラゴンの事についてギルドマスターは?」

「既に報告しています。ですが、」

「何か問題でも?」

「はい。実はエンシェントドラゴンが暴れたベルディア保護区の修正。更に今回のベルディア保護区の一件を他国に露見しない為の情報操作宮廷魔導士だけでは無く王都のギルド本部で行われていた報告会議に出席していたギルドマスター達が借り出されたとの事で、」

「コチラにまで手が回らないと言うことですか」

「・・・・そうです」

「でも、ユージーンとおチビちゃんの事はギルドマスターは既に報告したんじゃ、」

「しました。ですが、ギルドに運び込まれたユージーンは意識失っていてまた、身分を証明できる物を持っていなかった事もあってユージーンが目覚めるのを待ち、報告が2日ほど遅れてしまいたした。その時には既に捜査は打ち切られていました。後の判断はギルドマスターにお任せしました」

「・・・・・・・・・・」


・・・・なんか、大人の事情だ。


シェナは密かにそう思った。


「そこで、シェナにお願いしたい事があります」

「へ?」


ロベルトさんに唐突に話を振られ一瞬反応が遅れてしまった。


「シェナ、しばらくユージーンを預かってもらっていいですか?」

「はい?」


ニコリと微笑むロベルトさんの言葉に思わず目が点になった。


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